『キミがこの本を買ったワケ』


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本日の一冊は、ホイチョイプロダクションズのブレーンをつとめる著者の「指南役」が、人がモノを買う動機のあいまいさを、数多くの事例をもとに指摘した一冊。

「ついで買い」に走りやすい、新しいもの好き、主役よりも脇役が好きな人間の特性を、身近な例でズバリ言い表し、ロジックで説明のつかない購買行動を次から次へと俎上に上げています。

翼君よりも岬くんの方が人気、男性用の公衆トイレで一番人気なのは手前から2番目の便器、などは、読んでいておもわず「クスッ」とわらってしまいそうなほど。

良くぞここまで集めた、といわんばかりのユーモラスな例が次々登場し、ロジックだけでは説明できない消費行動の奥深さが浮き彫りにされています。

とは言え、ただ単にこれまでのマーケティング、広告の常識を打ちのめすだけが本書の目的ではありません。

なぜか効果のあるフレーズや、長期にわたって効いた広告、偶然売り上げを伸ばした芸能人の発言など、具体的なマーケティングヒントが学べるのも、本書の大きな魅力です。

マーケティングの魅力は、本来、誰も説明できない購買動機の奥深さにあるはず。

その魅力と課題を改めて指摘してくれたという点にこそ、本書の本当の魅力があるのかも知れません。

でも、タイトルはちょっと狙いすぎですね。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「セールスマンは、最初は最も安いパッケージを薦めるべきである。
それで相手が購入を決めたら、追加オプションを薦める。私の経験
上、5割以上はそれに応じる」(シュガーマン)

キャラクターの人気投票を行うと、主人公の大空翼やライバルの日
向小次郎を差し置いて、決まって翼のチームメイトの岬太郎が1位
にくるらしい。なぜか。岬太郎。テクニックは超一流。顔もいい。
性格も悪くない。チームメイトの信頼は厚く、主人公の翼を立てる
ことも忘れない。でも翼や日向ほど、華々しく描かれることは少な
い。基本、控えめ。でも、そこがファンにはたまらない

人には、本心とは別に、なぜか惹かれるフレーズがある。なんとな
く口にしたくなる、そして周囲もそれを聞くと一目置きたくなる、
そんなフレーズ

90年代初め、情報誌の「ぴあ」と「東京ウォーカー」が覇権を争っ
たことがある。どんな小劇場のマイナーな公演情報も網羅してパン
パンに膨らんでいた老舗の「ぴあ」に対し、新参者の「東京ウォー
カー」は、ビジュアル重視で情報量も少なく、薄っぺらだった。普
通に考えれば、値段がほとんど同じなら、情報量の多い「ぴあ」の
ほうが得だと思う。でも――結果は、「東京ウォーカー」の勝ち。
なぜ? 答えは、面倒くさくなかったから

クリエイターや開発者は、制約や障害があったほうが、より燃える。
そして消費者も、制約の中から生まれた作品や商品を、より愛おしく思う

たまごっちは、手に入らなくなったおかげで商品を光り輝かせる魔
法のヴェールをまとい、そして手に入るようになったおかげで、魔
法のヴェールが剥がれ落ちてしまった

ダサい名前なら、本人にかかるフィルターは、極めて少ないと想像できる

未来へのアドバイス。もし将来、あなたが何か新しい事業を始めよ
うと考えていたら、その仕事がなんであれ、「個」という概念を大
事にするといい

エロ、値引き、品切れ――いずれも中身の実力を伴わずに、人を引
き寄せる力を持った、いわば麻薬である

単に「見た」だけでは、即「食べたい!」とはならない。記憶とい
う、もう1つのスロットの目が揃って初めて「食べたい!」となる

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『キミがこの本を買ったワケ』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594053254
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■目次■

第1章 さて、心あたりありませんか?
第2章 ずばり、広告って参考にしてますか?
第3章 ところで、なぜ、これを選んだんでしたっけ?
第4章 けっきょく、売るのも買うのもむずかしい。

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