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『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』


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本日の一冊は、ディスカヴァーが新たに立ち上げた新書シリーズ、「ディスカヴァー携書」の一冊で、アイデア発想法に関する内容。

著者は、日本を代表するクリエイター、博報堂ケトルのCEO、嶋浩一郎さんです。

アイデア発想法や情報整理に関しては、これまでにもたくさん本が出ていますが、本書の特徴は、情報を放し飼いにし、そこから化学反応を起こす方法を説いた点にあります。

著者いわく、「『分類コントロール型』の情報整理はもう古い!」。

「情報を”生み出す”ことを目的とする場合、検索を便利にするためのファイリングは、かえってクリエイティビティを阻害する要因になってしま」うというのです。

次々と斬新なアイデアが求められる現在、必要なのは、情報を「交配」させる仕組みであり、それを企画に仕上げるテクニックです。

それらを自分のものにするために、今から何を始めるべきか、ぜひ本書を読んで学んでみてください。

薄いながらも、学びの多い一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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もし、情報が放し飼いできれば、情報と情報の”想定外”の出会い
=「化学変化」をプロデュースできる

情報を”生み出す”ことを目的とする場合、検索を便利にするため
のファイリングは、かえってクリエイティビティを阻害する要因に
なってしまいます。なぜなら、ファイルに入れた瞬間に情報は死ん
でしまうからです

「ヴィレッジヴァンガード」は既存の分類でいくと書店という分類
に属するのでしょうが、書籍の隣に、雑貨があって、その隣にキャ
ラクターグッズが売っている。でも、それぞれの商品はゆるーく、
関連している

創造を刺激する陳列方法として、圧縮陳列以外にも「文脈棚」とい
うものがあります。これは東京―千駄木にある「往来堂書店」の有
名な本の陳列方法で、「雑誌」や「文庫」や「大型本」といったこ
れまでの本の整理法をいっさい無視して、その本のテーマにそって
陳列するやり方です

リリー・フランキーさんのエッセイに出てきた「思わず郵便物を投
函したくなるような巨乳」など、これは使える! と思える文章表
現や、たとえ、比喩などを、次々収集していきましょう

作家の井上ひさしさんは、辞書を引くときに、前後の関係の無いボ
キャブラリーも一緒に読んでいたそうです。きっと、それらの何の
関係も無い言葉、ひとつひとつが、クリエイティビティにいい影響
を与えたんだなあと思います

クリエイティブな情報の「交配」を進めるためには、多少のトレー
ニングが必要です。私が意識的にやっていることは、前にも書いた
ように、本屋さんに並んでいる本のタイトルを結びつけ、上位概念
の言葉に次々と置き換えていくことです(中略)本のタイトルをむ
りやりにでも交配させてひとつの言葉にまとめていけたら、今の日
本の気分をワンフレーズで言い表せるはずです

結びつける情報が乖離していればいるほど、企画にインパクトが出
てきます

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『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』
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■目次■

はじめに
プロローグ 片づけできない人の味方です!
21世紀は片づけできない人の時代
ステップ1 とにかく集める!<情報収集編>
ステップ2 寝かせて、並べる<情報の放牧編>
ステップ3 予想外の出会いとアイデアの誕生<化学変化編>
おわりに

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『悪夢のサイクル』


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本日の一冊は、ジャーナリスト、経済評論家として活躍する著者が、日本で「ワーキングプア」が生まれた背景や、人心が荒廃した理由を明らかにした、注目の一冊です。

前段で格差社会の現状を俯瞰し、自殺者数や刑法犯の増加など、深刻な社会問題の存在を指摘。

アメリカで起きたイースタン航空倒産と、それにともなう従業員の自殺(26人が自殺)、日本の航空会社でも起きた無理なコスト削減と安全性の危機など、格差問題が社会に及ぼす影響の大きさを感じさせる内容です。

中盤からは、なぜ格差の拡大が起きたのか、その理由を、フリードマンのマネタリズムに求め、それがいかにして各国に悲劇をもたらして行ったか、つぶさに検証しています。

内容の中心は、経済理論と日本の政治・経済・社会ですが、これほどまでに理論とそれがもたらした影響をわかりやすく説いた本も珍しいと思います。

日本の政策を導く人々が、いかにあさましい人々なのか思い知らされ、絶望する向きもあると思いますが、最終章の希望に満ちたメッセージを読めば、少しは救われるはずです。

「賢い者が勇気をもって発言をしていく、そういう人々のいる社会が人類を本当にいい方向に導く」

日本がそういう方向に向かっていくことを祈りつつ、筆を置きたいと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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富裕層にのみ、私立進学の道がひらかれているということは、結果
としての平等だけではなく、機会としての平等も今日の私たちの社
会は失っていることになる

規制緩和とは、ほんの一握りの非情でしかも貪欲な人間に、とてつ
もなく金持ちになる素晴らしい機会を与えること(ポール・デンプシー)

規制緩和は、中央と地方の格差をより大きくする

「労働」や「福祉」「医療」「教育」などの分野に対する規制の緩
和は、ひとつひとつ公共性との関係を慎重に検討しながらなされる
べきだった

今日、フリードマンのいわゆるマネタリズムの原則、「競争してい
る市場は安定している」「競争市場は常に公平だ」という前提は、
もう時代の現実に合わなくなっている

「かつて会ったフリードマンは、こうした極貧の中で苦労して生き
ていくユダヤ人たち、その中で病気で死んでいった人たちに対して
涙する人間でした。そしてそのうちのいったい何人がフリードマン
のように立派な家をつくることができたのでしょうか」(伊東光晴氏)

一九八六年から始まったバブルと、国、自治体、企業をあげての借
金競争、そしてバブルの破綻による、自治体、企業、金融機関の不
良債権の山、それを整理すると称しての「規制緩和」「自由化」と
いう「改革」。そのすえの弱小企業の淘汰、雇用の喪失、貧富の差
の拡大、外資の進出……。日本は、ネオリベラリズム・サイクルが
ちょうど一巡しようとしているところなのです

国家でもない、市場でもない、第三の道がある。国家が市場を計画
し、すべてをきめるのではなく、市場が人間を支配するのでもない、
第三の道。それは、人間が市場をつかいこなすという道です

「人を市場に合わせる」のではなく、「市場を人々に合わせて調律
する」ことをしていかねばならないということです。規制とは、そ
のためにおこなうものです

賢い者が勇気をもって発言をしていく、そういう人々のいる社会が
人類を本当にいい方向に導く

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『悪夢のサイクル』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163684808
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■目次■

プロローグ
第一章 未来は見通せていた
第二章 なぜ、私たちはルール変更を受けいれたのか
第三章 市場原理主義の起源
第四章 悪夢のサイクル
第五章 日本のシカゴ・ボーイズ
第六章 バブル再考
第七章 戦争との親和性
第八章 人間が市場を

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