2008年11月28日
【大前研一なら今、どこに投資するか?】
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本日の一冊は、ベストセラー『チャイナ・インパクト』で中国投資ブームの後押しをした著者、大前研一さんが、注目のロシア経済を取材し、その最新動向をまとめた渾身のレポート。
※参考:『チャイナ・インパクト』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062111527/
拡大を続けるマーケットと旺盛な消費意欲、進出した日本企業の好調ぶり、IT大国としての可能性など、投資先としてのロシアの魅力を余すところなくとらえ、豊富な事例とともに紹介しています。
ウォッカからビールへ嗜好が変わってきたという話や、三菱自動車がトップブランドであるという話、またJTが今、サンクトペテルブルグで最も法人税を払っているなど、日本ではあまり紹介されない話がふんだんに盛り込まれており、興味を引きます。
また、『チャイナ・インパクト』の時もそうでしたが、どんなカテゴリーにチャンスがあるのか、投資先としてどんな企業があるのかなど、かなり細かく書かれており、参考になります。
経営者・起業家にとっては、読んでいるだけでビジネスアイデアが湧き、ワクワクして来る、そんな内容に仕上がっています。
ロシア投資に興味のある方、中国・ロシア情報をアップデートしたい方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ロシアのソブリン・ウェルス・ファンド(政府系ファンド)は、原油高を背景に拡大を続け、いずれ一〇〇兆円規模に達し、オイル・マネーを抜いて世界最大規模の国家ファンドになるだろう。その国家ファンドが今、「日本にも投資したい」と言っている
フラットタックスによって税収が増えることは、他の国でも証明されている。税率は一見低いようだが、脱税はなくなり、税金を払う側も無理に法人化するなど節税のために余計なエネルギーを使わずにすむ
広大な国土に比して人口は少なく、日本よりやや多い一億四一九〇万人(二〇〇八年六月時点)程度(中略)広大な国土に比して少なすぎる人口は、ロシアにとって不安要素ではある
ロシアの経済を牽引するのは、なんと言ってもエネルギー資源だ。ロシアの原油は埋蔵量で世界七位、生産量ではサウジアラビアに次いで世界二位。一方、天然ガスのほうは埋蔵量も生産量もともに世界一位を誇る
BRICs諸国のなかでもロシアが際立った特徴を示しているのが、大学や専門学校を含めた進学率の高さである。ロシアの第三次教育への進学率は実に約七二%。それに対してブラジルは二五%、中国二二%、インドは一一%にすぎない
BRICsのなかでは、唯一ロシアだけが中間所得層を形成し得るといえる。知的レベルが高いということが、ミドルクラスへのチケットだからだ
ロシアでは家電製品や車がまだほとんど普及していない
ロシアのビール市場は、一九九八年の経済危機当時から二〇〇五年までに、年率一五%の急速な成長を遂げた。二〇〇六年の年間消費量は九六〇万キロリットルで、日本やドイツを抜いて世界三位の市場になっている
ロシアの他の国との圧倒的な違いは、輸入に対する抵抗感がないこと
九〇年代前半から地道に売り上げを伸ばし、今やロシアのトップブランドになっているのが、実は三菱自動車
サンクトペテルブルグとその周辺では、賃金レベルの上昇が起こり始めている。今後、製造業の投資が続けば、技術者や労働者の確保が大きな問題になる可能性もないわけではない
私がIBAに注目しているのは、実はベラルーシがソ連の一部だった時代、首都ミンスクにはかなり大規模な軍事拠点があり、相当優秀な人材がいるはずだからだ。投資の機会があれば狙ってみようかと思っている
中国の暴走をどう止めるか、そしてアメリカの唯我独尊的な態度にどう対応していくかを考えたとき、「ロシアをEU化してしまうほうが得策だ」というメンタリティがEU側に出てくる可能性は高い
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『ロシア・ショック』講談社 大前研一・著
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◆目次◆
序章 激変する世界の潮流
第1章 プーチンの奇跡
第2章 拡大する市場
第3章 愛される日本、出遅れる日本
第4章 二一世紀のIT大国・ロシア
第5章 内政・外交の光と影
第6章 ロシアとEU
終章 日ロ関係の未来図
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2008年11月28日
