『論点思考』内田和成・著 vol.2038


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【プロコンサルタントの暗黙知とは?】
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先日、セミナーでもちょっとだけ申し上げたのですが、人と違う答えをしたいなら、まずは問題自体のとらえ方を変えること。

これができていないのに、フレームワークを使っても、本当にいい答えを導き出すことはできません。

大切なのは、問題解決よりも問題発見なのです。

一流のビジネスマンと呼ばれる方は、みなこの「問う力」を備えているものですが、では一体どうすれば、この力を鍛えることができ
るのか。

それに応えてくれるのが、本日ご紹介する『論点思考』です。

著者は、かつてボストン コンサルティング グループ(BCG)の日本代表を務め、現在は早稲田大学ビジネススクール教授を務める、
内田和成さん。

本書は、4年ほど前に出てロングセラーとなっている『仮説思考』の続編にあたる一冊です。

※参考:『仮説思考』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492555552/

冒頭で、ケーキをAさん、Bさん双方が納得するよう半分に分ける課題が出てきますが、ここでの正解は、「Aさんができるだけ半分になるように切り分け、Bさんに好きなほうを選ばせる」というもの。

求められているのは、厳密に二等分することではなく、「二人が納得するように」という部分だったのです。

本書でいう「論点思考」とは、「自分が説くべき問題」を定義するプロセスのことですが、本書には、まさにこのプロセスが書かれています。

故障時の工場のロスを最小限に押さえるため、リモート診断装置を検査機器に組み込んで差別化を果たしたC社の例、犯罪を激減させたジュリアーニ前ニューヨーク市長の例など、優れた論点思考の例が、いくつも登場する、興味深い読み物です。

同じBCG出身のコンサルタント、村井瑞枝さんが書いた『図で考えるとすべてまとまる』と併せて読めば、問題解決スキルが上がること、間違いなしです。

※参考:『図で考えるとすべてまとまる』
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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仕事で大事なことは問題を解決することであるのはいうまでもないが、それは正しい問題を解いている場合にかぎるという前提がつく

「経営における最も重大なあやまちは、間違った答えを出すことではなく、間違った問いに答えることだ」(ピーター・ドラッカー)

「どんな広告をうてばコンビニに商品を置いてもらえるか」は論点ではなく、「広告がなくてもコンビニに置いてもらうためにはどうしたらいいか」あるいは「いかに商品の差別化が図れるか」が論点

このメーカーでは、紙の見た目ではなく、コピー機で使われたときに紙が詰まらないような紙を開発した。結果として大変な評判になり、価格競争を免れることができたという。このメーカーは顧客の真の論点が安い紙を買うことではなく、事務の効率を上げることにあると気づいたから、こうした解決策を提示することができた

ジュリアーニは「いきなり凶悪犯罪を減らすことはできないし、それより小さな犯罪を徹底的に取り締まったほうが簡単だし、結果として街が安全になる」ということに気づき、それを解決すべき課題、すなわち論点として設定した

◆論点思考の4つのステップ
1.論点候補を拾いだす
2.論点を絞り込む
3.論点を確定する
4.全体像で確認する

企業経営の場合、学術的研究とは違い、すべての論点に対応すべきではない。焦点を絞らないと、効果のある解決策をつくり、実行するのはむずかしい

業績のよい会社はどこも、突出した部分をもっている。一般的には問題といわれるものを抱え、荒削りに見えても、突出した長所によって欠点をカバーし、業績を上げていることが多い

問題解決を図ろうとするときは、えてして、誰の論点を解いているのかを忘れてしまう。これは要注意だ

同一人物であっても論点は時とともに変わる。それは企業のトップにとって環境が変われば解決すべき問題が変わるのはもちろんのこと、ステージが進化することで解決すべき問題、すなわち論点が変わっていくことも多い

私がよくやっているのは、経営者が問題意識をあまりもっていない分野に注目する方法である。例えば、経営者が「営業に問題がある」といっているときに、商品開発や生産に目を向ける。というのも、経営者が関心をもっている分野は、企業の中でも比較的しっかりマネジメントされているのに対し、経営者があまり関心をもっていない分野に大問題が潜んでいたり、改善の宝の山があったりすることが多いからである

◆問題を検討する際の3つのポイント
1.解決できるか、できないか
2.解決できるとして実行可能(容易)か
3.解決したらどれだけの効果があるか

発言の真意、意図、バックグラウンドを考える

視野・視座・視点の三要素で論点思考を高める

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『論点思考』東洋経済新報社 内田和成・著
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◆目次◆
はじめに
第1章 あなたは正しい問いを解いているか
第2章 論点候補を拾いだす──戦略思考の出発点
第3章 当たり・筋の善し悪しで絞り込む
第4章 全体像を確認し、論点を確定する
第5章 ケースで論点思考の流れをつかむ
第6章 論点思考力を高めるために
おわりに

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