2012年1月21日
【ソニー凋落の内幕】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166608320
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本日の一冊は、1994年からソニーを取材し続け、『ソニーと松下』などの著作を持つノンフィクション作家の立石泰則氏が、ソニー凋落の内幕をつづった一冊。
※参考:『ソニーと松下』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062101203
「ブランドをダメにしたのは誰だ!」と書かれたオビに、出井伸之氏、ハワード・ストリンガー氏の写真が載っているのは衝撃ですが、何よりも、ソニーファンの心情を代弁しているタイトルがいい。
内容も、ソニーがどんな理想に燃えて事業を立ち上げたのか、どのようにしてブランドを高め、世界のソニーに成長していったのか、そしてその後の凋落、という時系列で書かれており、ソニーの変遷がよくわかる構成になっています。
77ページで紹介されたソニーの「会社設立の目的」「経営方針」と、その後の経営陣の施策とのずれを比較すると、事業がどのようにしてダメになっていくか、その本質を学ばされます。
コストカットのために、DRCを捨て、低品質の液晶テレビを送り出したこと、「クリエ」でつかみかけたチャンス、醜いまでの社内政治…。
土井は特別ソニーファンというわけではありませんが(パソコンはVAIOです)、読んでいくうちに、創業者の理念がないがしろにされていく様子に、切ない気持ちになってしまいました。
経営者に、事業への愛がないとどうなるか。本書は、その深刻さを教えてくれるノンフィクションです。
経営者はもちろん、ビジネスパーソンであれば、ぜひ一読をおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本のソニー、日本国民のためのソニー、つまり「僕らのソニー」なのである。ここが他の日本企業との最大の違いと言えるのかもしれない
当初、ソニーは米国の代理店を通じて製品を販売していた。その後、現地法人の販売会社「ソニーアメリカ」を立ち上げ、米国の小売店に直接卸し、消費者に販売するようになった。しかし盛田氏は、それでも不十分だと考えた。広大な米国市場で成功するためには、米国で実際に暮らすこと、それも妻子を伴って移り住むことが肝要だと考えたのである
いったいブランドとは何か。私は、それはクォリティ(品質)とメッセージで担保されるものだと考えている
「河野君、マーケット・クリエーション(市場を作ること)というのは、マーケット・エデュケーション(市場を教育すること)のことなんだ」(盛田氏)
「宣伝費はなかったけど、モノ(ウォークマン)があったから、芸能人とか歌手とかどこか目立ちたがり屋の人たち、まあ、いろんな人にウォークマンをタダで配りました。そうしたら、彼らが使っているうちに雑誌のグラビアに取り上げられたりしたんです。有名な○○さんが使っているウォークマンなどと。これが、一番効果がありましたね」(河野氏)
「ソニースピリットは、井深さんの無理難題の産物だ」(大曽根氏)
◆会社設立の目的
一、真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむ自由闊達にして愉快なる理想工場の建設
一、日本再建、文化向上に対する技術面、生産面よりの活発なる活動
一、戦時中、各方面に非常に進歩したる技術の国民生活内への即時応用
ソニーという会社の本質は、過去の成功体験や教訓に「解」を求めないことにあると思っている。つねに、未来に、自分の目で見つめる未来の中に「解」を求めてきた会社であると思っている
ソニーが二〇〇四年に韓国のサムスン電子と特許のクロスライセンス契約を結んださい、サムスン側がもっとも欲しがった特許のひとつにDRCがあった(中略)それほど社外からの評価が高いDRCだったが、当時社長だった中鉢良治氏や中川裕氏(同・副社長)、木村敬治氏(EVP=専務に相当)らソニーの日本人経営首脳は「A3研究所は不要」で一致し、そしてそれは実行された
経営者の最大のメッセージは人事である
かつてストリンガー氏は私にソニー入社の動機のひとつを、こう説明した。「(SPE問題で)ソニー全体が『米国人は、ただただ欲深いだけだ』と思ってしまったことは分かっていましたから、その米国人観を変えることも私の仕事だと思った」しかしいまなら、私はこう言葉を返すだろう。「いえいえ、ストリンガーさん。あなたもソニー米国の役員たちも、十分に欲深い人たちですよ」
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『さよなら!僕らのソニー』立石泰則・著 文藝春秋http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4166608320
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◆目次◆
第一章 僕らのソニー
第二章 ソニー神話の崩壊
第三章 「ソニーらしい」商品
第四章 「技術のソニー」とテレビ凋落
第五章 ホワッツ・ソニー
第六章 黒船来襲
第七章 ストリンガー独裁
最終章 さよなら!僕らのソニー
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