2009年3月6日
【伊藤元重が語る大不況の「これから」】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062153165
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本日の一冊は、東京大学経済学部長の伊藤元重さんが、世界大不況の本質と、今後起こると予想される変化、そしてそれに伴うビジネスチャンスを論じた一冊。
「深刻な金融危機が起きた背景には、世界経済の構造そのものにも、『百年に一度』というような変化が起きているはず」という仮説のもとに、実体経済の変化を読み解き、その要因を「テクノロジーショック」と「ベビーブーマー引退による世界的な金余り現象」の2つに求めています。
氏によると、バブルの陰にはいつもテクノロジーショックがあり、事実、1929年の株価大暴落の際には、自動車バブルやラジオ局の乱立が起こっていました。
また、世界的な金余り現象という視点で読み解くと、なぜこれまで新興国市場が盛り上がっていたのか、不動産バブルが起こったのか、ウォンが暴落したのかがすっきり説明できます。
アメリカの消費が世界経済を支えてきた構造、人民元の切り上げを嫌う中国が負ってしまった枷など、ここまでわかりやすく書かれた本はそう多くないと思います。
さらに本書が優れているのは、今後有望と見られるセクターやビジネスについて、自分なりの見解を示している点。
世界不況について解説をした本は山ほどありますが、本書は、この先のビジネスに希望をもたらしてくれる、という点で類書とは一線を画しています。
これから起業する方、投資家、新たなビジネスチャンスを狙う方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本に限って言えば、金融危機というよりは、業績悪化不況
深刻な金融危機が起きた背景には、世界経済の構造そのものにも、「百年に一度」というような変化が起きているはず
◆実体経済の変化
1.テクノロジーショック
2.世界的に金余り現象が起きている
世界を変えるような技術革新が起きると、人々は経済の未来に対して楽観的になる。それがしばしば深刻なバブルを引き起こす
一九二〇年には米国にラジオ局は三つしかなかったが、その数年後には、五〇〇を超えるラジオ局ができていた
◆ファンドや投資銀行が考えた三つの投資分野
1.新興国市場 2.不動産 3.石油・資源・食糧など一次産品
新興国市場に流れ込んだ資金が出て行くとなれば、新興国の経済は大混乱に陥る。お隣の韓国がその典型的な例であり、短期間に通貨ウォンが急落したのは、韓国から資金が流出しているからである
最近まで、米国の家計の貯蓄性向はマイナスであった。つまり、米国の消費者は所得以上の消費をしていたのだ
一九三〇年代に世界が大恐慌に陥ったのは、株の大暴落の後、各国の政府が多くの”誤った”政策を繰り返したからである。端的に言えば、政府は金融危機に陥った銀行に十分な流動性(資金)を提供せず、多くの金融機関の破綻を招いてしまった
需要をいかに生み出すのかという点は、今後の主要国の経済運営にとって重要な課題となるだろう
デフレになれば、デフレの経済学であるケインズ経済学が再度表舞台に出てくる。米国や中国をはじめとした多くの国で、ケインズ政策が大胆に行われようとしている
中国のこの異常とも言える外貨準備の額は、中国が人民元の切り上げをできるだけ避けてきたという事情と深く関わっている
◆経済を需要から支えているものは四つしかない
1.家計部門による需要である消費
2.企業による需要である投資
3.政府部門による需要
4.輸出(外需)
資源や食料は日本にとっては弱点であった。だからこそ、今回の資源国に対する円高は大きなチャンスであるはずだ
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『危機を超えて すべてがわかる「世界大不況」講義』講談社 伊藤元重・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062153165
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◆目次◆
プロローグ
序 章 世界経済の底が見えない
第1章 なぜ金融危機が起きたのか
第2章 これは世界大恐慌の再来なのか
第3章 苦悩する中国はどうなるのか
第4章 日本経済―変わる風景
第5章 「次」への挑戦
エピローグ
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