『LESS IS MORE』本田直之・著 Vol.2890


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【本田直之、幸せと自由を語る】
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先日、土井が訪れたギリシャ・ヒオス島のアヴゴニマという村は、お店すらない、じつに静かな村でした。

夜9時に日が沈んで、暗くなると、人々の笑い声や物音さえなくなる。本当の静寂が、そこにはありました。

おやつやドリンクは買ってあるものしか選べないし、朝食は、ホテルで出されたものだけ。

でも、まったく自由のない状態で空腹を感じ、心待ちにした朝食は、どこの高級ホテルのビュッフェよりも美味しく感じられました。

われわれ先進国の人間は、これまで「選択肢が多いことが豊かなこと」と思い込まされてきました。

しかし、モノがあふれかえっている現代では、それは真実ではなくなってしまったのです。

本書のタイトル、『LESS IS MORE』は、ル・コルビュジエやフランク・ロイド・ライトと並ぶ、近代建築の巨匠、ミース・ファン・デル・ローエの言葉だそうですが、意味は、「より少ないことは、より豊かなことだ」という、まさに今の世の中が求めているメッセージ。

本書は、この『LESS IS MORE』の思想を、ベストセラー作家の本田直之さんがつづった一冊。

北欧(デンマーク、スウェーデン、フィンランド)の人たちと幸福について語り合ったという本田さんが、さまざまな統計や証言をもとに、幸福の持論を展開する、なかなかに興味深い読み物です。

本書で紹介されているギャラップの2010年の調査によれば、「日本の幸福度は81位。そのランキングで上位を独占しているのは、北欧の国々」だそうです。(デンマーク1位、フィンランド2位、ノルウェー3位、スウェーデン4位)

著者はこうした現実を受けて、「古い価値観のままでライフスタイルをつくっていくと、幸せではなくなってしまうのではないか」との危惧を抱き、現代日本の労働者のための幸福論を語っているのです。

モノではなく、経験に重きを置くこと、選択肢の多さから距離を置くこと、謙虚になるためのデンマークの掟(ヤンテの掟)、さらにこれから先の働き方まで…。

どうすれば、われわれが幸せに働いて行けるのか。

ハワイで暮らし、北欧の人々と語り合った著者が、処方箋を示しています。

古い価値観に振り回される人生ではなく、これからの時代に合った人生・働き方を模索したい人に、ぜひ読んで欲しい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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物質至上主義とは、言い換えるならば、車や家をはじめモノや場所など、さまざまな制約に縛られて生きること

モノから得られる満足は一瞬しか続かないけれど、経験やそこから得た知識は、自分の中に一生残ります

ギャラップによると「年収が2万5000ドル以上の人は、モノを買うよりも“経験”をしたほうが、幸福度が2~3倍も高くなる」というデータがあります(『幸福の習慣』トム・ラス、ジム・ハーター著 森川里美訳/ディスカヴァー・トゥエンティワン)

「選択肢がないことが豊かなのかなっていうふうに思います。日本はいろいろ選べるものが多すぎて、目移りしちゃったり。デンマークにいると、すごくシンプルに自分の欲しいものが見えてくる。何が重要かってことがはっきりしてくるんだと思いますね」(サトコ・タナカ・フォールスバーグさん/デンマーク/船舶会社勤務)

◆デンマークのヤンテロー(ヤンテの掟)
「自分が特別だと思い上がるな」「自分が人より善良だと思うな」「自分以上の人間はいないと思うな」「他人のやさしさに期待するな」「他人に何かを教えられると過信するな」など

あれだけ労働者の権利を守ってきたイタリアでさえ、解雇規制を緩和しようという動きが出ているほど。ワークライフバランスは、仕事の成果を出すことなしには語れないものなのです

これまで、転職の際に会社を選ぶ基準は、ポジションやお金といった条件でした。しかし、これからは給料を闇雲に上げられる時代でもありません。働き方のオプションをとれるかどうかが重要になってくるし、そうしたライフスタイルをサポートできるような会社が人気を集めるでしょう

目の前のものを追うのではなく、その後ろについてくるものを大事にすることです

便利な時代に、「あえて」不便を求める

「やらないこと」を決めておけば、「やること」はハッピーなことだけ

いつまで続くかわからない限られた小さな世界の評価は捨ててしまいましょう。それより、もっと不特定多数の、広い世界からの評価を求めるべきです

「社会には、生きるために働かなきゃならない人と、働くことが面白いから生きている人、2つの種類の人がいます。私は、仕事をするのが面白いから、そのために働いているんです」(トーマス・フロストさん/デンマーク/ウェブデザイン会社勤務)

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『LESS IS MORE』本田直之・著 ダイヤモンド社
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◆目次◆

chapter-01 古い価値観のままでは不幸せになる時代
chapter-02 自由に生きるために、変えること
chapter-03 自由に生きるために、捨てること
chapter-04 新しいライフスタイルを求めて

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