2010年7月19日
『即答するバカ』梶原しげる・著 vol.2189
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【即答ばかりが能じゃない?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4106103761
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以前、採用面接に来た第二新卒の女性に、驚きのひと言を浴びせられました。
「会社の理念は?」と聞かれて、こちらが思いを熱く語った後、彼女はこう言ったのです。
「へえー。えらいですね」
あまりの衝撃に唖然としてしまい、それ以上面接を継続する気力がなくなってしまいました。
しかし、最近になって思うのは、ひょっとしたら彼女には悪気はなく、何か別の思いを伝えようとしていたのではないか? ということ。
もし、彼女が伝え方の問題だけで損をしていたとしたら、それは非常に残念なことです。
本日ご紹介する一冊は、その「伝え方」について、アナウンサーの梶原しげるさんが指南した一冊。
「伝え方」と聞くと、ついビジネスにおける「ロジカルシンキング」や「効果的な伝え方」を連想するかもしれませんが、本書で扱う「伝え方」は、これとはまったく違う考え方。
考えなしに「即答」するのではなく、相手を慮って感情の交流を実現する、そんな話し方を指南しています。
同じ「空席なし」でも、「即答」せずに「努力するところを見せる」「残念な気持ちを共有する」。同情するあまり、上から目線の感情表現に陥るのではなく、あえて毒舌で返す。相手とのレベルの違いによってほめ方を変えるなど、ワンランク上の「伝え方」が満載。
プロによる話し方事例も豊富で、刺激を受けること必至。
なかでもスキャンダル後の謹慎を経て復帰した山本モナさんに対し、大竹まことさんがボケて見せた名司会ぶりに感銘を受けました。
みんなが緊張感や気まずさを持って迎える異常事態に、どうやって「いつも通り感」を演出するか、じつに参考になります。
ビジネスでは、理性的に伝えるだけでなく、時に相手の感情や空気を読み、感情的に伝えることも必要。
その点で、本書から学べることは多いと思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ロジカルシンキングなどにかぶれる前に、伝統的な日本語会話をきっちり学習し直して欲しい
結果は「空席無し」と同じだが、「即答」されるより「努力するところを見せる」「残念な気持ちを共有する」そのための手間を惜しまない、この「一手間」のおかげで、客は「次もこの航空会社を使おう」と思うのではないか
感動とは、相手に取り入ろうという下心があるとうまく伝わらない
他者の評価に過敏にならないことも感動をうまく表現するコツだ。「こんなふうに言ったら、ばかにされるかも」などと思えば、ソツのない紋切型の言葉しか出てこない
「何とかしゃべりの好感度をアップしたい」と考える人は、「表現の多彩さ」という指標を常に頭に入れておいてほしい
どんな時にも、想定外の答えは返ってくるものだと覚悟しておくこと。相手にとってネガティブな話題が飛び出した時、急に同情しな
いこと。同情とは、高みから見下ろす上から目線の感情表現だ
◆CS生通販番組からビジネスパーソンが学ぶべきこと
1.強い“信念”を持っている
2.同じ事を表現するための多様なボキャブラリーを持つ
3.切り替えの妙
4.とどめを刺す追い込みの力
自己開示能力のある「ゆるい人」は、表裏のない人間だと受けとめられる。それゆえに「ゆるい人」は周りから愛される。自己を開く
ことで初めて相手も胸襟を開いてくる。これを自己開示の返報性という
◆目上をほめる場合の2つのパターン
A.自分を引き下げて相対的に相手への敬意を高める表現
B.評価的にほめるのではなく、自分の感動に感謝の言葉を添えて伝える
対話する時、我々は、言葉と言葉の向こうに存在する、直接語られないメッセージにも思いをはせる、察する力も失ってはならないと思う
頭のいい人、「デキる」と尊敬される人は、仕事を離れた時のさりげない話が多彩で豊かなもの
世間に合わせて「変わらなければ」と焦るばかりでは、顧客が本当に望んでいるアイデンティティーを失い、特徴も、魅力もない「そ
の他大勢」になってしまう
気楽に口を衝いて出がちな「だから」だが、実はオンビジネスでは緻密な論理性を背景に語られるべき言葉
「本当にデキる、優秀な人」ほど、その分野の素人の私に難しい専門分野の話を「ひらがな」で語ってくれたりする
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『即答するバカ』新潮社 梶原しげる・著
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◆目次◆
はじめに──即答する前に考えてみたいこと
第1章 ちょっとした物言いの「すごい力」
1 意外に難しい「感動伝達力」
2 電話番で養われる会話力
3 新旧の達人に学ぶ「毒舌力」
4 準備が物言う「行き当たりばったり力」
5 通販に学ぶ実践的圧力
6 誠意が必要な「飛び込み力」
7 今こそ必要な「ちょいゆる力」
8 KY力と同調力
9 人を救う「いじる力」
10 初対面で和ませる力
11 五木寛之さんの「肉声力」
12 侮れない「ほめる力」
13 最低限必要な「察する力」
14 言葉の「預金力」
第2章 やっぱり気になる「口のきき方」
1 「ら抜き」言葉と「か取り」問題
2 心ない相槌の罪
3 軽薄な業界用語
4 「使い慣れない敬語」の怖さ
5 その「だから」は本物か
6 このごろ気になる三つの口癖
7 「ひらがな」を使えない大人
8 微妙に気になる「ら足し」と「れ足す」
あとがき
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