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『しがみつかない生き方』香山リカ・著 vol.1854


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【香山リカ vs 勝間和代?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344981324

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本日の一冊は、精神科医として有名な香山リカさんが、「ふつうの幸せ」を手に入れるための「10のルール」をまとめ、話題となっている一冊。

オビに「<勝間和代>を目指さない。」とあることからもわかるように、「飽くなき成功、成長願望」あるいは「ひとり勝ち」といった思想を批判し、人がなぜ幸せになれないのか、その理由を明らかにしています。

著者によると、「人生が思い通りに展開していない人の多くは、努力が足りないわけではなくて病気になったり勤めた会社が倒産したり、という“不運な人”」。

どんなに頑張ってもうまくいかないことはある。あるいはうまくいかない人がいる。

そんな人たちに、もっと頑張れということの残酷さを、著者は訴えているのです。

好きなことを仕事にできていなくても、自己嫌悪に陥らない。
マーケティングに踊らされない。
老・病・死で落ち込まない。
お金にしがみつかない。
生まれた意味を問わない。

随分ネガティブな考え方も含まれていますが、確かに心を軽くしてくれる、いいアドバイスだと思います。

でも、起業家の立場から言わせていただくと、こんな考え方だけで、よりよい社会は作れません。

現在の社会は、理想に燃えた「狂人」たちが創造したものであり、われわれもその恩恵にあずかっているのです。

クーベルタン伯爵の思いがオリンピックを世界の一大イベントにしたように、たった一人の思いが世の中を動かすことがある。

問題は、理想を抱いて生きることにあるのではなく、他人を羨み、他人の人生を生きようとすることにあるのです。

著者の言うことを鵜呑みにするのではなく、バランスをとって生きること、そして自分らしく生きることの大切さを、本書を通じて感じていただければと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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診察室にいると、その“ふつうの幸せ”というものを手にするのがどんなにむずかしいのか、ということがよくわかる

一度、“飽くなき成功”を目指し始めた人が「やっぱりほどほどにしておくか」と妥協するのは、実際には予想以上にむずかしい

公的サービスに頼らなくても、どうにもならなくなった人をどうにかするというゆるやかな助け合いのシステムが、かつての社会には存在していた

恋愛は「この人に出会うために私は生まれた」と強く、そして簡単に生まれた意味を実感させてくれる“便利な手段”ではあるが、それは生まれた意味や生きる価値を確認する“唯一の手段”ではない

「アメリカかぶれ」の結果、自由な競争と自己責任こそが日本が「前近代社会」を抜け出す最良の道、と確信した中谷氏は、その路線を迷うことなく進めてきた。そして、いまになって「経済活動を自由競争に委ねているだけでは格差拡大が進むなど、社会の安定性が損なわれ、結果的に豊かな社会は作れない」と気づいた

◆2007年春社会経済生産性本部 入社後半年の新入社員アンケート結果
・処遇に関して、業績・能力主義的な給与体系を希望する回答が調
査開始以来はじめて6割を切る結果となった
・転職・勤続に関して、「条件の良い会社があれば、さっさと移る
ほうが得だ」とする回答が3年連続で減少し、過去最低(34・1%)

二〇〇〇年頃までは「その瞬間にやりたいことをやる」という若者の姿勢は、むしろ評価、肯定されていたはずなのに、その後の数年のあいだに、一転して当の若者の中でさえ、それを批判したり非難したりする動きが見られるようになった

「M1・F1総研」は二〇〇八年八月、「若者がモノを買わない要因の考察と消費を促す方法論」と題されたレポートを発表した。それによると男性、女性とも二十歳から三十四歳までの購買力には「格差」があり、とくに「将来に対する不安」「低い上昇志向」「固定化された人間関係」「漠然とした結婚意識」「インターネット利用時間が長い」という特性は、消費力の低下につながっているという

「これだ」と確信していたはずでも、人間の気持ちなど体調が悪かったり、ふと他人を見たりするだけで、簡単に変わってしまう

深い意味がなくても仕事をし続けるのは、それじたいでけっこう意味があることなのではないか、と思う

百年に一度の経済危機こそ、大きく飛躍するチャンス、という言い方をする人もいるが、もしチャンスだとしたら、それは経済的な飛躍をしたり資産を増やしたりするチャンスではなくて、「お金がいちばん大切」という人の心や社会の芯までしみついた考え方を見直すチャンスなのではないだろうか

そもそも、本当にマスコミに登場している成功者のような人生を、すべての人が歩む必要があるのだろうか。さらには、成功者たちは、本当に雑誌やテレビが報じているようなすばらしい人生、悩みなき生活を送っているのだろうか

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『しがみつかない生き方』幻冬舎 香山リカ・著
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◆目次◆
序章 ほしいのは「ふつうの幸せ」
第1章 恋愛にすべてを捧げない
第2章 自慢・自己PRをしない
第3章 すぐに白黒つけない
第4章 老・病・死で落ち込まない
第5章 すぐに水に流さない
第6章 仕事に夢をもとめない
第7章 子どもにしがみつかない
第8章 お金にしがみつかない
第9章 生まれた意味を問わない
第10章 <勝間和代>を目指さない

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