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『競争と公平感─市場経済の本当のメリット』大竹文雄・著 vol.2222


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【目からうろこの一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4121020456
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最近、いろんな方のブログやツイッターのコメント、出される書籍の傾向を見ていると、いまの日本の若いビジネスマンは、競争を必要以上に避けているきらいがあると思います。

競争を愛した古代ギリシアの発展を見ても、経済学的な見地から見ても、本来、競争は社会の発展になくてはならないものです。

ただ問題なのは、この「競争」と「公平感」をどうやって両立させるかというもの。

さまざまな研究が示しているように、「公平感」は、人の幸せに直結する感情だからです。

本日ご紹介する一冊は、大阪大学社会経済研究所教授であり、数々の良書を出されている大竹文雄さんが、現在日本の「競争」と「公平」について論じた一冊。

とはいっても、決して大上段に構えた政策提言ではなく、さまざまな研究成果から、現在の日本人にどんな心理傾向があるか、なぜ現在の政策が効かないのか、じつにわかりやすく解説してくれています。

下手な雑学本よりもずっと面白く、どんな人間が競争で勝てるのか、女性と男性のパフォーマンスはどんなときにどう違うのか、どんなしつけをした子どもが将来金持ちになるのかといった、さまざまな知識が入っています。

人差し指より薬指が長い男性が仕事で成功する理由、最近流行りの「小さく産んで大きく育てる」が子どもの将来を考えた場合、間違いである理由、学歴が高く金持ちの親ほど子どもを甘やかさない理由など、読んでいるだけで目からうろこ、間違いなしです。

これを読めば、なぜ今どきの若い人が人脈本を書きたがるのか、本田直之さんの本を読むのか、その理由もよくわかります。

自分が豊かになるためのヒントとして読むのはもちろんのこと、自分の子どもへの教育、そしてあるべき社会の姿を考えるためにも、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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最も魚が獲れる時間に集中的に働いたほうが、魚が獲れない時間に長く、魚が獲れる時間に短く働くより、より多くの魚が獲れる

市場競争とは、いわばインセンティブの与えられ方の一つである。厳しい競争にさらされるのはつらいかもしれないが、私たちは競争そのものの楽しさや競争に打ち勝った時の報酬があるから競争に参加する。しかも、市場競争を通じた切磋琢磨は、私たちを豊かにしてくれるという副産物をもたらす

日本人で運やコネが大事だと答えた人は、九〇年で二五パーセント、九五年で二〇パーセントと少数派であったものが、二〇〇五年になると四一パーセントに急増

一八歳から二十五歳の頃、つまり、高校や大学を卒業してしばらくの間に、不況を経験するかどうかが、その世代の価値観に大きな影響を与えるというのだ。この年齢層の頃に不況を経験した人は、「人生の成功は努力よりも運による」と思い、「政府による再分配を支持する」が、「公的な機関に対する信頼をもたない」、という傾向があるそうだ。この価値観は、その後、年をとってもあまり変わらないということも示されている(カリフォルニア大学ロサンゼルス校のギウリアーノ教授とIMFのスピリンバーゴ氏の研究から)

競争的な環境では、女性よりも男性のほうがいいパフォーマンスを示す

女子校の生徒は、共学の女生徒よりも競争的報酬体系を選ぶ傾向がある

十両や前頭下位で引退した力士よりも、横綱や大関といった上位に昇進した力士のほうが、平均的には薬指が人差し指より相対的に長く、その差は統計的にも有意であることが明らかになった。瞬間的な判断力を必要とする職種では、テストステロンの量が重要な資質として機能するようだ

この傾向(正社員と非正規社員との二極化)を止めるには、正社員の雇用保障の程度を低めるか、五?一〇年程度の任期のなかでは繰り返し雇用を自由にできる、任期付き正社員という制度を設けることが解決の方法

出生時の体重低下は、将来の日本経済に大きな影響を与える可能性がある

時間割引率が低い(忍耐強い)親は、自分の子どもを厳しくしつける傾向が日米ともにあることをアンケート調査から明らかにした。
(中略)学歴が高いほど、所得が高いほど時間割引率が低いということは、実証的に明らかにされている

天国や地獄といった死後の世界の存在を信じる人の比率が高い国ほど経済成長率が高い一方、教会に熱心に行く人の比率が高い国ほど経済成長率が低い

高齢者向けの政府支出が政治的理由で増えていくことのデメリットは、そのために人的資本への投資が少なくなることで、経済成長に悪影響を与えることである

実は、最低賃金引き上げで被害を受けるのは、新規学卒者、子育てを終えて労働市場に再参入しようとしている既婚女性、低学歴層といった、現時点で生産性が低い人たちだ

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『競争と公平感─市場経済の本当のメリット』大竹文雄・著 中央公論新社
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◆目次◆

プロローグ 人生と競争
I 競争嫌いの日本人
II 公平だと感じるのはどんな時ですか?
III 働きやすさを考える
エピローグ 経済学って役に立つの?

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