『ソロスは警告する』ジョージ・ソロス・著


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【ソロスは今後の市場をどう見るか】
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本日の一冊は、後に伝説となったクォンタム・ファンドを設立し、世界一ともいわれる運用成績を上げた投資家、ジョージ・ソロスが、投資における「再帰性」の理論を説明し、かつ今後の世界市場の見通しを論じた一冊。

投資をするのになぜわざわざ哲学や歴史を学ぶのか、と疑問に思う向きには不適な本ですが、投資における思想の重要性を認識している人には、刺激的な読み物だと思います。

著者の投資哲学の中核をなすのは、「再帰性」の理論というもので、この「再帰」とは、人間と周囲の出来事の双方が互いに影響を与えあうことで変化し続ける、相関的なイメージのことです。

この「再帰」の考え方からすると、投資家はマーケットを完全に理解することはできません。なぜなら、投資家自身もマーケットの一部であり、投資家の決断によって未来が影響を受けるからです。

また著者は、この本で合理的期待理論を真っ向から否定し、マーケットで見られる現象の真の原因を追跡していきます。

サブプライム後の世界はどうなるのか、という直接的な部分も気になりますが、やはり投資家には哲学が必要。

社会の動き、マーケットの動きを冷静に見つめるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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過去二五年間に発生した金融危機の数々が、それなりにうまく克服されてきたおかげで、信用膨張のトレンドも市場原理主義という誤謬も、かえって強化されてしまった。そのために、われわれは超バブルがここまで大きく育つことを許してしまったのである

マイナス金利というのは、資金を借りるコストが事実上無料だということを意味する。資金の貸し手としては、借りたいと手を上げる者がいなくなるまで貸し続けるのが合理的だということになる。そして、そのとおりに行動したのが住宅ローン各社だった。貸付基準を緩め、さまざまな新手法を導入して売り上げを伸ばし、手数料収入を増やしていったのである

この数年間というもの、世界の実物経済を牽引してきたのは信用膨張だった。FRBの大胆な利下げがもたらしたアメリカの資産価格の上昇と、それをあてこんで海外から流れてきた資金の貸し付けが成長を牽引してきたのだ。その逆の、いわゆる信用収縮が発生すれば、実物経済も停滞するに決まっている

人間が人間社会について理解しようとすると、観察者である人間もまた観察対象である人間社会の一部であるという事実が、理解の妨げとして最大の障碍となる

人間の誤解は社会に大きな影響をおよぼす

均衡点から遠く離れた部分を見つけては「儲ける」

理性は往々にして、知識を生み出すのではなく、現実を操作するために用いられる

一般論として言えば、投資命題が広く流布している見方からずれているほど、それが正しいときの報酬は大きい

「市場は常に正しい」という考えは、「市場はファンダメンタルズの反映である」という幻想からくるものだが、実際には市場は「再帰的」に、つまりは双方向的に、そのファンダメンタルズにまで影響を及ぼしうる

金融市場は均衡点に向かって収斂していくわけではなく、放っておけば興奮と絶望の両極端を行ったり来たりするほうが普通なのだ

現在の危機から汲み取るべき教訓のうちで最も重要なのは、「金融当局はマネーサプライのみならず、信用創造にも気を配らなければならない」というものだ

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『ソロスは警告する』ジョージ・ソロス・著
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◆目次◆

解説

危機の背景
第一部 危機の全体像
第一章 根本概念
第二章 私はいかにして哲学者として挫折したか
第三章 「再帰性」の理論
第四章 金融市場における「再帰性」
第二部 分析と提言
第五章 超バブル仮説
第六章 私はいかにして投資家として成功したか
第七章 二〇〇八年は、どうなるか?
第八章 政策提言
結論 ソロスは警告する
訳者あとがき

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