2007年7月5日
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本日の一冊は、米「スマート・マネー」誌の調査で、「ウォール街で最も影響力のある人物」に選ばれたマイケル・J・モーブッシンが、クレディ・スイス・ファースト・ボストン在籍中に書いたエッセイ。
エッセイといっても、内容は極めて緻密で、投資の理論と哲学、心理学などを論じた、じつに知的な内容です。
ロバート・ルービン元財務長官が述べた「意思決定における4原則」をはじめ、「重要なのは正解の頻度ではなく正解の大きさである」という「ベーブ・ルース効果」、タッパーウェアパーティに学ぶ投資の心理学など、内容はじつに多岐にわたっています。
さまざまな学問や投資家の名言を紐解き、それらを投資の実践に収束していく著者の手際は、じつに見事です。
豊富なデータから人間行動の真理が見えるところが、本書の優れたところであり、醍醐味だと思います。
最近、投資の本を読んでワクワクしたことはあまりないのですが、本書は、久しぶりに興奮させてくれた一冊。
投資に興味がある人はもちろん、意思決定や心理に興味がある人も、
ぜひ読んで欲しい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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投資の哲学が優れていても、規律や忍耐を伴わなければ意味をなさない
問題は、レースに出走するどの馬が最も勝ちそうかということでは
なく、どの馬(馬たち)が実際に勝てるチャンスを超えたオッズを
提示しているかどうかである
◆ルービンの4原則
1.唯一確かなのは、確実なものはないということである
2.意思決定においては確率についてよく考えるべきである
3.不確実性があるにも関わらず、われわれは行動しなければならない
4.意思決定を評価するには、結果だけではなく、その過程も考慮すべき
長期保有、安い手数料、逆張り、といった要因は、純粋な投資行為
にとっては都合がいい。対照的に、短期売買、高い手数料、人気の
ある商品を売るといった手法は、投資ビジネスにとって都合がいい
のである
人間はある大きさの利益に対して感じる満足より、同じ大きさの損
失に対して感じる不満のほうがはるかに大きい
プロのギャンブラーはいくつものゲームをプレーしない。つまり、
カジノをぶらついて、ブラックジャックで勝負し、クラップスでサ
イコロを転がし、スロットマシンを試してみるといったことはしない
1997年にモーニングスターは、米国株式ファンドの回転率とパフォ
ーマンスについての包括的な調査を実施した。その結果、さまざま
な調査期間において、回転率の低いファンドのパフォーマンスが、
回転率の高いファンドを上回っている事実が明らかになった
マーケットは、完全に独立した投資家が集まって動いているシステ
ムではなく、一部に模倣によって行動する集団を含んでいる
イノベーションがもたらすような変化は、とても小さく、そして少
しずつ顕在化するものだ。よほど注意深く観察していなければ、少
しずつ積み重なっていくイノベーションの効果を見逃してしまい、
あなたは結局、昨日の優良企業と運命を共にすることになるだろう
人間は、ある出来事を説明したり言い表したりするときに、最初に
認識した数字や情報を重視する
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『投資の科学』
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┃▼目次▼
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┃ 謝辞
┃ まえがき
┃ 第1部 投資の哲学
┃ 第2部 投資の心理学
┃ 第3部 イノベーションと競争戦略
┃ 第4部 科学と複雑系理論
┃ 結論 投資の科学が示唆するもの
┃ 各章の注
┃ 主な人名・固有名詞索引
┃ 監訳者あとがき
┃ 訳者あとがき
┃
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