『Mr.金川千尋 世界最強の経営』金児昭・著 vol.2272


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【厳しさと思いやりの最強経営】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4806138142
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本日の一冊は、「利益率世界一」「13期連続最高益」を達成した超優良企業、信越化学工業の代表取締役会長、金川千尋さんの経営を、経理・財務担当の常務取締役だった著者がまとめた一冊。

ご本人が書いた『毎日が自分との戦い』も興味深く拝読させていただきましたが、側近が語ることの面白さというのは、やはりあります。

※参考:『毎日が自分との戦い』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532313384

今回の金児氏の著書でいうならば、それは経理・財務がわかっている著者が見た場合の、氏の経営の評価、そして氏の才能が開花した組織内の事情、といったところ。

なぜ信越化学工業が世界一の利益率を実現できるのか、数字を見ることで、販売面、人事面、投資面の真実が見えてきます。

「易きにつくな、狭き門より入れ」という販売の哲学、「他の人がやろうとしない難しいこと」という利益率を上げるための秘訣、さらには投資リスクの取り方まで、凡庸な企業には、決してまねできない考え方、施策が披露されています。

そして、これも側近ならではの内容ですが、部下を思いやる金川氏の感動秘話がとてつもなく良い。

著者が辞めた時の贈り物や、部下が独立起業した時のセリフ、なかでも極めつけは、恩師であり、名経営者だった小田切新太郎元会長が亡くなった時のアイスクリームのエピソード。

これには不覚にも、涙を抑えることができませんでした。

できる経営者とは何か、経営者に求められる人間力とは何か。この本で教えていただいた気がしました。

一流の経営者を目指すすべての人に、おすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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金川千尋さんは、「一言で言ってどのような方ですか」と、これまで私はいろいろな方から何千回も聞かれました。それに対し私はいつも、「『実行有言』の人です」と答えてきました。経営について、実際に行ったことだけを言う人だからです

自己資本で固定資産を賄う、つまり大きな借金をして設備投資しない(借金を好まない)というのは、今日まで貫かれている金川流最強経営の一つの共通点です

銀行はしばしば土地を担保にするとか、個人財産を担保にするとか言いますが、三〇年以上前に、小田切さんは金川さんの「経営力」を担保にして社運を賭けた決断を実行しました。それが、いまの信越化学をつくりました

「少数精鋭で、過剰な設備投資はしない。が、タイミングを見て果敢に投資する」という方針が、いまに続く金川流世界最強経営の原点

「販売は経営の生命線。易きにつくな、狭き門より入れ」

金川流世界最強経営の中でも、その極意とも言えるキーワードが、金川さんの生み出した「フル生産、フル販売」

他の人がやろうとしない難しいことをやれば、利益は大きくなります

「絶対に嘘を言ってはならないが、『本当のことを言わない』という気遣いがなければ絶対にものは売れない」

「お客さまとの関係は長期的なもの。苦しいときに力を貸してさし上げることが大事」

「予算はないほうが良い」として、「実行計画」と「過去最高益の数値」を大切にします

アメリカで最優先される担保は、まず在庫、そして売掛金です。そうした担保の申し入れを、金川さんは必ず“相手の経営が良い状態のとき”に行なっておきます

担保の売掛金が危なくなったとき、つまり当社のお得意さまの経営が危なくなったとき、良い会社に紹介して合併してもらいます

世界中の多くの企業が中国をはじめとした新興国に投資を進める中で、なぜ金川さんはアメリカを生産拠点と考えたのでしょうか。それは、アメリカが1カントリーリスクが最も低く、2契約をきっちりと守る国だからです

「はじめから人をおかなければ人は少数精鋭に育っていく」

「良い会社とは、正道(フェアウエイ)を歩きながら成長を続ける会社。真正面から戦いながら、売上と利益を上げていく」

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『Mr.金川千尋 世界最強の経営』金児昭・著 中経出版
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◆目次◆
序 章 信越化学、世界最強経営者の素顔
第1章 「フル生産、フル販売」の経営
第2章 すべては市況が教えてくれる
第3章 身体を張って培われた本物の国際経営力
第4章 率先垂範でやってみせる力を温かな心
第5章 少数精鋭経営が世界一の雇用力と利益力を生む
第6章 自分を知り、相手を知る
第7章 経営の正道を行く

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