2009年2月6日
【これがプロの交渉術だ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163685804
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本日の一冊は、在ロシア連邦日本国大使館に勤務後、95年より外務本省国際情報局分析第一課に勤務、主任分析官として活躍した佐藤優さんが、外交の現場の交渉術を論じた一冊。
ビジネス社会におけるある種「ゆるい」交渉術とは違い、相手をハメることも含め、スリリングな交渉が展開される外交。
それも、対ロシアのインテリジェンス業務ということで、かなり特殊な状況下でのシビアな交渉術が論じられています。
「交渉術は、善でも悪でもない、価値中立的な技法」と言い切り、徹底的に勝つための技術と現場での判断、そして人間の弱みにつけ込むえげつない手法が紹介されています。
セックスを使った工作、酒を使った工作、相手から情報を聞き出す手口まで、現場の実例をもとに、じつに詳細に書かれています。
外交の現場でさまざまな人間模様を見てきた著者だけに、その人間観は冷徹かつ現実的。
ビジネスマンであっても、自分の身を守るためには、心得ておきたい内容ばかりです。
タイトルとは裏腹に、ノウハウ書ではないですが、ノンフィクション+ノウハウ書として楽しむことができます。
外交に興味のある方、交渉の現場に興味がある方は、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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交渉術は、善でも悪でもない、価値中立的な技法
インテリジェンスと交渉は連続したプロセス
交渉術では、文化による、自然現象や動物がもつ象徴的意味の違いも大きな意味をもつ
敵の論理を深く知ることは、交渉術の要諦のひとつである
交渉を行うことで、こちら側の利益が損なわれることが明白である場合は、交渉を行ってはならない
「暴力による交渉術」は、論理整合性や善/悪という基準よりも、快/不快、楽/苦を基準にして動く人に対しては有効な手法
自らがもっている物や情報の価値は、交渉によって相手と交換するときになって初めてわかる
人類は、あらゆる手段を作って、おてもりの自己評価を守ろうとする
動物でありながら、愛や名誉を重んじ、体面を気にかけ、社会的慣習に縛られるという人間の矛盾が、こちらの付け込む隙となるのだ
動物は、自らに危害を加える可能性のある動物や人間が近寄ってくると逃げる。餌をくれたり、助けてくれる動物や人間には擦り寄る
「情報を伝えられていないということは、重要人物でないことの証拠」というような、情報伝達を巡る日本特有の文化に付け込む
「恩を売る」「恩返し」というように、「恩」も経済の一種
通常ならば、五百万円、一千万円などという巨額なカネを受け取らない相手でも、配偶者や子供が難病にかかり、手術を受けなくてはならないという状況ならば受け取る
滅私奉公型でも公私の線を一旦越えると、権限をもって組織の金を自由に使えるようになったとき、過去に組織のために持ちだした分を取り返してもいいという気持ちになる
一般論として、人間が巨悪を行うのは、自らの行為が正しいと信じているときだ
上司が自腹でおごってくれる時は警戒せよ
「死んだふり」は弱者の最大の武器
いくらよい戦略をもっていても、発言内容の記録が専門家的観点から見て不十分だと国益を毀損する
相手が好意的誤解をしているときは、それを放置しておくこともインテリジェンス交渉術の要諦
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『交渉術』文藝春秋 佐藤優・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163685804
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◆目次◆
1.神をも論破する説得の技法
2.本当に怖いセックスの罠
3.私が体験したハニートラップ
4.酒は人間の本性を暴く
5.賢いワイロの渡し方
6.外務省・松尾事件の真相
7.私が誘われた国際経済犯罪
8.上司と部下の危険な関係
9.「恥を棄てる」サバイバルの極意
10.「加藤の乱」で知るトップの孤独
11.リーダーの本気を見極める
12.小渕VSプーチンの真剣勝負
13.意地悪も人心掌握術
14.総理の女性スキャンダル
15.エリツィンの五段階解決論
16.米原万里さんの仕掛け
17.交渉の失敗から学ぶには
あとがき
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