『ビジョナリーカンパニー3』ジェームズ・C・コリンズ・著 vol.2192


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【あの名著『ビジョナリーカンパニー』に続編登場!】
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本日の一冊は、あの名著『ビジョナリーカンパニー』シリーズ待望の第3弾。

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第1弾で「時代を超える生存の原則」、第2弾で「飛躍の法則」を説いた著者が今回放つのは、なんと「衰退の五段階」。

業績の冴えない企業にとっては、思わず目をそむけたくなるタイトルですが、それだけに重要な示唆を含んでいます。

本書では、ピーター・ドラッカーの教え子であり、著名な経営コンサルタントでもある著者が、これまで研究対象としてきた偉大な企業がなぜ衰退の憂き目を見たのか、その理由を明らかにしています。

いわく、「研究対象とした健康な人のなかに、睡眠が不規則になり、食事のバランスが悪くなり、運動をしなくなった人がでてきたとき、原則は間違いだったということになるのだろうか」。

著者が指摘しているのは、原則の誤りではなく、企業が原則を正しく実行できなかったことによる弊害です。

たとえば、これまでの作品で紹介された「針鼠の概念」や「弾み車」という原則がありますが、衰退企業は、これらの概念を無視して失敗します。

つまり、自社の競争優位性のあるところ以外で戦ったり、思い弾み車を押し続ける努力を怠ったりしてしまう。

しかし、著者の研究によれば、衰退にいたる原因のほとんどはイノベーションの不足ではなく規律なき拡大路線。

また、一発逆転策の追求や、外部からの経営者の招聘は失敗に終わることが多いことも指摘しています。

ウォルマートと同じコンセプトを持ち、ウォルマートより4年早く設立されたにもかかわらず消滅したエームズ、ゼロックスの脅威に過剰反応し、コア事業をおろそかにしたアドレソグラフ、時代とのずれを認識できずに大きな賭けに出て失敗したモトローラ…。

経営史の闇に沈んでいった多くの企業の実例が、経営者の傲慢を戒め、真に有効な戦略とコア事業に立ち返ることの必要性を教えてくれます。

もし読者の会社が今、まさに衰退の五段階にはまっているのなら、IBMを立て直したガースナーや、ニューコアを復活させたディミッコの例が役に立つはず。

なかでも、「偉大な企業の構築と外部からのCEO招聘の間には強い逆相関関係があることが分かっている」にもかかわらず成功したガースナーの事例は、企業再生の参考になること請け合いです。

テーマ的にやや地味とはいえ、今回の作品も、これまで同様に読み応え抜群。

これは、マスト・バイな一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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研究対象とした健康な人のなかに、睡眠が不規則になり、食事のバランスが悪くなり、運動をしなくなった人がでてきたとき、原則は間違いだったということになるのだろうか。睡眠、食事、運動が健康の原則であることに変わりがないのはあきらかである

わたしは組織の衰退を、段階的な病のようなものだと考えるようになった。初期の段階には発見するのが難しいが、治療するのはやさしい。後期の段階には発見するのは簡単だが、治療は難しい

◆衰退の五段階
1.成功から生まれる傲慢
2.規律なき拡大路線
3.リスクと問題の否認
4.一発逆転策の追求
5.屈服と凡庸な企業への転落か消滅

成功したときには運と偶然が関与した場合が多いが、運が良かった可能性を認識せず、自分たちの長所と能力を過大評価する人は、傲慢に陥っているのである

組織の成長が速すぎるために、主要なポストに適切な人材を配置することができなくなったときには、衰退への道を歩みはじめている

中核事業は、人間の基本的なニーズを満たすものであって、世界一になっているのであれば、陳腐化することはめったにない

主要な弾み車に残っている可能性を無視するのは傲慢である。それ以上に悪いのは、主要な弾み車は退屈だと考えて無視し、成功はほぼ間違いないとの思い上がりから、つぎの大事業に関心を移す傲慢である

「われわれが成功を収めているのは、これこれのことをする理由と、それが通用しなくなる条件を理解しているからだ」が忘れられる

大型の買収や合併が基本的価値観と適合しなかった場合、企業文化を損なった場合、世界一であることが実証されている部分と食い違っていた場合、経済論理に反していた場合、つまり、深い理解と見識に基づくのではなく、虚勢をはった結果であった場合、経営が破綻することがある

偉大な企業が衰退する前にはかならずイノベーションが減少するとの仮説が否定された

立証責任を安全でないと主張する側ではなく、安全だと主張する側が負っていれば、チャレンジャー号の悲劇は防げたかもしれない

偉大な企業の構築と外部からのCEO招聘の間には強い逆相関関係があることが分かっている

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『ビジョナリーカンパニー3』日経BP社 ジェームズ・C・コリンズ・著
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◆目次◆

第一章 静かに忍び寄る危機
第二章 衰退の五段階
第三章 第一段階 成功から生まれる傲慢
第四章 第ニ段階 規律なき拡大路線
第五章 第三段階 リスクと問題の否認
第六章 第四段階 一発逆転策の追求
第七章 第五段階 屈服と凡庸な企業への転落か消滅
第八章 充分に根拠のある希望
付録一 衰退企業の選別基準
付録二 比較対象成功企業の選別基準
付録三 ファニーメイと二〇〇八年の金融危機
付録四A 自己満足仮説の間違いを示す事実の一覧
付録四B 一発逆転策の追求を示す事実
付録五 主要なポストに適切な人材の条件
付録六A IBMの衰退と回復
付録六B ニューコアの衰退と回復
付録六C ノードストロームの衰退と回復
付録七 良好な企業から偉大な企業への飛躍の法則

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