『建築家安藤忠雄』安藤忠雄・著


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【建築家・安藤忠雄、初の自伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103090510

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本日の一冊は、光の教会や表参道ヒルズ、日本建築学会賞を取った住吉の長屋などで知られる名建築家、安藤忠雄さんの初の自伝です。

お茶の水の丸善さんで偶然手に取り、読み始めたのですが、これがじつに面白い。

本来、建築の棚に置かれる本だと思いますが、著者の半生の記録と建築にかける思い、そして人生哲学は、下手な経営者が書いたビジネス書よりもよっぽど読み応えがあります。

著者の代表作品を写真で眺めながら、そこに込められた思いと、実現までの苦難を知る。

著者の細かな配慮と関係者に対する感謝の気持ち、期待を背負って闘い続ける姿勢からは、職業人として多くの学びが得られるに違いありません。

――そして極めつけは、その人生哲学。

なかでも、最後の「人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではない」という言葉には本当にしびれました。

エリート優先の建築界にあって、独学で世界に認められた男、安藤忠雄。

本書を読んで、こんなすごい人と同時代に生きられたことを、本当に嬉しく思いました。

残念ながらアマゾンが在庫を切らしているようですが、みなさんも、ぜひ入手して読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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組織というものは、放っておくと肥大化するもので、気がつけば、その存在を持て余し、自分のためにつくった組織に自分自身が振り回されるということになりかねない。個人が、組織に飲み込まれるようになってしまえば、その建築家は終わりだ

進行状況を確かめ、必要なら修正を加える。そこで、不注意なミスや、考え抜くという姿勢を放棄したような怠慢さが見受けられたり、現場との関係やクライアントとの関係づくりにずさんなところがあったりでもしたら、容赦なく怒鳴りつけてきた

デザインのセンスが悪いといって、責めたことはない。大切なのは、「その建物を使う人間への、気遣いが出来ているか、定められた約束を守り遂行できているか」ということ。問うのは、担当者一人ひとりの「自分がこの仕事をやり遂げるのだ」という自覚である

「約束を守れ、時間を守れ、うそをつくな、言い訳をするな」大阪商人らしく、自由な気風を好んだ祖母は、子供に対しても、自分で考え、決めて、自分の責任で行動する、独立心を求めた

渡欧の決心を告げたとき、祖母は「お金は蓄えるものではない。自分の身体にきちんと生かして使ってこそ価値のあるものだ」と力強い言葉で、気持ちよく送り出してくれた

平和大通りを基軸に、ピースセンターのピロティから祈りの広場、慰霊碑と原爆ドームに向かっていく、壮大な都市の建築――そこは戦没者の鎮魂を願い、平和を祈る、日本人の思いが、誰の目にも分かる風景として表現されていた。当時の私は、その建築がどのようにすごいのか、言葉にする術を持たなかったが、少なくとも「建築にはこれだけのことが出来るのだ」と身体で感じることは出来た

「たとえ時代に見捨てられた技術であっても、その限界を突き詰めることで、新しい可能性を切り拓いてやろう」とした創造者としての挑戦精神こそが、あの類まれな建築造形の本質のように思えてならない(ガウディを評して)

新たな建築に向かうとき、いつも意識するのは、「その建築が何のためにつくられるか」と、原点、原理に立ち返って考えることだ

人々の人生を彩る文化を創り、育んでいくのは、いつの時代も、強く激しい個人の情熱である

伝統とは、目に見える形ではない。形を担う精神である。その精神を掬い取り、現代に生かすことこそが、本当の意味での伝統の継承なのだと、私は考え、自身の建築をつくっている

私は、人間にとって本当の幸せは、光の下にいることではないと思う。その光を遠く見据えて、それに向かって懸命に走っている、無我夢中の時間の中にこそ、人生の充実があると思う。光と影。それが、40年間建築の世界で生きてきて、その体験から学んだ私なりの人生観である

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『建築家安藤忠雄』新潮社 安藤忠雄・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4103090510
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◆目次◆

序章 ゲリラの活動拠点
第1章 建築家を志すまで
第2章 旅/独学で学ぶ
第3章 建築の原点、住まい
第4章 都市に挑む建築
第5章 なぜコンクリートか
第6章 断崖の建築、限界への挑戦
第7章 継続の力、建築を育てる
第8章 大阪に育てられた建築家
第9章 グローバリズムの時代に
第10章 子供のための建築
第11章 環境の世紀に向かって
第12章 日本人のスピリット
終章 光と影

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