2008年7月26日
【メディア、人はこう変わる】
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本日の一冊は、かつて「月刊アスキー」の編集デスクを務め、2003年にジャーナリストとして独立、IT分野に強いジャーナリストとして知られる佐々木俊尚さんが、ネットの近未来を論じた注目作。
インフォコモンズというのは、人が情報を収集する時、どのような枠組みの中で情報を収集するのかという、その文脈を特定していこうという考え方のことで、これを研究していくことで、今後のインターネットコミュニケーションのあり方を変えようというもの。
既にアマゾンなど、一部の企業が始めていることではあるのですが、ここの研究が進めば、モノの売り方にも新たな視点が加わるに違いありません。
また、個人にとっても、自分がどんな人間で、どんな人間とどんな話をどの程度深掘りして論じたいのか、見つめ直す機会になると思います。
確かに、SNSだけを見ても、現状のインターネットコミュニケーションにおいては、パブリックがプライベートを侵食してきたり、
これまで見ないようにしていた親友の違った面を見てしまったりと、混乱が発生しています。
ここを整理し、人間関係を高度に構造化できるアーキテクチャーや可視化するしくみを創ろう、というのが著者の考え方なのです。
こうして、効率的な情報収集の環境と、絆の確立されたコミュニケーション環境が整えば、人間の生活はもっと向上するはず。
最新技術の話が多く、読むのには多少苦労しますが、ベストセラー『ウェブ進化論』同様、未来予測としても読んでおきたい一冊です。
※参考:『ウェブ進化論』
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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情報が過度に流入してきて、前頭葉のデータ処理能力が限度を超えてしまうと、前頭葉は仕事ができなくなり、お手上げの状態になってしまう。そうなると、より古い本能的な部分である大脳辺縁系の出番となる
大脳辺縁系からわめき立てるような信号を受け取ると、前頭葉のデータ処理能力はますます麻痺してしまう
知人の著名ブロガーは、ある雑誌の座談会で同席した際、こんなことを言った。「佐々木さん、これからいちばん流行る勉強術って何だと思います?」(中略)「速読術ですよ」
なぜ文脈を、共有圏というエリアの考え方で捉えることが可能なのか。それは人が情報を収集する時、必ず何らかのエリアを背景に持っているからだ
媒体の維持コストが、その媒体によって配送される情報の量も決めているのである。だから中間共同体をバックグラウンドとする情報は、インターネット時代に入って媒体コストが劇的に低下したのと同時に、インフレーションを起こすようになった
ソーシャルメディアは、私的な情報を楽々と公的化してしまう
◆受動的に情報共有圏を最適化するためのアーキテクチャーに必要な条件
1.暗黙ウェブである
2.信頼関係に基づいた情報アクセスである
3.情報共有圏が可視化されている
4.情報アクセスの非対称性を取り込んでいる
まったくお互いの情報がない状態で会うよりも、お互いについての情報をある程度知ってから対面する方が、相手に親しみを感じることができる
もし人間関係を高度に構造化できるアーキテクチャーが登場すれば、それはプライバシーの問題を乗り越えていく可能性がある
情報共有圏のひずみが多発すれば、フェースブック上の人間関係は、同じような趣味志向の人ばかりになってしまいかねない。それは人間関係のたこつぼ化を招いてしまう可能性がある
情報を軸にすることによって、ダンカン・ワッツの言う二部ネットワークに潜む人間関係を可視化してしまうことも、可能になる
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『インフォコモンズ』佐々木俊尚・著
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◆目次◆
プロローグ
第1章 情報共有圏という考え方の誕生
第2章 暗黙ウェブの出現
第3章 「信頼」と「不安」を生むシステム
第4章 ウェブ3.0は「信頼」と「友情」を両立させる
第5章 「情報の非対称性」が大問題だ
第6章 インフォコモンズ後の世界の姿
おわりに
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