2008年8月19日
【権限を持たずに人を動かす方法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4419050500
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本日の一冊は、GEや東芝、IBMなどでリーダーシップ開発のコンサルティングを行うアラン・R・コーエン教授と、スタンフォード大学ビジネススクールで組織行動学を教えるデビッド・L・ブラッドフォード博士による組織人間学の決定版。
「影響力」というと、すぐに相手を動かすあざとい心理テクニックが思い浮かびますが、本書が提案しているのは、レシプロシティ(互恵性)に基づく人間関係構築と交渉のテクニックです。
つまり、人はそれぞれ求めているものが違うわけで、それを正しく認識し、適切な取引を行えば、人は必ず動かせる、というわけです。
著者は、この相手が認識する価値あるものを「カレンシー(通貨)」と呼び、人によって異なるカレンシーを説明しています。
カレンシーには人をやる気にさせるビジョンや重要な仕事という、上昇志向の人が好むものもあれば、仕事への援助や所属意識、感謝の表明などといったものもあり、いかに人によって欲しいものが違うのかを、まざまざと見せつけられます。
相手がどんなカレンシーを求めているかを探る質問、相手との対話の仕方など、かなり具体的なところまで載っているので、じつに参考になる内容です。
コミュニケーション能力を向上させるための心構えとしても秀逸で、興味深い言葉がいくつも見つかります。
たとえば、「あなたは自分が正しいことを証明したいのか、それとも求められる成果をあげたいのか」「相手が受け入れやすい方法できかけなければ、影響力を発揮することはできない」という言葉。
一読しただけだとそれだけの内容ですが、実際にはほとんどのコミュニケーション問題の根幹を言い当てた、鋭い見識だと思います。
自分が上司であれ部下であれ、組織内でのコミュニケーションが苦手、という人には、本書は一読の価値があります。
ちょっと高めですが、ぜひだまされたと思って読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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権力がなくても人は動かせるのだ。いや、権力など使わなくても人は動いてくれるのだ。この原理こそレシプロシティである。人にして欲しいことがあるのなら、自分から先にしてあげなさい。そうすれば人は動いてくれる。人の歴史はこの原理の正しさを証明し続けてきた(刊行にあたって 高木晴夫教授)
非協力的な人を動かすのは最大の課題である。早まって相手を悪く言うより、あなたが動かしたい相手は誰であっても仕事上の味方になり得ると考えよう
組織の中で人を動かすには、常に仕事の質と人間関係の質の両方を保つ必要がある
人を動かす力は、他者のためになることを常に真剣に考えている人が発揮できる能力なのである
◆よく効くカレンシー
1.気持ちの高揚や意欲を喚起するもの
2.仕事そのものに役立つもの
3.立場に関するもの
4.人間関係に関するもの
5.個人的なもの(その人自身に関すること)
自由裁量の幅を広げたい、挑戦の機会をもっと手に入れたいと願う人は少なくはないが、たいていは自分の仕事に手を貸して欲しい人や負担が減ると喜ぶ人の方が多い
ある人たちにとっては、集団に属しているという感覚が、価値あるカレンシーになる
支援的であること自体に価値を見出す人々にとっては、仕事に関係ないことであっても感謝を表明されると嬉しい
相手が日常の仕事で何を大事にしているのかを見ると、その人にとって何が重要なのかをとらえることができる。どんな用語、表現を使っているのか。協力したくないとき、何を言い訳にするか? 依頼に応えると周囲からどのような評価や報酬が与えられるのか?
