2010年12月16日
『日本語 語感の辞典』中村明・著 岩波書店 vol.2339
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【これは新しい!書き手は必携の辞典】
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通常、読書といえば通読するのが快感なものですが、なかには、いつまでも眺めていることで楽しめる本も存在します。
それは、図鑑やカタログ、辞書といった本。
何度読んでも、新しい発見があり、知的好奇心を刺激し続ける、たまにはそんな読書もいいものです。
そんなコンセプトで最近注目しているのが、本日ご紹介する、岩波書店の『日本語 語感の辞典』。
言葉が表す感触や意味、用法などの微妙な違い(ニュアンス)を事細かに書き、それらが用いられている文学作品についても言及しています。
たとえば、夜が明けきらずまだ薄暗い時刻をさす<あさまだき【朝まだき】>という言葉。
解説はこんな感じになっています。
<夜が明けきらずまだ薄暗い時刻をさす、古語的な和風表現。国木田独歩の『武蔵野』に「―霧の晴れぬ間に家を出て野を歩み林を訪う」とある>
通常の辞書を読んでいても、いざ文章を書くのに使おうとすると、ニュアンスが気になるもの。
花が咲くようすを表現する場合でも、「さきこぼれる」と「さきみだれる」ではどちらがふさわしいのか、など、思い悩むことが多いと思います。
本書は、そんな書き手のために作られた、ニュアンスの辞典。
普段使っている日本語にも、新たな要素を発見できる、知的刺激あふれる一冊です。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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あさまだき【朝まだき】
夜が明けきらずまだ薄暗い時刻をさす、古語的な和風表現。国木田独歩の『武蔵野』に「―霧の晴れぬ間に家を出て野を歩み林を訪う」とある
うける【享ける】
「受ける」のうち、授かる意を明確にしたい場合に文章で特に書き分ける表記
うたかた【泡沫】
水の上の泡、また、「泡」のように消えやすく「はかない」の意の詩的な雰囲気を持つ古語的表現
えきか【腋窩】
「腋の下」の意で、主に文章中に用いる硬い漢語。<―をさらす>三島由紀夫の『仮面の告白』に「―のくびれからはみだした黒い叢が、日差をうけて金いろに縮れて光った」とある
えんえん【蜿蜒】
列がうねりながら長々と続く意で、改まった会話や文章に用いられる硬い感じの漢語
おこうこ【お香香】
「香の物」の丁寧な言い方
かっぱらう【掻っ払う】
「掻き払う」の転。横になぎ払う、他人の物を奪い取る意の、俗っぽい口頭語
くれがた【暮れ方】
日が暮れる頃をさし、会話でも文章でも使われる、やや古い感じの和語
ごうこく【号哭】
声を上げて激しく泣く意で、主に文章に用いられる硬い漢語
しょうぜん【悄然】
元気をなくしてしおれきっている意で、主に文章中に用いられる漢語。<―とうなだれた姿><夢破れ―と立ち去る>長与善郎の『青銅の基督』に「滅入り込んで行く胸の暗さを抱いて―としな垂れた」とある
すけ 婦女子、特に若い女を意味する古めかしい隠語。もと盗人などの社会で用いた隠語「なごすけ」の略
そらぞらしい【空空しい】
わざとらしくて本心でないとすぐわかる意で、やや改まった会話や文章に用いられる和語
チップ
「心付け」の意で、会話にも文章にも使われる外来語。<ボーイに―を渡す>元来は西洋の習慣で相手のサービスに対する少額の礼金の意で、心理的に「心付け」より若干義務的な感じになる。現在では伝統的な「心付け」に代わってよく用いられる
はくちゅう【伯仲】
互いに似ていて優劣の差がほとんどない意で、やや改まった会話や文章に用いられる漢語。<実力が―している>「伯」は長兄、「仲」は次兄の意。通常、ともに優れている場合に用いる
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『日本語 語感の辞典』中村明・著 岩波書店
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◆目次◆
※辞書なので目次はありません
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