2010年7月17日
【文章術よりも大切なもの】
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あれは、土井が独立直後にお招きを受けたセミナーでのことでした。
複数の講師がオムニバス形式で話をするというセミナーで、その中の一人が、元アナウンサーの方でした。
テーマは、「人をひきつける話し方の技術」というものでしたが、そこで土井は、信じられない光景を目にしたのです。
「ほぼ全員寝ている!」
そうなのです。「人をひきつける」はずの話し方のプロが、あろうことか、聴き手に無視されてしまったのです。
これは一体どうしてでしょうか?
それは、「話の面白さ」の要素が、「話し方」だけではないからなのです。話で大事なのは「題材」であり、「構成」。「話し方」は最後に求められる要素なのです。
その証拠に、できるリーダーは、話し方の訓練など受けなくても、人をひきつける話ができる。じつはこの原則は、文章においても同様なのです。
本日ご紹介する一冊は、大学時代、芥川賞作家の三田誠広氏に師事し、現在は自らの塾で小中学生に作文・小論文を指導、教え子のなかには作文コンクールで全国1位の生徒さんもいらっしゃるという作文の達人、芦永奈雄さんによる一冊です。
本書を読んで感銘を受けたのは、この本が小手先の文章術の本ではない、ということ。
文章とは、文章術以前に「題材」と「組み立て」、そしてそれに先立つテーマ、目的意識が大事だと説いているのです。
もちろん実用書ですから、素人が真似れば今すぐ文章が上達するテクニックも書いてはあります。
しかしながら本書の主眼は、そこにはない。
サンプル文を読んだり、著者の主張を読んでいるうちに、書き手として一番大切なものに気づかされるのです。
30歳になり、上司になった「ぼく」が捨てられなかった初任給の明細書の話、使わなかった100万円の封筒の話…。
サンプル文はいずれもシンプルながら感動的な話で、これを読むだけでも、文章に違いが出てくるはずです。
文章が苦手な人はもちろんですが、本書は、ある程度書けるようになったプロにこそ、読んでいただきたい。
きっと忘れかけていた何かを取り戻せるはずです。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分が伝えたいことを人にうまく伝えられない人は、隔たりに気づいていません
「気持ち」は書かない方が伝わるのです
あなたが、「知りたい」という気になったら、わたしの伝えたい思いは深く届きやすい。何の興味も持っていなかったら、「俺のサウンド」は、心に届かないでしょう。なぜなら、受け入れ態勢ができていないからです
「この前、雪山で遭難しかかって、死ぬかと思ったよ」
「この前、雪山で遭難しかかったよ」
あなたの感情が強く動かされるのは、「雪山で遭難しかかった」という事実であって、本人の「死ぬかと思った」という気持ちの方ではなかった。そうではありませんか?
あなた自身が、「伝えたい思い」が湧く元となった経験や出来事を文章にしなければならない
相手の立場に立ちながら、どう読んでもらいたいか? 文章が得意な人は、これをワンセットで考えます
文章がうまくなってくると、今度は、「どう泣かせてやろう」とか「すごいと思わせてやろう」という思いが出てくると思います。「どう伝えたいか」ではなく「どう読んでもらいたいか」だからいいだろう。そういうことで書くようになるかもしれません。すると、重大なミスを犯すようになってきます。「どう読ませたいか」ばかりになって、中身もないのに、文章でどうにでもしようとする。心を動かせなくなります。「小手先」の文章になってしまいます
人間というのは、ストーリーを語ると、続きが知りたくなります
読み手に「これからなにかが始まるんだな」と思わせる
自分が感情を動かされた事実を書くことより、読み手がどの事実でどういう感情が起こるかを基準にして書くことが大事
◆文章を構成する三大要素
・題材 ・組み立て ・文章の技術
【ストーリー作文向け】
<<現在>>+<<過去>>+<<現在>>
テーマは人に情熱をもたらす
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『コミュニケーション力を高める文章の技術』フォレスト出版 芦永奈雄・著
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◆目次◆
第1章 伝えることが苦手な人の「三つの盲点」
第2章 なぜ、あなたの気持ちは伝わらないのか?
第3章 「伝わる文章」を書くために、まず意識を変える!
第4章 文章力を飛躍的にアップさせる「ストーリー作文」
第5章 文章の技術を活かす「三つの要素」
第6章 レベルの高い「本格的な文章」を書く方法
第7章 文章力を仕事に活かす!
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