『社員稼業―仕事のコツ・人生の味』松下幸之助・著


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【経営者の視点を持つために】
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本日の一冊は、経営の神様・松下幸之助が、サラリーマンに経営者
マインドを持つことの重要性を説いた不朽の名著。

先日、ベストセラークラブの取材でPHPの「THE21」編集部を取材し
た時に編集長にご紹介いただいたもので、さっそく読んでみました。

冒頭に書かれているように、著者の主張は極めてシンプルです。

いわく「今日の会社の社員は、会社の社員という考えに徹すること
はまことに結構だけれども、単に会社の社員に徹するという考えだ
けであってはならない」

「もし、社員稼業に徹するならば、たとえば命じられただけの範囲
で仕事をすませるということは、私はできないと思います」。

これこそがまさに仕事を楽しむための心構えであり、松下はこれを
全社員に浸透させたからこそ繁栄したのだ、ということがよくわかります。

取引先も含め、松下のために働くすべての人に配慮する、自らの一
挙手一投足が、すべて一般大衆とつながりをもっている意識を持つ
など、参考になる教えがいくつも散りばめられています。

なかでも感銘を受けたのは、松下幸之助が他社の有望な社員にほれ
込んだ時の話。松下は決して裏から「引き抜く」のではなく、他者
の社長に堂々と申し出て、もらいうけたというのです。

いわく「われわれは実業人であると同時に、やはり紳士でなくては
ならない」。

松下幸之助の正々堂々としたビジネスのやり方や、ビジネスマンと
してのモラルは、現在の拝金主義社会日本に決定的に欠けているものです。

経営者が正々堂々と仕事をしている姿を見せることで、従業員がそ
の気持ちに応えようと頑張る。その結果、素晴らしいアイデア、商
品が生まれ、社会が繁栄していく。

その本来のあり方に立ち返る、良いきっかけとなる一冊ではないでしょうか。

スーパーで食品を買う時に、賞味期限や産地が信用できない、ギョ
ーザに殺虫剤が入っていないかどうか不安…。

こんな社会もう懲り懲り! という方に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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素直な心でものを見ますと、物事の実相がわかるのではないか、ほ
んとうの姿がわかるのではないか

「なんとなしに、他の仕事ができないからこれをしているのだ」、
こんなことをいう人がかりにあるとすれば、けしからんな、という
感じがするのです。それは「あなた自身のためにけしからんではな
いか。また社会のためにもけしからんではないか。あなた一人とい
うものは、社会にとって尊いものだ。その尊いあなた自身を、もっ
と生かさないようでは困る」ということがいえると思います

自分はこのような運命に生まれてきたのだ、だから、これに素直に
従ってやっていこうとなれば、その素直に従ってやっていこうとい
うその気力というものは、非常に強いものだと思うのです

素直な心になりたいというだけでも三十年たたないと一人前になれ
ない。そういうことが、すべてにあてはまると思うのです

新しい人間観に立って、政治、経済その他一切の物を考えなくては
いけない。そうでなければ結局は、文明が進めば進むほど、災害が
多くなってくるのではないか、というように思われてならないのです

お互いの一挙手一投足は、ぜんぶ一般大衆とつながりをもっている
のです。そのつながりに対する責任感というものを自覚しているか
どうかということです。

とにかく縁あって結ばれたのですから、よそへ行って愚痴をいわず
に、うちで愚痴をいってください。よそへ行ったとき、「松下電器
はいいところだ」といってもらいたい

社員がそういうように、社長、あるいは専務、常務というような首
脳者の苦労がわかることが非常に大事な問題である、と同時に、社
長や、会社の幹部が、みなさんの立場に対して理解を持ち、そして
みなさんの働きに対して、ご苦労に対して、大いに感謝する――こ
ういうようなことに双方が成功しますと、どんな事業でも成功する

少しでも不純な心をもって競争に打ち勝とうとすることは断じてあ
ってはならない(中略)われわれは実業人であると同時に、やはり
紳士でなくてはならない

自分の個性というものを無視して、自分はこういうことをしたなら
月給もよけいくれるだろう、こういう地位になったらおもしろいだ
ろうという欲望から出発した判断は、自己の適性に反する場合が多い

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『社員稼業―仕事のコツ・人生の味』松下幸之助・著
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◆目次◆

まえがき(旧版)
社員稼業ということ――序にかえて
一話 生きがいをどうつかむか
二話 熱意が人を生かす
三話 心意気を持とう
四話 何に精魂を打ち込むのか
五話 若き人びとに望む
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