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『幸福について―人生論』ショーペンハウアー・著 Vol.2838


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【珍しく幸福について考える】
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随分前、自著のアマゾンカスタマーレビューに「成功の好きな人だと思う」と書かれたことがありました。

この手の人が信奉するのは大抵「幸福」であり、世の中には幸福を論じる本も、幸福になる方法を説いた本もたくさんあります。

しかし、お気づきのように、土井はこの手の本は基本的に取り上げないことにしています。

なぜなら幸福は「主観」の問題、つまり本人の問題だと思うからです。

一方、商業的な成功というのは、お客様(=他人)あってのものだから、自然、客観を取り入れざるを得ない。

だから、ノウハウを論じる場合、成功には意味があっても、幸福には意味がない、と思うのです。

それでも、あえて幸福を論じるなら、おすすめしたいのは、哲学者ショーペンハウアーの名著『幸福について─人生論』。

ここには、生きることに苦しむ現代人への、あらゆるヒントが詰まっています。

人間の幸福にとって最も重要な「あり方」という問題、富と幸福の関係、朗らかさという視点、虚栄心と誇りの区別…。

ショーペンハウアーの思索の世界にぐいぐい引き込まれる、じつに「深い」一冊です。

「スミスの本棚」で話題になっていたので、既に読んだ人もあるかもしれませんが、まだ読んでいない人は、ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆人間の三つの根本規定
1.人のあり方
2.人の有するもの
3.人の印象の与え方

他人の生涯に起った痛快な出来事を羨む人があるが、そういう人はむしろ、他人が痛快な出来事として描写しうるだけの重要性をその出来事に認めたというその把握の才をこそ羨むべきであろう

最も高尚で最も変化に富み最も持続的な享楽は精神的な享楽

人間の幸福にとっては、われわれのあり方、すなわち人柄こそ、文句なしに第一の要件であり、最も本質的に重要なものである

われわれとしては、与えられた人柄を最大限に活用するだけである。したがって柄にあった計画だけに努力を集中し、柄に応じた修行の道に励み、他のいっさいの道を避け、柄にぴったりとくる地位や仕事や生き方を選ぶことである

自己の生涯にどういうことが起きるかということよりも、その起きたことをどう感ずるかということ、すなわち自己の感受力の性質と強度とが問題なのである

朗らかさはそれがそのまま直接的な利益になる。直接、現在において幸福を与えるものは朗らかさ以外にないのだから、朗らかさばかりはいわば幸福の正真正銘の実体、幸福の正貨であって、他のいっさいのものと同じような単なる兌換券ではない

朗らかさにとって富ほど役に立たぬものはなく、健康ほど有益なものはない

人間の幸福に対する二大敵手が苦痛と退屈である(中略)われわれの生活は現実的には、強弱の差はともかく、この両敵手の間を行きつ戻りつしている動きなのである

「幸福はみずから足れりとする人のものである」
(アリストテレース)

虚栄心は人を饒舌にし、誇りは寡黙にする

天才的な労作は世を益し人心を奮い立たせて、万代に生きて脈動する

すべて物事を局限するのが幸福になるゆえんである。われわれの限界、活動範囲、接触範囲が狭ければ、それだけわれわれは幸福であり、それが広ければ、苦しめられ不安な気もちにさせられることもそれだけ多い

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『幸福について─人生論』ショーペンハウアー・著 新潮社
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◆目次◆

緒 言
第一章 人間の三つの根本規定
第二章 人のあり方について
第三章 人の有するものについて
第四章 人の与える印象について
第五章 訓話と金言
第六章 年齢の差異について

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