『小布施まちづくりの奇跡』川向正人・著Vol.2078


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【ケーススタディ小布施の場合】
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最近勉強をしていて思うのは、土井にはケーススタディが必要だということ。

原理原則を書いた基本書もいいのですが、ある程度考え方を学んだら、次に学ぶべきは具体的なビジネスのヒント。

そのためには、優れたケーススタディを学ぶのが有効です。

本日ご紹介する一冊は、観光地として注目を集めている長野県の小布施町を取り上げた一冊。

毎年、人口の100倍にあたる120万人が訪れる町を、いかにして実現したのか。

著者が建築の専門家ということで、ややビジネスの視点からはそれる部分もあるのですが、開発をした人間の設計思想と、プロジェクトを実行する上でのポイント、そして人を動かす要諦が学べる、優れたケーススタディです。

不利な条件を活かすことによって生まれた最高のブランド「小布施栗」。

砂礫質の扇状地であることから生まれた「水のある風景」。

まちづくりに陰と陽の思想を取り入れ、生まれた表通りと裏通り。

人をひきつける場作りの実現に向けて、重要なヒントをいただきました。

事業再生や集客、場作りのヒントとして、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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住民側から見れば自治体は小さいほどよい、小さいほど住民が政治に直接参加できる

稲に代わる土壌にあった作物を探すことは、この扇状地に生きる者に課せられた定めのようなものであった。そのマイナス要因をプラス要因に変えたことで、最高のブランド「小布施栗」が誕生した。
米作りには適さない水はけのよすぎる酸性土壌が、独得の風味と香りをもつ栗を産出することになった

砂礫質の扇状地だということが、地表に毛細血管のように用水路をはりめぐらせて、貴重な「水のある風景」をあちこちに生み出した

栗菓子は、第一次産品(農業生産物)として出荷販売するだけではなくて加工によって付加価値をつけたうえで販売するという、小布施商法の早い例だった

「栗ガ丘」の校名も決まり、一九七〇年に統合小学校の建設がはじまった。小学校は、子供だけではなくて保護者も多種多様な目的で利用して、地域生活の核となる。地域との強い絆が、同じ学校でも中学校とも高校とも異なる

五者会議が原則としたのは、行政に頼らないことだった。理由は二つあった。一つは、各自が自立する道を探って、行政に財政支援を期待しないこと。行政の助成金には必ず限度があって恒久的に続くものではないので、事業の成果を子々孫々まで残そうとすれば、経済的にも自立すべきだと考えたからである。二つ目は、行政はクレームに弱く、安全策をとろうとして身近なところに手本を求めること。しかし、二番煎じでは、苦労も喜びも半分。喜びがなければ、運動は継続しない

金銭の授受をともなわない交換という方法を採用することで、新たな経済的負担を生じさせない。わざわざ評価手数料を支払って第三者に地価を決めてもらうこともしなかった。地価の差をいいはじめると、敷地の再編成そのものがストップするかもしれない。面子や小さな損得勘定で計画を頓挫させないために、当事者同士が話しあい納得して土地を交換する方法を選んだのである

歴史を大切に、だが現代生活を犠牲にしない

人間は無意識のうちに心理状態や気分にあう空間を選ぼうとするから、明るい表通りと多少暗い裏通りという対照的な道空間が用意されているのは、優れたまちづくりの要件でもある

多様な目的で大勢の人々が出入りする空間ほど、活気があって魅力的でもある。そのような空間は、おのずとエリア全体の中心になっている

「一つひとつの建築のことは所有者も設計者も考える。だが大切なのは、建築と建築との間、すなわち関係をつくることなのです。この関係を考えるようになれば、建築が変わるし、都市が変わります」(宮本忠長)

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『小布施まちづくりの奇跡』新潮社 川向正人・著
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◆目次◆

第1章 北斎に愛された小さなまち
第2章 過去を活かし、過去にしばられない暮らしづくり─修景
第3章 世代を超えて、どうつなぐか

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