『HPウェイ』デービッド・パッカード・著 ジム・コリンズ・序文 Vol.2545


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【経営の規律を教えてくれる名著】
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以前、ある出版社のカリスマ編集者が、セミナーでこんなことを言っていました。

「初心なんて、みんな忘れるんですよ」

その編集者曰く、著者が2冊目、3冊目を出していくにつれて売れなくなるのは、読者が飽きたからだけではない。本人に売る情熱がなくなるのが主な原因だというのです。

これは、おそらく経営にも言えることではないでしょうか。

青雲の志を持ってスタートした会社が、やがて鮮度を失い、理念が運営の都合に負けてしまう。社内政治がはびこる。

そうならないために、経営者に自己を省みるきっかけが必要なのは、言うまでもありません。

本日ご紹介する一冊は、まさに経営者が自己を省みる際に、おすすめの一冊。

数多くの有名経営者が推す、HP創業者デービッド・パッカードの名著中の名著、『HPウェイ』の増補版です。

この増補版では、序文をジム・コリンズが書いており(2005年)、2000年代前半、HPが低迷した理由を分析。まるで同社の復活を予想していたかのようなメッセージを寄せています。

曰く、

<ビル・ヒューレットとデービッド・パッカードが生み出した最高の製品は、オーディオ発振器でもなければ、ポケット電卓でも、小型コンピュータでもない。彼らの最高の製品は「ヒューレット・パッカード社(HP)」であり、最高のアイデアは「HPウェイ」なのだ>

<偉大な企業に困難はつきものだ。真に偉大かどうかの判断基準は、みずから招いた災いであったとしても、その困難から回復してより強くなれるかどうかだ>

この序文だけでも読む価値がありますが、何と言っても価値が高いのは、世界最大級の企業、HPを生み出した創業者の理念と彼らが死守した規律、そして経営の方法論。

どんな業種であれ、守るべき経営の王道が書かれた、珠玉の経営書。

経営者、起業家には、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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価値の高い仕事をしている人は、価値あることをなしとげている実感があるからこそ働いている。その点も認識すべきです

エンジニアリングの理想の姿を考えるときに、何より重要な根本基準がふたつあります。新しい機器の開発にあたって、第一に設計が独創的であること、第二にそれで仕事がやりやすくなること

金儲けのことばかり考えていたら細部がおろそかになる、細部に気を配らなければ金を充分稼ぐことはできない。両者は支え合う関係なのです

とりわけ思い出すのは、プエブロの学校スポーツに深くたずさわっていたポーターさんのことだ。彼はよくこんなことを言っていた。「決勝戦に勝ち上がってくるふたつのチームには、たいてい同じくらいいい選手がそろっている。そんなときにものを言うのはチームワークだ。とくにコンマ何秒のプレーにそれが出る。では、どちらにも甲乙つけがたい好選手がいて、チームワークも互角ならどうなるか。勝ちたいと、より強く願うチームが最後に勝つんだよ」

ターマン教授がこんなふうに言っていたのを憶えている。「見てのとおり、成功している無線通信会社のほとんどは、それほど高い教育を受けていない人たちが興したものだ」

ウェルズ・ファーゴ銀行からは、引退したエンジニアが調査に来た。その日の午後いっぱい彼と話をしたときに受けた忠告を、いまでも憶えている──「飢え死にするより消化不良でだめになるビジネスのほうが多い」

新たな成長の機会をつねに探りながら、わが社に対処能力があり、貢献が可能な分野のみに関与する

私の父はコロラド州の破産審理人だった。一九三〇年のことだが、夏にプエブロに帰省すると、よく父の手伝いで、倒産した企業の記録を調べた。資産を抵当に入れていた企業は、銀行に抵当権を行使されて何もかも失っていた。借り入れをしていなかった企業は、苦労こそしたものの、資産は残り、その後の不況をなんとか乗りきった。このときの経験から、私は自分の会社では長期の借金はするまいと決めた。そのため、ビルと私は、支出を収入内におさめる方針で会社を運営し、おもに借り入れではなく利益を成長の資金にまわした

新製品の設計やエンジニアリング、顧客サービス、新しい設備などへの投資レベルを下げれば、一時的に利益を増やすことはつねに可能だ。しかし長い目で見れば、こういう分野のどこで手を抜いても、あとで大きなつけがまわってくる。経営でとりわけ重要なのは、短期的な利益と、将来の力や成長のための投資とのバランスをうまく維持することである

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『HPウェイ』デービッド・パッカード・著ジム・コリンズ・序文 海と月社

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◆目次◆

序文―『HPウェイ』に寄せて(ジム・コリンズ)
HPマネジャーに向けた、デービッド・パッカードのスピーチ
プロローグ
第1章 中西部開拓地からの出発
第2章 ビル・ヒューレットとの友情
第3章 ガレージからの第一歩
第4章 規模の拡大
第5章 飛躍的な成長
第6章 利益に関するHPのポリシー
第7章 革新(イノベーション)へのこだわり
第9章 顧客の声を聞く
第9章 人への信頼
第10章 組織を育てる
第11章 「目標」による管理
第12章 社会への貢献
エピローグ

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