2011年10月15日
【気鋭のゲームクリエイターによるキャリア論】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334976603
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本日の一冊は、『ロックマン』『バイオハザードII』『鬼武者』などのヒットゲームを手掛けたカリスマゲームクリエイター、稲船敬二さんによるキャリア&クリエイティブ論。
前作『矛盾があるからヒットは生まれる』がパッとしない内容だったため、読むかどうか悩んだのですが、この方、キャリア論の方がはるかに面白い。
中3の時にクラスのヤンキーに殴られ、仲間だと思っていた人間や教師が救ってくれなかったことから身についた人間観、「カプコンの方がコナミより近いから」という理由で教師に無理やり受けさせられたカプコンへの入社、30歳で上場企業の部長になり、常務執行役員にまでなった後の独立…。
やることなすこと、破茶滅茶な著者ですが、じつはその行動や考え方は、ビジネスや仕事の王道を行っています。
・クリエーターにとっての「成功」は、堕落の始まり
・人がやらないことをやる
・ピンチこそがチャンス
・人の評判は判断材料にしない
・辞める覚悟で仕事をする
・10億損したら、100億稼げばいい
・成功を手に入れたければ、リスクを冒さなきゃいけない
ビジネスにおいて正しいことは、キャリアにおいても正しいことが多いわけですが、多くの方はそれを実行できない。
この著者は、それを平気で行う胆力が、尋常ではないと思います。
いずれの言葉にも含蓄がありますが、なかでも土井が感銘を受けたのは、<3倍のスピードで作れば、3倍のクオリティになる>という考え方。
ゲーム作りにおいて、お金というのはほぼ人件費だから、速く作れば同予算の他社と比べて、それだけクオリティが上がるという理屈。
単純な理屈ですが、これには正直、驚かされました。
1か100かの出版業界においては当てはまらない部分もありますが、(出版業界の方がタイトル数が多いため、ばらつきも大きい)著者のクリエイティブ論は読み応えがあり、何よりいい刺激を与えてくれます。
前作つまらなかった著者の本を紹介するなんて、「どんな判断や!」と言われるかもしれませんが(笑)、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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実はクリエーターにとっての「成功」は、一見成功のようでも、それは堕落の始まりなのです
いまは不況だから普通は独立しようなんて考えない。だから、ライバルは少ない。人のやらないときにやる。人がやらないことをやる。人ができないことをやる。まさに「ヒットの法則」です(中略)逆に、もしこのタイミングで任天堂の宮本茂さんやコナミの小島秀夫さんが独立されたら、僕は絶対にカプコンを辞めません。勝てませんもん
友達というのはあってないようなもんだ。友達だと思っていた人間は友達ではなく、友達ではないと思っていた人間が友達だった。仲間だと思っていた人間が仲間でなく、仲間ではないと思っていた人間が仲間だった
人の評判は判断材料にしない
『スーパーマリオ』は、ゲームがずっと進んでいるように感じさせてくれる。ステージをクリアして、プレイヤーが一息ついている間に必要なロードを行うように設計してあり、ロードしていることが気にならないように、プルルルルという軽快なカウント音と共にゲームのクリア得点やスコアを出して、プレイヤーの達成感を刺激する(中略)ロードの部分までちゃんと演出されているゲームには、僕は『スーパーマリオ』で初めて出合いました
コンセプトという会社は2年後にはないかもしれない。カプコンは2年後も多分あるでしょう。その違いはあるけれど、つらいことも含めて、百パーセント楽しめるいまのほうがいいと思います
僕は会社に入ってから、つねに辞める覚悟で仕事をしてきました。そういう覚悟さえあれば、相手が上司でもなんでも言える、どんなことでもできる
あるゲームが大ヒットするかどうかを見抜く方法があります。それは、企画会議で全員が反対したときです
ゲーム作りにおいて、お金というのは、ほぼ人件費です。理論的には、同じお金で3倍のスピードで作れば、3倍のクオリティになる
ゲームクリエーターには、肝に銘じておいてほしいことがあります。それは、子どもに向けてゲームを作ることの大切さです。そこに、ゲーム業界の未来がかかっています。ユーザーを育てていかないと、ゲーム業界は続いていかないわけです
一番いいのは、マーケティングの頭を持ったクリエイティブのできる人
携帯電話やパソコンなどのデジタル機器も、何かのきっかけで見直しが行われる可能性があると僕は睨んでいます。そのきっかけとなるのは、反論を承知で言えば、学力低下ではないかと思っています
ゲームは玩具からサービスに変わる
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『どんな判断や!』稲船敬二・著 光文社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334976603
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◆目次◆
第1章 稲船敬二、どんな判断や!─独立・起業の判断
第2章 人間と物事の本質を見抜く判断
第3章 就職の判断
第4章 上司に従うべきか、逆らうべきかの判断
第5章 ビジネスの判断
第6章 デジタル時代の判断
第7章 海外とのビジネスでの判断
第8章 マーケティングを重視すべきか否かの判断
第9章 仕事の失敗の判断
第10章 成功体験をどう判断するか?
第11章 お金をかけないとおもしろいゲームが作れないって、どんな判断や!
第12章 クリエーターからコンセプターへ
第13章 クリエイティブに影響する満たされた時代
第14章 デジタル時代に必要な「考える力」
第15章 どうなる? ソーシャルゲーム
第16章 海外でのゲームビジネス
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