2008年9月22日
『大暴落1929』ジョン・K・ガルブレイス・著
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【明日はまた暴落か】
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先日、メディアを騒がせたリーマン・ブラザーズの破綻の後、マーケットでは恐慌懸念が広がっていますが、本日ご紹介する一冊は、まさに今読むのにピッタリの一冊です。
経済学者として名を馳せた故・ジョン・ケネス・ガルブレイスの名著を復刊したもので、帯に書かれているように、「バブル崩壊、株価暴落のあとに必ず読まれる、恐慌論の名著」です。
もちろん、マーケットを取り巻く環境や各種の規制、各国政府の政策など、当時と今は大きく変わっていますが、それでもここに描かれている人間の本性は、いつまでも変わらない気がします。
「投資をしているのが金融を知り過去から学んだ人ばかりではない」状況で投機熱が高まり、買っている人々は、その資産にどんな価値があるのか、なぜ価格が上がるかを考えなくなる。
そこに、追い討ちをかけるように、「仕掛け」(投機の証券化)が登場する。
これは、フロリダの場合でも、今回のサブプライムローンの場合でも、基本的には同じようです。
権力者が自らも投機に励み、言説がゆがめられ、バブルはやがて手に負えないところまで進んでいく。
「レバレッジ」が投資家に牙をむき、逆に働く。やがて人々は、ゴミ同然の資産のために、本当に大切な資産を失い、壊滅的な打撃を受ける。
富裕層に富が集中すると、経済はどうなるのか。投機熱が高まると社会はどうなるのか。
本書を読んでいると、最近出された欲望むき出しのビジネス書のほとんどが、マクロレベルでは間違っていることがわかります。
今日の市場は高値で終わったようですが、本書を読む限り、本当の大暴落の前には、いつでも楽観的な見方が蔓延しています。
歴史から学び、賢明な投資をするために、ぜひ読んでおきたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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悪い事態を予想するのには勇気も洞察力もいらないのであって、いいときにいいと言うことの方が勇気がいるのだ。輝かしい未来を予言して当たらなければ、ここぞとばかりに糾弾されるが、地球終末の日を予言して外れても、誰からも咎められはしない
フロリダの気候という現実の決め手の上に、投機を誘う虚構の世界が築き上げられていった。その世界に入り込むのは、物事を疑ってかかる人間ではない。信じる理由をほしがる人たちだ
時が経つとともに、値が上がるという事実にだけ目を奪われ、なぜ上がるのかを考えようとしなくなるのは、投機のもう一つの特徴である
過去の大規模な投機ブームをみると、投機家が心おきなく自分の仕事に集中できるような仕掛けが必ず登場していることがわかる。フロリダの場合には、それは「手付証書」の売買だった
理由の一つは、当時の大物たちが心配無用と請け合ったことにある。ただしこの連中は、自分がさかんに投機をしていたからそう言ったのだった
レバレッジは、のちに明らかになるように、両方向に働く
賢明で責任ある新聞や知識人は、ブローカーズ・ローンの増加を批判せずに、増加傾向を重大視する人々の方に矛先を向けた。不幸を予言する者はきらわれる
当時一億二〇〇〇万あったアメリカの全人口のうち、さかんに株取引をしていたのは一五〇万人強に過ぎない
情報が伝わらないとなると、実際は壊滅的打撃までは受けていなくても、最悪の事態を想像しがちなものである
追い証請求を受けて窮地に陥った投資家は、災難の中から少しでも財産を救うべく、株の一部を売って残りは何とか手放すまいとした。
ところがいざ売ろうとすると、投信株にはまともな値段は付かず、そもそもまず売れないことを思い知らされる。となれば、優良銘柄を売るしかない。こうして、USスチール、GM、ATTといった堅実な銘柄が途方もなく大量に投げ売りされていった
金利や信用供給よりもはるかに重要な役割を果たしたのは、時代の空気である。大規模な投機が展開されるためには、普通の人でも金持ちになれるのだという楽天的で揺るぎない自信が行き渡っていなければならない
所得分配がこのように甚だしく偏っていると、経済は高所得者層による投資や贅沢品の消費への依存度が高くなる(中略)高所得者層の投資と支出は、一九二九年一〇月の株価暴落にとりわけ敏感に反応したと考えられる
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『大暴落1929』ジョン・K・ガルブレイス・著
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◆目次◆
一九九七年版まえがき
第1章 夢見る投資家
第2章 当局の立場
第3章 ゴールドマン・サックス登場
第4章 夢の終わり
第5章 大暴落
第6章 事態の悪化
第7章 暴落後の日々1
第8章 暴落後の日々2
第9章 原因と結果
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