2010年6月9日
『「見せかけの勤勉」の正体』太田肇・著 vol.2149
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【やる気のパラドックスとは?】
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本日の一冊は、『プロフェッショナルと組織』で組織学会賞、『仕事人と組織』で経営科学文献賞など、経営系の賞を総なめにしている著者が、日本人のやる気の実態に迫った一冊。
衝撃的なのは、現在のストレスフルな職場だからというわけではなく、日本人はもともとやる気がなかった、という主張。
「やる気」を評価する従来の職場では、頑張って長時間働くことをアピールすれば評価されたわけで、著者は、それがむしろやる気の低下を招いた、と指摘しています。
雇用・労働関係のさまざまな調査結果も載せており、これを見ると、日本の労働者がじつは「休暇は取りたいし、残業で私生活を犠牲にしたくない」という本音が見えてきます。
では、それに対して企業側がどうしているかというと、とんちんかんな評価や指導をしていたりして、じつに悲惨なミスマッチが起こっているのです。
本書には、従業員のやる気をそぐポイントがうまくまとめられており、マネジャーはこれらの要素を避けることで、部下のやる気を維持することが期待できます。
また、部下から自発的なやる気を引き出すための方法に関しても、細かなアドバイスがなされているため、重宝すると思います。
ぜひ、読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「やる気主義」はやる気にとって有害なのである
仕事に対して非常に高い熱意を感じている日本人はわずか九%
日本人は決まった仕事を決まったメンバーでこなすのは得意だが、新しいプロジェクトを新しいメンバーで進めていくとなるとさっぱりだめ
本物のモチベーションは本人の自発性から生まれる
新しいチームワークは、一人ひとりが自分の専門や技術、個性を持ち寄ってチームのために貢献するという考えかた
背景には、残業や休暇取得に対する日本人特有の心理がある。それは遅くまで残業し、また有給休暇もあまり取らないことで、やる気や忠誠心を認めてもらいたいのだ
会社にいる時間と生産性はほとんど関係がない。それどころか、長時間労働で集中力が切れたり仕事に嫌気がさしたりしたら、生産性にむしろマイナスだ
日本経済新聞社が、働く人々に働くうえでどのような制度や環境を重視するかを訊いたところ、「年次有給休暇の取りやすさ」が第一位で、「実労働時間の適正さ」も第三位だった(二〇〇九年九月七日付「日本経済新聞」)。休暇は取りたいし、残業で私生活を犠牲にしたくないというのが社員の正直な気持ちなのである
モチベーションの面でいちばん問題なのは、何時に終わるかめどが立たないことだ。人間は目標やゴールが見えるからこそがんばる
人間関係の濃淡の偏りをなくすには、小さな集団を包摂する大きな集団のウェイトを高くすればよい
怖いのは、プライドを傷つけられた人間は何をするかわからないということだ。ときには会社や社会に対して後ろから弓を引くような行為にも出る
本物のやる気は目的へ向かい、成果をあげるための心的状態だが、見せかけのやる気の先には目的も成果もない
「伝家の宝刀は抜かない」と宣言する
所有感を持った仕事は、大げさに言えば自分の人生の一断面である。それだけに同じことを成し遂げても重みが違う。他人から認められたい、自己実現したい、成長したいといった欲求も、所有感を持ってこそ充足できる
キャリアが会社の外にまで開かれていることは、自発的なモチベーションを引き出すのに重要なポイント
「仕事をしたい」という精神的な飢餓状態にする
人間の認知能力からいって、評価は三段階くらいが適当
部下の仕事を見るときのだいじなポイントは、できるだけ「川下」すなわち成果や目標に近いところで見るということである
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『「見せかけの勤勉」の正体』PHP研究所 太田肇・著
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◆目次◆
第1章 「見せかけ」が通用しなくなった
第2章 何が意欲を失わせているか
第3章 二つの主義をめぐる皮肉な結果
第4章 「やる気のパラドックス」はなぜ起こる?
第5章 「やらされ感」から「所有感」へ
第6章 部下の管理は「腹八分」で
第7章 上手な「片手間」とは? ──スイーパー・リーダーシップ
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