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『2100年、人口3分の1の日本』鬼頭宏・著 vol.2475


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【2100年、日本の未来はどうなる?】
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未来を読むもっとも確実な方法は、人口の変化に目を向けること。

では、この人口を学ぶのに、もっとも適した学問は何か。

それが「本日の一冊」の著者、鬼頭宏氏が専門とする「歴史人口学」です。

著者は、「宗門人別改帳」などの歴史的資料をもとに、縄文時代から江戸時代までの日本の人口推移を初めて明らかにした人物で、本書でも、日本の歴史を俯瞰する形で、現在の人口や家族構成、経済、ライフスタイルを論じています。

われわれが統計で目にする「将来人口」は、出生率と死亡率をそれぞれ高位、中位、低位の3通りに仮定して算出するそうですが、それによると、最も楽観的な高位推計で、「2055年の人口は9952万人、2105年は6274万人」、考え得る最悪の場合、「2055年の人口は8238万人、2105年だと3357万人」にまで落ち込むそうです。

もっともありそうな中位の値でも、「2055年には日本の人口は8993万人」。この8900万人という数字は、「1955(昭和30)年の総人口
(8928万人)とほぼ同水準」だそうですから、どうあがいても、国力の低下は避けられそうにありません。

では、われわれはこれからの時代、どうやって暮らしていけばいいのか、国力を維持するためにどんな施策があるのか、どこにビジネスチャンスがあるのか。

こういった疑問に対して、ヒントを与えてくれるのが、この『2100年、人口3分の1の日本』です。

本書を読む限り、出生率と女性労働力を共に向上させたヨーロッパの教訓、高齢者の活用、労働生産性の改善など、まだまだやれることはありそうです。

目先のことは見えなくても、2100年を予測することで、世界経済の大きな流れは読めるはず。

本書で紹介されているアランの言葉通り、「悲観は気分に属し、楽観は意志に属する」もの。

歴史と未来を同時に俯瞰できる本書は、きっと読者が方向性を定める上で、役立つに違いありません。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本に必要なことは脱工業文明、つまり、持続可能な新しい文明の構築に他ならない

◆出生率低下の3つの要因
1.乳幼児死亡率の低下
2.生きていくうえで結婚すること、子どもを生んで子孫を残すこ
とを必ずしも必要としなくなったばかりでなく、それを当たり
前とする規範がなくなったこと
3.現代文明の行き詰まりを予想させるような不安感

ボズラップはこの考えを農業以外の生産技術にも敷衍して、人口密度の上昇が生産技術の高度化を導くと結論づけた。彼女の技術発展論の背景には「人間は困難に直面しなければ変わらない」という哲学がある

実は現代人は、過去の人口変動の際とは決定的に異なる状況に置かれている。すなわち、地球環境の制約である

日本の労働生産性が低いのは、失業者を少なくするという雇用慣行に起因する問題なのかもしれない

人口が減っても豊かな暮らしを続けたければ、よりいっそうの技術革新、そして産業の中心を低生産性部門から高生産性部門へと移行させる大胆な構造改革を実行するべきだ

2005年の生産年齢人口は8442万人、これが55年には4595万人とほぼ半減してしまう

労働者の数を増やすには主に二つの手段がある。高齢者の労働参加を促すこと(生産年齢人口の拡大)と働く女性を増やすこと(生産年齢人口の掘り起こし)である

1879(明治12)年に山梨県で行われた、国勢調査の試行版ともいうべき『甲斐国現在人別調』の結果を見ると、15~49歳という出産可
能年齢に属する女性の、実に96%が有業者だった

文明が成熟すれば人口は分散する

家族内の人間関係はどんどん単純化していく

高齢者のシングル社会がやってくる

熟年離婚をした男女が新しい相手と結ばれる社会、人生で2度結婚をする生き方が珍しくない社会が到来するかもしれない

仮に世界人口が100億人まで増えたとしたらどうか。同じ計算をすると、世界の国内総生産の拡大規模は現在の約8倍。ここまでくるとさすがに現実味を失わないだろうか。たとえどれだけ経済効率が改善されて省エネ・省資源が進んだとしても、全世界合わせて8倍の経済成長を遂げるには現在の何倍もエネルギーや原材料が必要になる。はたして地球は、それだけの経済成長を支えることができるのだろうか

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『2100年、人口3分の1の日本』鬼頭宏・著 メディアファクトリー
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◆目次◆

序 章 人口が日本の未来を映し出す
第1章 100年後、日本人口は4000万人になる
第2章 人口4000万人の暮らしと経済
第3章 人口4000万人の都市と地方
第4章 人口4000万人の人間関係
第5章 外国人5000万人の未来
第6章 人口100億人の世界
終 章 未来には必ず希望がある

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