2010年7月25日
『出社は月に3日でいい』松久信夫・著 vol.2195
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【「毎日出社」はもう古い?】
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先日、名古屋の三省堂書店に立ち寄った際、同店のベストセラー2位にランクインしている本が気になって、一冊購入してきました。
タイトルの「出社は月に3日でいい」、帯に書かれている「出社しない仕事術」だけでも気になりますが、これまで聞いたことのなかった岐阜の年配経営者がそれを実現しているというのに驚きました。
手法としては、Webカメラとパソコンを使うというシンプルなものですが、目を見張るのは、その権限移譲の考え方。
長男に在宅勤務を宣言して社長室を譲り渡し、チタンの買付話を持ってきた女性社員の孤軍奮闘に応えてみせるために数億円の投資、さらには上海子会社で、生え抜き社員を初の中国人CEOとして抜擢…。
偶然が手伝ったとはいえ、氏のやり方から学ぶことは、じつに数多くあります。
社長が出社しなくても回る会社づくり、というのは誰もが憧れることだと思いますが、本書にはそのために必要な社長の心構えが書かれています。
社員を信じて、権限委譲をする。
そのために何が必要か、考えるいいきっかけになると思います。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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時間や場所を選ばずに働けるIT環境が整ってきているにもかかわらず、会社単位で見れば、非効率で、旧態依然たる労働慣習を変えられずにいる。それは社会全体で考えるべき、働く仕組みの問題
化学プラントのモジュール化を武器に、上海子会社の2009年度の純利益は約50億円。上海にある日系企業ではトップクラスの業績をあげています。社員数も日本では約550名程度ですが、中国では約2000名。そういう意味では、岐阜と上海で「2つの顔をもつ会社」に成長してきました
パソコン一台あれば、喫茶店のカウンターにいながら、会社の現状をすべてつかむことができる。おまけに社長室も、秘書も、運転手も必要ない。わたしは社長交際費も一切使いませんから、これらだけで年間1000万円近いコストダウンを実現していることになります
Webカメラを使えば、視察を毎日わずか30分で済ませられます
◆著者が社員に送るメールの3パターン
1.業務報告や日報、承諾を必要とするメールへの返事
2.残業中の社員をねぎらったり、業績をあげた社員をホメるメール
3.注意したり叱ったりするメール
※本人には直接送らず、上司である役員か部長に送り、間接的に指導
パソコン日記には、「いつ」「誰と」「どこで」会ったのかに加え、時には「どんな話をしたのか」まで簡単に記録してあります。予定も書き込み、スケジュール表も兼ねています
Webカメラは「監視カメラ」に使ってはいけない
わが社の社員たちは、権限委譲を自らのキャリアアップの機会と受け止め、がぜん、やる気になりました
会社の利益の源泉は研究開発であり、営業戦略であり、財務戦略
岐阜から上海への出張では、わたしは飛行機のエコノミー席しか利用しません
優秀な人材にかぎって、わが社は出戻り自由(中略)理由は明快、誰でも「隣の芝生は青く見える」ものだからです
わたしの営業がユニークだったのは、冬の寒いときは東北や北海道へ、反対に夏の暑いときは四国や九州に出かけたことです
モノづくりの神様は、わたしを見放しませんでした。赤字スレスレで売り出したステンレス製タンクは、それらの高い性能が全国的に評判になり、それまでは岐阜の中小企業にすぎなかった会社の知名度を、全国区的な存在へと押し上げてくれたのです
周到な返済計画がより緻密な経営計画をつくってくれます。借金が経営に緊張感をもたらしてくれるのです
わたしは株式上場など考えたこともありません。上場の見栄より、未上場の実利をとるタイプだからです。未上場の実利とは、自由闊達な経営をしたいという欲求であり、チャンスを逃さずにスピーディな経営判断ができること
「人間は自分が一番かわいい」がすべての出発点
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『出社は月に3日でいい』東洋経済新報社 松久信夫・著
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◆目次◆
第1章 わたしの「出社しない」デジタル仕事術
第2章 Webカメラ徹底活用術
第3章 「社員をやる気にさせる」アナログ仕事術
第4章 「欠点」が「長所」になったときに成功する
第5章 「今日の損」より「未来の得」をとる
第6章 上海から見える日本企業の弱点と課題
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