2011年4月14日
【これぞコマツ流】
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昨年から今年にかけて、いよいよ日本企業も海外市場に打って出ないと、といった主張が目立ちますが、実際にどうやるかは、わかっていない企業が多いと思います。
<少しのことにも、先達(せんだち)はあらまほしき事なり>
この原則に従えば、やはりグローバル企業であるトヨタあたりに学ぶのが筋だと思いますが、海外市場での存在感で言えば、トヨタ以上にグローバルなのは、じつはコマツではないかと思います。
本日の一冊は、そのコマツの会長、坂根正弘さんが書いた一冊。
創業以来初の赤字からV字回復を達成し、2007年までの大躍進を支えた本人が、そのグローバル経営成功の秘訣を語っています。
まずビジネスマンにとって勉強になるのは、建設機械が「経済全体の先行指標」になるという視点。
経済が発展するには、インフラの整備や開発が必要で、そのために建設機械の需要が伸びるからというのがその理由です。
で、その建設機械で世界をリードするコマツが今、注目しているのがアフリカ、そして中国。
本書では、こういった新興国市場だけで7割の売上を叩き出すというコマツの経営の秘密に迫っており、じつに刺激的な内容です。
商品とは違うところで競争優位性を作る方法、新興国で販売網を作るための原則、返済猶予を迫る中国ユーザーの嘘を見抜く情報システム、社員のモチベーションを上げる社内プロジェクト…。
いずれもコマツ社内の具体例を交えながら論じられているので、じつに参考になります。
以前、話題となったスズキ会長の『俺は、中小企業のおやじ』同様、若い人が買いそうな装丁ではないですが、中身は読み応え抜群です。
※参考:『俺は、中小企業のおやじ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314380
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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平時の局面では、自らの得意分野に磨きをかけ、その強みをよりいっそう伸ばしていくことが経営の優先課題
南アフリカでのコマツの売上高は、ロシアとほぼ同じ規模
建設機械は「経済全体の先行指標」です。経済が発展するには、インフラの整備や開発が必要です。そのためにまず、建設機械の需要が伸び、それに続いて経済全体が大きく飛躍します
2000年ごろには日米欧市場の建設・鉱山機械の需要が全体の約8割を占めていましたが、現時点では3割程度にまで縮んでしまいました
建設機械というのは、「売れば、それでおしまい」という売り切り型の商品とは異なり、買っていただいた後も常に部品の交換や修理が必要で、ずっとお客様との付き合いが続く商品です。それだけに、強力な販売・サービスのネットワークを整備し、しっかりとした製品サポートをすることが、継続的なビジネスをする前提条件
いま振り返ると「現地の人に任せる」という方針は正しかったと思います。現地に密着した人が代理店を経営することで、その土地その土地の情報が集まってきます。「次に、ここでダム建設が始まる」という情報があれば、その地域で建設機械の需要が盛り上がります。ちなみに中国では、建設機械の買い手の9割が個人です
代理店との信頼関係は、競争相手が真似をしようとしても、簡単に真似できない経営資源
中国の人は「発展空間」という言葉をよく使います。いまの仕事を続けて、自分がさらに発展できる空間があるかどうか、企業はそうした発展空間を提供できるかどうか。それが、中国で優秀な人材を確保できるかどうかの分かれ目になるでしょう
高すぎる固定費の本質は、成長とコストを分けて考えてこなかったツケともいえる、社内に蓄積されてきた「無駄な事業や業務」にありました
シナジー効果がよくわからない多角化事業を持ち続けることは、その事業の業績が好調ならともかく、事業の調子が悪い場合は、投資家の目から見てとても許されることではない
モデルチェンジのときに納入価格や納入企業を見直す
ダントツを目指すのは「商品」だけではありません。買っていただいた後の「サービス」でもダントツを実現し、売れ続けるシステムをつくりたい
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『ダントツ経営 コマツが目指す「日本国籍グローバル企業」』坂根正弘・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532316855
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◆目次◆
序 章 世界市場の大転換
第1章 中国市場での挑戦
第2章 構造改革への取り組み―危機が会社を強くする(1)
第3章 ポスト・リーマンショック―危機が会社を強くする(2)
第4章 日本企業の強みと弱み―アメリカで学んだこと
第5章 ダントツ商品で強みを磨く
第6章 代を重ねるごとに強くなる
終 章 傍観者ではなく当事者になろう
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