『人を不幸にする会社・幸福にする会社』


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本日の一冊は、イトーヨーカドー・グループの創業者であり、現在、セブン&アイ・ホールディングス名誉会長を務める伊藤雅俊さんと、信越化学工業顧問の金児昭さんが、対談をしてまとめた一冊。

通常、対談モノというと、中身が薄い、というのが定番ですが、本書はQ&A形式ではなく、それぞれが企業経営について、持論をきちんと語る形式になっており、対談の割には読み応えのある一冊に仕上がっています。

タイトルからも類推できますが、本書の対談の基本にあるのは、最近の企業不祥事や、経営者倫理の荒廃です。

冒頭で、最近の経済界の事件を受けて、本来企業は誰のためにあるのか、何のためにあるのか、人を幸福にする企業の条件とは何か、優良企業を導いてきた2人が、持論を展開しています。

結果として問われているのは、人間として最も大切な信用や倫理などの問題。

とはいえ、そこはベテラン。単なる建前論ではなく、経営者も人の子、という視点から、経営者が陥りやすい罠についてきちんと議論されています。

一冊通して考えさせられるのは、経営者としてどんな経営をするべきか、という根本的な問題。

読み手によって、両者の主張に好き嫌いはあるでしょうが、自らを省みる上で、貴重な機会となること間違いなしです。

経営者にこそ読んでほしい、骨太の経営論です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「需要と供給」という「商」の基本からすると、商人にとっての商
売とは「お客様のためにある」というのが私の考え方(伊藤)

お客様がいる世界で細かく稼いだお金と、金融で稼ぐお金、相場で
稼ぐお金とは、性質が違う(伊藤)

お金はゼロになっても、信用というものが残れば、決してゼロにな
ったわけではありません。信用はとても大事なことだというのが私
の信念です(伊藤)

人に恩を着せてはいけない。恩を着せたらそれがなくなってしまう(伊藤)

自分の利益だけで人のものも取ってしまおうというのは、自分の利
ではない(伊藤)

きれいごとも大事です。ほとんどの人は、きれいごとの気持ちで人
の話を聞いたり、いろいろな影響を受けるものです(金児)

国のために、人のために、官の人々にしか出来ないことを命をかけ
て行なうのは官の人の尊い志である(金児)

大人は子供に説明できるようなことをやらなければならないし、子
供に説明できないようなことは、やってはならない。それが一番の
常識ではないでしょうか(金児)

小田切社長から教えられたのは、経理・財務が威張ったら会社は危
ないということです。ただし、「財産保全についてないがしろにす
る人がいたら、社長である自分も含めて許さない経理・財務になり
なさい。そのところだけは威張っていいが、あとは威張ってはいけ
ない」と教えられました(金児)

学者はまず身ぎれいにするべきです。社外取締役などで小遣いかせ
ぎをしないことです。そして、自らが人に範をたれた上で、ものを
言うと、人は耳を傾けるはずです(金児)

お金から出発するか、人間の信頼関係から出発するか。そこの差が
企業の差につながる

人間は好みに滅びる(梅屋社長・関口寛快)

約束を守っていることで信用というものがついていきます。ただ、
信用が膨張しすぎて、自分の力以上になってしまうと怖い(伊藤)

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『人を不幸にする会社・幸福にする会社』
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┃▼目次▼
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┃ 第一章 何かがおかしい最近の経済界
┃ 第二章 企業は誰のためにあるのか
┃ 第三章 人を不幸にする会社・幸福にする会社
┃ 第四章 人生も企業経営も同じこと
┃ 
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