2012年6月4日
【マクロ経済編登場!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017832
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本日の一冊は、以前、<これまでに読んだ経済学の教科書のなかで、もっとも「ずるい」一冊>ということで紹介した、ヨラム・バウマン著『この世で一番おもしろいミクロ経済学』の待望のマクロ経済編。
※参考:『この世で一番おもしろいミクロ経済学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478013241
前作同様、イラストとセリフ、簡単な説明を読むだけで、マクロ経済学の課題や主要トピックが全部理解できてしまう、すごい一冊です。
以前もこぼした話ですが、土井が学生の頃は、マクロ経済学、ミクロ経済学の教科書は、あわせて1000ページぐらいのボリュームがありました。
それに対して、本書はたったの200ページ強。おまけに、文量が少なく、ユーモアも織り込まれているのです。
前作のミクロ経済学からの流れで、最適化しようとする個人が「それでもヘマを起こす理由」、これを一生懸命考えるのがマクロ経済学であるという話から、本題に入っていきます。
過去の経済の歴史、それを踏まえたマクロ経済学の大目標、ケインズ派の理論、リカードの比較優位論、そしてグローバル経済や途上国の開発援助、高齢化問題など、マクロ経済の主要トピックが、これだけで押さえられてしまう、すごい一冊です。
最後の方には、それこそ現在問題となっているギリシャ問題の本質を理解する、ロバート・マンデルの「不可能な三角形」の話が出てきており、タイムリーな内容です。
前作同様、グレゴリー・マンキュー絶賛ということで、内容は保証書つき。
最初にミクロ経済版を読んだ時の衝撃はもうありませんが、要領よくポイントを押さえた入門書だと思います。
ぜひチェックしてみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆マクロ経済学の大目標
1.長期的に生活水準を高め、今日の子どもたちがおじいさんたちよりいい暮らしを送れるようにする
2.好景気と不景気、たとえば1929年からの大恐慌などを理解する
政府が対策を講じることで短期の安定を実現できるという発想は、ケインズ派の見方と呼ばれる
大恐慌では、1933年に失業率はなんと25%にもなった
ここでの教訓は、時間とともに自由市場経済の一部では仕事が消えるけど…… ……別のところに再登場するってことだ。オーストリアの経済学者ヨセフ・シュンペーターは、これを創造的破壊と呼んだ
つまり雇用を保障しようとする政策は…… ……労働市場を硬直させて、失業を増やしてしまう
たとえば1979年のアメリカみたいに13%のインフレでも──まずい。物価賃金スパイラルを引き起こすからだ。経済学者たちによれば、2桁近いインフレ率はよくない
経済が長期的に成長しているかを見るには…… ……一人当たり実質GDPを見ることだ
貧乏な国だと、人間開発指標(HDI)のほうが向いているかもしれない
1817年、デヴィッド・リカードの比較優位論は、こうした相互利益が性質の違う国同士で起こることを示した…… ……でも現実の経済学者は、似た国同士でも相互に利益が出ると考える。この分野の研究により、ポール・クルーグマンは2008年のノーベル賞をもらった
アウトソーシングすれば自分の得意技に専念できる
多くの経済学者が、最高の援助の1つは貿易だと考えている
マンデルの理論で一番意外なのは、「不可能な三角形」なるトリオだ。「通貨の自由な取引」「独立した金融政策」「固定為替レート」この3つともが実現できればすばらしい。でもこれは不可能な三角形だ。このうち2つしか実現できないから
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『この世で一番おもしろいマクロ経済学』ヨラム・バウマン・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478017832
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◆目次◆
PART1:単一のマクロ経済学
Chapter1 はじめに:マクロ経済学の2大目標ってなに?
Chapter2 失業:なぜ「職のない人」をなくせないのか?
Chapter3 お金/貨幣:金融政策は経済を救う!?
Chapter4 インフレーション:経済成長のための「バランスの取れたインフレ」
Chapter5 国内総生産(GDP):経済を測るモノサシ、その使い方
Chapter6 政府の役割:政府は経済を何とかできるのか?
PART2:国際貿易におけるマクロ経済学
Chapter7 貿易と技術:経済学者が自由貿易をオススメする3つの理由
Chapter8 古典派の経済観:アダム・スミスが信じた自由貿易と比較優位
Chapter9 貿易にまつわる面倒な話:たとえば人権とか保護主義とか
Chapter10 開発援助(ODA):最高の援助は「貿易」にあり!?
Chapter11 外国為替:通貨を取引するための不確実な手段
PART3:グローバルなマクロ経済学
Chapter12 景気の波の終わり?:金融政策と財政政策の終わりなき戦い
Chapter13 貧困の終わり?:貧困国が「キャッチアップ」するための成長のレシピ
Chapter14 惑星地球の終わり?:地球温暖化を解決するための「市場」の使い方
Chapter15 若さの終わり?:財政破綻せずに高齢化社会を乗り切れるか!?
Chapter16 終わり:で、2大目標はいつ達成できるの?
Glossary 用語集
訳者解説 山形浩生
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