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『世界史(下)』ウィリアム・H・マクニール・著 Vol.2785


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【下巻も紹介!】
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本日の一冊は、東大・慶應・早稲田で文庫ランキング1位、世界中で40年以上読み継がれているというオックスフォード大学出版局のロングセラー、ウィリアム・H・マクニールによる、“A WORLD HISTORY”の邦訳、昨日に続く下巻です。

あまりに話題になっているので読んでみたところ、これは正直、「やられた」と思った、という話をしましたが、下巻の方は、上巻に比べると、因果関係、ストーリーが抑え目で、割と普通の世界史の記述が多いです。

扱っているのは、1500年から現代にいたるまでの、約500年間。

大航海時代から、ルターの宗教改革、西欧の優勢、産業革命、世界規模でのコスモポリタニズムの始まりにいたるまで、膨大な歴史を、じつにコンパクトにまとめています。

爆発的な経済発展をもたらしたこの時期の世界を眺めていると、われわれが今後、どんな変化を起こすべきなのか、抽象的ではありますが、ヒントが浮かび上がってきます。

上巻で学んだ、社会発展のためのしくみや制度。そしてこの下巻で学べる経済発展の歴史。

併せて読むことで、今後の経済・ビジネスのヒントが見えてくる、そんな内容です。

かつて世界史を学んだ方は、おさらいとして、新たに学ぶ人は、最初の教科書として、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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(価格革命によって)一定の収入をもつ人々は、深刻な購買力不足に陥り、一方事業に携わる人々はしばしば金を儲けた。それはその人たちの扱う商品の価格が上昇する傾向にあったからである

一般的にいって、船が大洋を航海するようになったため、港から港へ商品と同様細菌も運ばれたことは明らかである

一六八八年以後のイギリスにおける議会政治の成功のもうひとつの原因は、新しい貸付け制度、すなわち国債の発明であった。これは、たいへん有利な条件で、緊急の支出の財源をつくるために社会から金を借入することを可能にした

単一の作物としては、ジャガイモの普及が、ヨーロッパ農業に最も重要な変化を与えた。なぜならそれは食糧生産の容量を著しく高めたからである。例えば、バルト海地方のドイツの砂地と寒冷な気候のもとで、収穫したジャガイモからは、穀物の四倍ものカロリーを得ることができた

トマス・ホッブズは、人間は生まれつき邪で残忍な生物だから、絶対的な力をもった君主に無制限の権力を付与することによってのみ文明社会が作り出される、と論じた。ジョン・ロック(一六三二 ─ 一七〇四年)はこれとは逆に、契約は公衆と統治者の間に結ばれるものだから、もし統治者がある特定の限界を踏み越えれば、民衆は彼の権利侵害に抗議して反乱をおこしてもかまわない、と考えた

彼(ルソー)は王が民衆を満足させない場合には、社会契約がいつでも反乱を正当化すると考えた

特徴的だったのは、重要な新製品が作られるたびに、それが新しい産業の創設を必要とし、あるいは可能にしたことである。例えば自動車の発明は、タイヤの需要をよびこみ、その結果ゴム産業に大変革をもたらした。電気産業が銅産業に与えた影響も同じである。電流用の伝導体として、銅が使われたからである

規模の拡大には、輸送と通信の大幅な強化が必要であった。遠隔地から原料を運びこみ、作り出した製品を遠隔地の市場に運びだすことが、機械による大量生産の成功には不可欠だった

物資を移動する手段として、荷駄用の家畜のキャラバンが、あるいは人間の運び手だけにしか頼れなかった地域では、ひとつの地域に大量の食糧や物資を集めることは途方もなく高価についたから、さきの例のように専門家の技術の開発にあてられる余裕はほとんどなかった。アフリカ大陸の大部分で文明が栄えることのなかったのもそのせいだった

伝染病がまた復活する明らかな兆候がある

人類が、都市環境のもとで、地方の、個人接触の多い共同体社会の支え(および圧迫)なしにこれからも生きてゆかれるかどうかは、たぶん二十一世紀の中心的な社会問題になるだろう

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『世界史(下)』ウィリアム・H・マクニール・著 中央公論新社
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◆目次◆

第III部 西欧の優勢
第IV部 地球規模でのコスモポリタニズムのはじまり

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