評価や報酬の基準は、人の行動に大きなインパクトを与える
手助けを求められた時に、すぐさま他に誰が関わっているかを尋ねる人は、社内の派閥の動きを懸念している可能性が高い
見えていない価値を見せ、交換する
・離職によるコスト
・過剰在庫の保管コスト
・従業員満足度と売上の関係
・顧客ロイヤリティがもたらす価値
・障害やサービスの遅れによるコスト
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『影響力の法則』アラン・R・コーエン、デビッド・L・ブラッドフォード・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4419050500
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◆目次◆
第1章 なぜ影響力なのか―この本から得られること
第2章 影響力の法則―レシプロシティを活かす
第3章 交換メカニズムで人は動く―何を交換するのか
第4章 なにが人を動かすのか―相手の世界を知る
第5章 使っていない力を活かす―目標、優先順位、リソース
第6章 人間関係を築く
第7章 交換の戦略
第8章 上司に影響を与える
第9章 やっかいな部下を動かす
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2008年8月19日
【ヒーローの条件と生き方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4267015864
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本日の一冊は、西洋の偉人たちに絶大な影響を与えた人物伝の古典、『プルターク英雄伝』です。
訳者の鶴見祐輔氏をして、「誰人でも、この英雄伝のうちから、かならず自己の理想とする人物を発見する」といわしめるほどの名著で、単に英雄たちの歴史をなぞるだけでなく、彼らの人となりやエピソード、セリフを交えて書かれた、じつに読み応えのある一冊です。
テミストクレスを「セミストクリーズ」、アテネを「アセンズ」と訳すなど、固有名詞を英語読みにすることでかえってわかりにくくなってしっているのが非常に残念ですが、それでも英雄たちの素顔に迫ることができる貴重な文献ということで、読む価値はあります。
ペルシャ戦争の勝利を導いたテミストクレス、、テーベをギリシアの覇権国へ押し上げたペロピダス、アレクサンドロス大王、そしてカエサル…。
ギリシア、ローマの英雄たちの波乱万丈の生涯を描いた本書は、自らの生き方の理想を求める人には、ぜひおすすめしたい一冊です。
人々が支持するリーダーとは、どんな人物なのか、どんなエピソードが人々の心を打ったのか。
指導者たるもの、一度は読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆セミストクリーズ
彼の胸には早くから政治的生活にたいする熱烈な興味と、立身出世の燃ゆるがごとき野心がしみこんでいたことは争われぬ事実である。彼は最初から最高の地位を得んとしたために、アセンズにおけるもっとも強勢にして有力なる人々の憎悪を買って悔いなかった
彼は庶民の間には人望があった。市民に会うと、誰にでも、ちゃんとその名を呼んで挨拶した。そして商売上市民の間の問題については、いつでも公平な裁判官であったからである
彼の愛嬢に恋をした二人の者があった。彼は、人間のない財産よりも、財産のない人間の方を望むと言って、金持ちよりも、能力のある人物を選んだ
◆ペロピダス
種族と血縁によって結ばれた人々は、危険がせまると相互をほとんどかえりみないが、愛に根ざした友情に結ばれた集団は、けっして破れず、打ち克ちがたい
ペロピダスが家を去りて征途につこうとしたとき、彼の妻は途中まで送り、涙を流してその生命を重んずるようにかきくどくと、彼は
こう答えた。「わが妻よ、一私人には自愛することを勧むべきであるが、将師たるものには、他人を救うことを勧めねばならぬぞよ」
◆アレキサンダー
彼は最後には王室財産のほとんど全部を分与しまたは典物としてしまった。そうしてこれを見たペルディッカスが、王自身のために何
物を残さんとするかと問うたとき、アレキサンダーは「今後の希望」と答えた
ダライアスの妻は、その良人が身の丈優れた当代一の美男であったごとく、一世に冠絶した麗人の聞こえ高く、二人の娘もまた両親におとらぬ美貌であった。しかしながらアレキサンダーは、敵を征服するよりは自己を克服することがいっそう王者の面目であると考え
ていたので、そのいずれとの間にも慇懃を求めなかったのみならずダマスカスにおいて捕虜としたメムノン未亡人バールシーンを除い
ては、いかなる未婚の婦人にも近づかなかった
かたわらに居ならんだ者どもが誰も彼も頸を延ばしてあえぐように
水を見つめているのを見たとき、彼は兜の水の一滴をも味わわずいくたびか感謝しながらこれを還した、「なぜならば」と彼はいった「もし余ひとりこれを飲んだならば、残りの者の落胆はどれほどだと思う」この節制と大度とを見るやいなや兵士らはいっせいに立って彼らをひきいて勇敢に前進せんことをアレキサンダーに叫び求めた
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『プルターク英雄伝』プルターク・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4267015864
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◆目次◆
序
プルターク伝
セミストクリーズ
アルシバイアディーズ
ペロピダス
アレキサンダー
シーザー
アレキサンダーとシーザーとの比較
マーカス・ブルータス
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