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『おまんのモノサシ持ちや!』篠原匡・著 vol.2220


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【デザインで売れるとはこういうことだ!】
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先日、テレビ収録の合間の控室で、山田真哉さんと斎藤広達さんに、「最近、土井さん地方によく行っているよね」と声を掛けられました。

…さすが、できる人は『目のつけどころ』が違う。
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確かに、地方に行ったって交通費・宿泊費を考えたら儲かりませんし、手間ばかりかかります。

それでも行っているのは、地方にはまだ見ぬ人材との出会い、そして東京にはない「アイデア」があるからです。

土井はギリシアに留学していた時代、アメリカ人に「テリヤキ食べたい」と言われ、急速に個性が失われていくグローバリズムの恐ろしさを直感しました。

もう、「日本」なだけでは差別化できない。差別化のポイントは、もっと違うところに求めないと勝てない時代なのです。

本日の一冊は、古新聞を世界が注目するエコバッグに変え、何でもない砂浜を人気美術館に変えた土佐の反骨デザイナー、梅原真の流儀を、「日経ビジネス」の記者がまとめた一冊。

クライアントに怒鳴りつけ、会議の席上、書類を集めて帰ったことも一度や二度ではない。

そんな強烈なキャラクターの梅原氏ですが、前述の「差別化」に対する天才的な嗅覚で、さまざまなプロジェクトを成功に導いています。

土佐伝統の「藁焼きたたき」のブランド化に成功し、クライアントである明神水産の売上高は初年度の1800万円から何と10年後には23億5000万円になったそうです。

ほかにも、「土佐のアイスクリンあります」のコピーでは6000万円止まりだったのを、コピーを変えて3億2000万円に、柿渋石鹸を男性専用の「男の石鹸」にして、いずれも目覚ましい成果を上げています。

本書を読んでいて感心するのは、デザイナー梅原真の仕事の精神と発想力。

その根幹には、やはり地方への愛、オリジナルへの執着がありました。

情報化が進み、やたらと「模範解答」が求められる今、本当に必要なのは、自分独自の「モノサシ」です。

本書を読んで、モノサシを持つとはどういうことか、ぜひ実感してみてください。きっと仕事に対する意識が変わるはずです。

個人的には、著者、篠原匡さんの「あとがき」の言葉が一番心に染みました。

ちょっと癖のある本ではありますが、ぜひみなさんにも読んでいただきたいと思っています。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「豊かさとは、自分のモノサシを持つこと。 押しつけられた価値観でなく、自分のモノサシを持つこと。 それが、幸せに生きるということやと思う」

梅原は仕事を受けると、何度でも現地に通う。そして、土地の人々の話を聞き、時に議論しながらデザインを作り上げる。その過程で、商品が持つ魅力や生み出された背景、課題などを見つけ出し、デザインの糧にしていく

「どちらかというと、小さいもの、都合の悪いものの方が好き」こう打ち明けるように、弱いもの、困難に直面しているものに手を差しのべよう、という意識が強い

世の中の価値観が効率性や生産性に傾く中で消えつつあったカツオの一本釣り漁。その伝統漁法を守るために梅原が取った行動は、漁師と組んで一本釣りカツオのたたきをブランド化することだった

「漁師が釣って、漁師が焼いた。これ、このままでエエんとチガウんか」

梅原の「師匠」宝くじ売りのおばあさんのコピー「黙って買う」「祈る」「当たる」

「今のオレにはベースの部分がすっぽり抜け落ちとる」それに気づいた梅原はあえてマネキンを担ごうと思った

「デザインが1次産業を救ったとオレは考えちゅう」

「どこかの洗剤のCMやないけど、浜辺にずらっとTシャツが並んだらオモロイやんか」

地域の独自性を守ることこそ、時代の最先端になる道である

今後、世界はボーダレスにつながる。世界がフラットになればなるほど、日本は日本らしさを求められる。だからこそ、地方は都会を追いかけるのではなく、自分たちの足元を見つめ直し、明確なアイデンティティを持たなければならない―。

「10年たてば文化になる。10年は絶対に続けなさい」(ある企業の担当者がTシャツアート展の松本氏に言った言葉)

「『これって何』と思わせた時点で成功や」

「どうせなら男の石鹸にしたらどうや」

「自分の考え方を表明せんと、誰がものを買うてくれるか」

「赤い絨毯の上には絶対に乗らないものに光を当てる。それが、オレのコンセプト」

もちろん、モノサシを作れば、仕事にありつけるわけではないし、メシが食えるわけでもない。でも、独自のモノサシを持てば、人と違ったものに価値を見出すことができる。独自のモノサシで自分を評価すれば、人にはない違った魅力が見える。このモノサシは「自信」と言い換えることもできるだろう

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『おまんのモノサシ持ちや!』篠原匡・著 日本経済新聞出版社
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◆目次◆

第1話 明日やるのと違う。今、その場でやる
第2話 ものの見方を変えれば、いろいろな発想がわいてくるがよ
第3話 「?」に「?」をかければ、「+」になるろう
第4話 外に向いたベクトルを内に向けよ
第5話 仕事の基本は「ローカル」「ローテク」「ローインパクト」
第6話 じょうごで絞った最後の1滴を描け
第7話 おまんのモノサシで生きろ

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