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『日本がギリシャになる日』真壁昭夫・著 vol.2283


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【日本復活へのシナリオは?】
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本日の一冊は、第一勧業銀行、メリルリンチ、みずほ総研主席研究員を経て、現在は信州大学経済学部教授として活躍する真壁昭夫さんが、日本の長期低迷の原因と、財政の現状をまとめ、これから進むべき方向性を提言した一冊。

タイトル自体はじつに過激ですが、ギリシャと日本を比べることで、日本がなぜか持ちこたえている理由、今後何が起こった場合、最大のリスクとなるのか、詳しく理解することができます。

さまざまな悲観論、楽観論が入り乱れる中、バランスの取れた一冊で、GDPや労働人口、主要産業の推移、さらにはアメリカやユーロ圏の話に触れながら、日本が現在置かれている状況を客観視することができます。

民主党の政策に関しては手厳しい評価ですが、その理由についても、極めて理性的に述べています。

ケインズが提唱したwise spendingの考え方、手厚すぎる生活保護や雇用保険の問題点、成長なき増税への意見など、読んでいていちいち頷くことばかり。

後半では、わが国が今後取り組むべき課題も整理されており、現在の経済状況に不安を感じる人は、ぜひ読んでおくべき一冊だと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人口減少・少子高齢化が進み、企業も、国際競争力を失いつつある状況下、政府が、現在のようなペースでバラマキ型の財政支出を続けていると、いつか必ず、国内の資金だけでは、大量に発行される国債を消化することができなくなるはずだ

グローバル化社会では、単なる技術の高さだけでは勝ち残れない。地域や国ごとの需要者のニーズの違いを細かく汲み取って、人々が欲しいモノを供給するスタンスが必要なのである

ケインズは、同時にwise spending(賢い支出)という考え方も示している。これは、利用者がほとんどいないような道路や橋、市庁舎のようなハコモノを作るのではなく、将来的に生産性を高めるようなハード・ソフト両面でのしくみ作りのために工夫して、賢く支出するということである

元々、高いリターンは高いリスクへの報酬であるから、リスクを避けることに終始していれば、資金の流れが停滞することになる

今や、労働力人口六六〇〇万人の内、サービス業の就業者は二五〇〇万人に迫り、一〇〇〇万人強で推移する製造業を大幅に上回っている。また、GDPに占めるサービス業の割合は約七割である

生産性の向上が経済にとってプラスに作用するためには、不必要になった経営資源が、より収益性の高い分野へと移ってゆく必要がある

手厚すぎる生活保護や雇用保険では、労働意欲そのものを失わせてしまう危険がある

日本の国債は九三?九五%が国内で消化されている。国債の保有者別の内訳を見ると、約七割が国内の金融機関によって保有されているのがわかるだろう

一九八〇年代前半には二〇%、一九九一年度には一五%もあった貯蓄率は、この二〇年間に急降下し、近年は三%台で推移している

成長なき増税は、経済の活力を殺ぐだけである

◆わが国の展望・重要なポイント
1.国内の需要を高める
2.労働生産性を高める
3.新興国の需要を取り込みつつ、協力体制を構築する

教育機関のあるところに若者が集まり、街ができることはどこの国でも同じであり、ごく自然なことである

日本の企業が今後たくましく発展するならば、法人税を下げて、より多くの資本が翌年の企業活動の拡大に充当されるようにし、大きくなったパイの下で、雇用拡大に伴う個人所得税の増加や、消費の増加に伴う消費税の増収を図る方が、経済政策としては整合的である

中国では、日本の農産物や日本企業の加工食品等にはブランド価値がある

長期的な「期待」の変化で経済は変わる

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『日本がギリシャになる日』真壁昭夫・著 ビジネス社
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◆目次◆

序 章 失われた二〇年
第1章 日本が財政悪化に直面するとき
第2章 経済構造の大変化=多極化する世界
第3章 わが国の行く末=四〇年後の日本
第4章 まだ間に合う日本経済復活の道筋

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