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『語感トレーニング』中村明・著 vol.2483


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【「語感」を鍛える】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4004313058
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みなさんは、ベストセラーを出している著者や編集者に、欠かせない資質があることをご存知でしょうか?

それは、「語感」。

同じ意味を表すタイトルであっても、この「語感」が良いか悪いかで、売り上げは大きく変わる。

逆に言えば、これに鈍感な作り手は、いつまで経ってもベストセラーを出せないことは言うまでもないと思います。

かつて、エリエスの出版戦略セミナーに、芥川賞作家の平野啓一郎さんにお越しいただいたことがありますが、ちょうど『鏡の法則』などがベストセラーになっていた当時、平野さんは、「最近のタイトルは<の>がつくものが多いですね」とおっしゃっていました。

さすがは、芥川賞作家です。

この「語感」が重要なのは、何も本の世界に限りません。

「ガリガリ君」や「スゴイダイズ」、「甘栗むいちゃいました」など、ヒット商品のネーミングは、いずれも語感に優れているもの。

つまり、ヒット商品を手掛けたいビジネスパーソンにとって「語感」は必須科目とも言えるものです。

本書では、この語感を鍛えるべく、たとえば「些細」と「瑣末」、「どうぞ」と「どうか」、「建築」と「建設」と「建造」など、似ているけれどニュアンスの違う単語を徹底比較。

それぞれの語の感じ方の違い、そして意味の本質に迫っています。

誤って使われている日本語についてもたっぷり言及されているので、教養として読んでも、楽しい一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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同じ外来語でも、輸入年代の違いに応じて「ストライキ」と「ストライク」、「ミシン」と「マシン」と姿を変えて別々の意味を分担する例もある

「些細」と「瑣末」はどちらも、取るに足らないどうでもいいことを言うが、「些細」が細かすぎるところに重点があるのに対し、「瑣末」は本筋と無関係であるところに重点がある

「好調」の最高の段階をさす「絶好調」もあるが、どこか長続きしない感じがつきまとう

◆語感の三系統
1.表現する《人》に関する語感
2.表現される《もの・こと》にかかわる語感
3.表現に用いる《ことば》にまつわる語感

現代では危ないことになりそうなという意味合いで一般にも広まった「やばい」は今や、驚くほどすごいといった意味の用法にまで広がった。が、これも、もとをただせば、不都合や危険を意味した江戸時代の「やば」に端を発している

「感心」と「感服」とを比べると、感動の程度とは別に、前者は上の立場から、後者は下の立場から評価している感じがある

「給料」も「給与」も同じものをさすが、後者のほうが支払う側の視点が連想される

「独壇場」ということばも信じすぎると恥をかく。正しくは「独擅場」と書く。「擅」は「ほしいままにする」という意味で「セン」と読む

謙虚な姿勢を示すつもりで「私には役不足です」などと言うと、自分にとってその役割は軽すぎるという意味だから、むしろ自分の能力をアピールすることになってしまう

映画監督の小津安二郎は敬愛する作家の志賀直哉からもらった手紙の末尾に「どうか遊びに来てくれ給え」とあるのを読んでほんとうに嬉しかったらしい。「どうぞ」でなく「どうか」ということばを選んだところに、ぜひいらっしゃいという志賀さんの気持ちがこもっていると、ことのほか喜んだという

「猫糞」も「着服」も「横領」の一種だが、少しずつ程度の違いが感じられる。「猫糞」は「着服」より罪意識が軽く、「着服」は不正な行為ではあるが「横領」ほどの明確な違法性は感じられず、「横領」は「着服」より犯罪のにおいが強い感じがある

「か細い」「か弱い」といった語が繊細な感じを与えるのも<接辞>「か」のもたらす語感だろう

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『語感トレーニング』中村明・著 岩波書店
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◆目次◆

1.定年後を輝かせる「新たな仕事」
2.「不純」の大いなる効用
3.どうすれば運命を使いこなせるか
4.現実を受け止められないとき、行き悩むとき
5.問題は「どう生きたか」
6.人生の思いがけない「からくり」を知る
7.遠距離「世間」のすすめ
8.「自分の時間」を管理する知恵
9.ささやかだけれど贅沢な生き方
10.自分なりの「始末のつけ方」

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