『逆行』尾原史和・著 vol.2392


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【『R25』『TRANSIT』を手掛けたデザイナーが仕事の精神を語る】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4903908240
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本日の一冊は、『R25』『TRANSIT』などのデザインを手掛けた、現在注目のアートディレクター、尾原史和さんによる一冊。

デザイナーが仕事の精神を語るというと、一見スマートで気取った議論がなされるのかと思いきや、なかなかこれは骨太な一冊です。

著者はデザイナーとして脚光を浴びる前、高知の田舎にある町の印刷所で働き、ここで印刷のイロハを学びました。

「何ミリ空き、文字の大きさはどれくらいでというのを測って、もともとあるものと同じものをつくる。そして、それを自分しかわからない程度にちょっと調整して前より良いものにして出す」

これは、著者が封筒の製作をした時の話ですが、このリバースエンジニアリング的な作業を通じて、著者はデザインの基礎を学び取ったと言います。

本書には、著者のこれまでのキャリアと、そこから得たデザインの技術、そして仕事に対する精神が書かれています。

100万人に届くデザインのコツとは、時代を作る商品の特徴とは、そして一流の仕事を実現する精神とは…。

なかでも、「思想的なデザインを考えていかないと、ダイナミックなものはつくれない」という主張は、同じ物づくりに携わる人間にとって、じつに参考になりました。

アイデア一つで世界を変えて行きたいと願うすべての人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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自分の中でいいものができたつもりでも、それがいいものかどうかなんて誰も教えてくれないし、その基準を自分で知らなければならない

その後工程がどういうことなのかを知っているのと知らないのではそもそものデザイン自体が大きく違ってきてしまう

『デザインの現場』って本があってそれ見てたら案の定アシスタント募集みたいのが載ってて、こういうので探しゃいいんだというのにやっと気づいたんだな(笑)。そこで見つけたのが、俺の人生の恩師であり、師匠である「アジールデザイン(当時ソイグラフィカ)」の佐藤直樹さんだった

そのときの作品ファイルってのも田舎の印刷所での仕事なわけで見栄えがするような派手なものなんてまったくなかったけど、佐藤さんはその仕事を見て、俺がどういう意識で作っていたかを理解してくれたことが嬉しかった

子どもが知りたいことは、けっこう原理そのものだったりする。おばあちゃんちに向かう車の中で、標識を見るたび質問攻めしていた。なぜ一方通行の標識が、赤い下地に白いラインで描かれ、人間に見られる必要があるのか。そういった原理を知りたがっていた

仕事は、かけた時間じゃなくて、集中する欲をどれだけもてるかにかかっている

人生において確かな手応えを感じられる時間を過ごせるかどうかは、過ごす時間そのものの長さとかではなくて、自分がスポンジのようになって、物事に向かえるかどうかだ

仕事場は、仕事を入れる箱のようなもんだ。小さい箱に入る仕事は小さい仕事だし、きれいな箱には高級な仕事が入る

いつでも使えるという空間を持っておくことでそこで何かをしようかってことを常に考えるようになる

デザイン事務所は、三年に一回ぐらいで社員が入れ替わってゆくのがいい

チャンスというものには旬がある。どんなに美味しい話も、いちばん美味しいときに手に入れないとモノにできない

出来上がりを見てみないとわからないというような、作り手も計算不能なことをすることで、そこから何か面白いことが起こる可能性を探る

『R25』では、第一印象として個人的な特徴が出すぎないようにデザインしている。特徴があればあるほど、必然的に好き嫌いが分かれる。それでは、一〇〇万部に堪えられないと思った

いまのデザインは本質的な部分に向かってないものが圧倒的に多い。単にその商品の良さを素直に伝えるのではなく、他のまったく違う
アイデアを持ってきて、その商品を持ち上げようとしている

機能性やデザインから入るのではなくて、一生自分が身につけたいものを作るという、そのプレーンなものを作ろうというところに向かったほうが、気持ちいい

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『逆行』尾原史和・著 ミシマ社
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◆目次◆

第1章 地図だけ持って東京へ
第2章 「幼少の頃から優秀で……」なんてエピソードには程遠い俺の青春
第3章 引っ越し、引っ越し、また引っ越し
第4章 スープデザインというやり方
第5章 尾原式会社論
第6章 発見しながらデザインする
第7章 プランクトンで目指すものづくり
第8章 逆行

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