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『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』 フィリップ・デルヴス・ブロートン・著 vol.1798


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【ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822247465

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本日の一冊は、2006年にハーバードビジネススクールに潜入し、MBAを取得したフリージャーナリストが、ハーバードMBAの負の側面を紹介した話題作。

アメリカでは、問題作としてかなり話題になったらしいのですが、それもそのはず。

これまでビジネス界があがめてきたカリスマ経営者や外資系企業エリート、ベンチャーキャピタルの実態を暴き、そこに疑問を呈した著者の切り口が、ジャーナリスティックでじつに面白い。

ハーバードビジネススクールの卒業生、スキリングが起こしたエンロンのスキャンダルや、ベンチャーキャピタリストが語った簡単に儲かるしくみなど、興味深い内容が満載。

20世紀最高の経営者と評されたジャック・ウェルチの見解に対する反論やHBS卒業生に対する実業界からの厳しい評価など、これまで日本には紹介されてこなかったHBSの情報が、500ページを超える大著にぎっしりと詰まっています。

読むのには骨が折れますが、「生き方」と「経済活動」「教育」の問題がバランスよく論じられた、じつに興味深い一冊です。

MBA留学およびMBA留学で学ぶ内容に興味のある方は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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想像のおよぶありとあらゆる機会を与えられた、世界でもっとも恵まれた大学院生であるハーバードビジネススクール生たちは、ほとんどつねに個人的な見返りよりも金銭的な報酬を選択する

より深い問題は、近年、アメリカが年におよそ三〇〇〇万もの雇用の消失と創造を繰り返しているという事実によって示されていると彼(マイケル・ポーター)は言った

市場は効率的で公正で誠実だと信じ、マイホームを買ったり、老後のために貯蓄した、罪もない人々に責任はない。市場の監督者、市場に養ってもらっていた知識人たちがしくじったのだ。彼らは私たちの社会の経済的側面を運営するという役割をきちんと果たさなかったのである

卒業後二年半経ったいま、私のクラスメートのなかでもっとも幸福なのは、大勢とは違った道を選んだ者たちだ。すなわち、金融機関ではなく昔気質の大企業、経営コンサルティング会社ではなく非営利法人、大手IT企業ではなく小さなベンチャー企業に就職した人たちだ

企業会計のもっとも面白味のない点であり、おそらくは最大の欠点が、人間はけっして貸借対照表上の資産とされず、損益計算上の費用としてしか表わされないことだ

彼女によれば、ときには生き残るために倫理が消滅しなくてはならないという。彼女が言いたかったのは、ビジネスにおいて倫理にか
なった行動をとることは、明記された決まりごとに従うというよりも、可能なかぎり適正なやり方で変わりつつある状況に適応することだという点らしい

「なぜぼくがこんな目にあわなければならないんだ? ぼくは客だぞ、くそったれ」と。「いいや、違う」。HBSの職員は言った。「きみは商品だ」と

あるケースでは、雇用者と被雇用者間の心理的契約の重要性について考察した。労働時間、給与、職務資格を定めた正式な契約がある一方で、それと同じくらい大切なのが心理的契約、すなわち被雇用者が当然の権利と見なすことが多い不文律としての自らの身分や処遇についての期待事項なのである。こうした不文律を軽視する企業は、ひじょうに困った状態に陥ることが多い

ベンチャーキャピタリストでいることは、企業で出世の階段を昇ろうとするよりもはるかに容易なことだとドレイパーは言った。一生安泰に暮らすために必要なのは一回の成功だけ。その後は、数百人という人間が自分のアイデアを売り込んでくるのをじっくりと聞き、そのなかから最良のものを選び出せばいい

HBSも相当数のろくでなしを輩出してきていた。一九八〇年代のウォールストリートのインサイダー取引のスキャンダルにHBS卒業生が関与していたことを受け、当時の証券取引委員会の委員長ジョン・シャッドは、HBSに倫理学の教授を置くための資金を提供した。

ウェルチが口をはさんだ。「いいや、それはもっとも重要な組織だ。あらゆるものがその周囲で回っている。政府は利益を上げず、企業
やそこで働く人が支払った税金によって生きている。そのことをけっして忘れないように」過去三〇年来もっとも敬意を払われた経営者がこんなことを言ってのけたことに、びっくり仰天した

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『ハーバードビジネススクール 不幸な人間の製造工場』日経BP社 フィリップ・デルヴス・ブロートン・著
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◆目次◆
日本語版への序文
ペーパーバック版への追記
序文
第一章 ノータリンになろう
第二章 人生を一からやり直す
第三章 隔離された世界
第四章 飲んで、騒いで
第五章 私はだれ?
第六章 世界のリーダーになる?
第七章 ベータへ、そしてその先へ
第八章 リスクの達人
第九章 不安な成功者たち
第一〇章 倫理推進の聖戦士
第一一章 究極のレバレッジ
第一二章 カーブを追って
第一三章 困難で大胆不敵な目標
第一四章 子どもたちの寝姿が長くなっていくのを眺めながら
第一五章 卒業
第一六章 不幸な人間の製造工場
謝辞
解説

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