【今、裏で大儲けしているのは誰か?】
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本日の一冊は、熱心な読書家で、アマゾン時代から親交のある徳間書店のIさんが、珍しく興奮気味におすすめしてくれた一冊。
最近のブームを意識してか、サブタイトルに「大恐慌」なんて言葉が入っていますが、メインは世界のヤミ経済の話です。
興味深いのは、歴史の転換期には必ず「ならず者経済」が繁栄するという点。
確かに、歴史に残る大商人たちはすべて、大きな転換期に乗じて財を成しました。これは、本書に登場するヤミ商人の場合でも同じようです。
共産主義が瓦解し、女性が貧困に陥ったところにつけ込んだ売春婦売買、血塗られたダイヤモンドとゴールド、偽造航空機部品の売買、インターネットのいかがわしい商売…。
グローバリゼーションの影響により、富める者はますます富み、貧しい者は世界中で奴隷として売買される。
そんな悲惨な世界の現状が、気鋭のエコノミストであり、テロ資金の専門家でもある著者の鋭い筆致で明らかになる、そんな刺激的な一冊です。
かなり後味の悪い本ではありますが、教養として、ぜひ読んでおくことをおすすめします。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ローマ人にとって奴隷は、高値がついてあたりまえの希少な価値ある商品だった。ところが今日の奴隷は、豊富に存在する使い捨て商品であり、”国際ビジネスの必要経費”のひとつでしかない
現在の奴隷のほとんどは、同国人によって売られている
今日わたしたちが消費するすべての商品には、奴隷労働から略奪、偽造からごまかし、窃盗からマネーロンダリング(資金洗浄)といった隠されたダークな部分がある
現状では、イスラエル人がナターシャを買えば買うほど、アラブのテロリストたちのふところに金が入る
”セックス売ります”のマーケティングが売春の需要を伸ばしたとしたら、売春の美化がスラブ系の女性をセックス産業に誘い込むのを容易にしたと言えるだろう。たとえば『卒業白書』『プリティ・ウーマン』といったハリウッドの大ヒット作が、現実とはまったくちがう売春のイメージを世に広めている
安く簡単に金が借りられるようになって、人々は自分が持っていない金を使うようになった。一九九三年には八億ドルだったアメリカ消費者の負債額――クレジットカードの支払い、銀行のローン、車のローンも含む――は、二〇〇四年には二兆ドルに跳ね上がった。それは世界経済の約三%に匹敵する額である
驚くべきことに、グローバル時代のスーパーリッチたちを富ませているのは、投資による収益ではなく、給料の増加である
ユーロが導入されたことで、非合法ビジネスによる利益の出所を法執行当局につかまれずに、現金をEU内で移動、交換することが容易になった
人々は貧困のせいで血を売り、貧困のせいでエイズに感染した
エチオピアの栽培農家が一ポンド五五セントから一ドル六〇セントで売った豆を、スターバックスは二六ドルで売っていた
偽造航空機部品の売買はゆゆしきことだ。「テロ攻撃で死ぬ人より、欠陥商品による航空機事故で死ぬ人のほうが多い。それなのに、政治家たちは違法部品の売買に目を向けようとしない」(航空機関係のアメリカ人情報源)
あなたの結婚指輪も、コンゴ東部の軍閥に誘拐されて奴隷にされた少年兵の血で汚れているかもしれない
「インターネットでナンバー1のビジネスはポルノ、ナンバー2はギャンブル、そしてナンバー3は児童ポルノ。これは間違いないね」(イタリアのイーゴールド仲介業者)
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『ならず者の経済学』徳間書店 ロレッタ・ナポレオーニ・著
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◆目次◆
はじめに 史上最大の転換期に暴れる邪悪な経済力
1章 イスラエル人が女を買えば、アラブが儲かる
2章 超借金でアメリカは破産する
3章 アスリートたちはなぜ用心棒になったのか?
4章 中国はカオスを食べて繁栄する
5章 偽造品と中国の熱い関係
6章 あなたの結婚指輪は血で汚れていないか?
7章 ダークな欲望を操るネット起業家
8章 漁業海賊は日本へホンマグロを運ぶ
9章 なぜ政治家は大衆を怯えさせるのか?
10章 市場国家は神話を好む
11章 ギャング団はグローバル化に抵抗する
12章 <ならず者経済>に対抗するイスラム金融
おわりに 欧米の脱落と、中国・イスラム諸国のパワー
訳者あとがき 覚悟せよ! この不況は50年つづく
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