2010年1月12日
『赤めだか』立川談春・著 vol.2003
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【これは名著だ。師弟愛の美しさに涙する一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594056156
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人生で師を持つことは、どうしてこうも人の心を打つのでしょう。
土井にも何人か師匠と呼べる人がいますが、彼らから教わった言葉、厳しくも温かい眼差しは、いまもかけがえのない財産となっています。
本日ご紹介する一冊は、2年前に出て話題となった、立川談春による珠玉のエッセイ。
先日紹介した『5人の落語家が語るザ・前座修業』を読んで、落語の師弟関係に興味を持った土井が、思わず読んでしまった一冊です。
※参考:『5人の落語家が語るザ・前座修業』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/414088312X/
師匠・立川談志とのエピソードがビビッドに綴られており、師匠と弟子の愛に涙する、素晴らしい作品です。
本書をなぜビジネス書として紹介するか、疑問に思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本書ほど、仕事や人生について教えてくれ
る本も珍しい。
人間をどうとらえるか、プロとしての自覚をどう持つべきか、そして人が人に感謝し、生きていくことの素晴らしさ…。
カネのことを一切考えず、ただ憧れの師匠についていった著者の人生に、何か美しいものを感じてしまうのです。
人が求めているのは、豊かな暮らしでしょうか。否。
優しいだけの上司や職場でしょうか。否。
自分を魅了した師匠に、とことんまでついていく。そしてやがては、自分がその思想を継いで、一流になっていく。
落語が伝統的に守ってきた人材育成の流儀に、何か人間として大切なものを感じずにはいられないのです。
下手な組織論や教育論を読む前に、人間とは何か、師弟関係とは何か、本書を読んで考えたい。
知識プロフェッショナルや、クリエイティブ職の方には、とくにおすすめしたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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八十円の菓子ごときで泣きだす息子に親父はあきれ、しまいには怒りだし競艇場の売店であるだけのチョコフレークを買うと、「全部喰え。ひとつでも残したら許さん」と僕に渡した(中略)「菓子を欲しがるのは子供の権利だがな、権利を主張するなら義務がついてまわるんだ。覚えておけ。ひとつも残さず喰え」
高校に入ってから談志の追っかけをはじめる。根多はいつも漫談だったが必ず爆笑をとった。鋭くて、新しくて、危なくて、激しい漫
談を数多く聴くうちに、なんでこの人は世の中から叩かれないのか、不思議に思った
飲んだくれの亭主に嘘をついた女房が許しを乞う告白のシーンで、今もはっきり覚えているセリフがある。「あたしが悪いんじゃないの。大家さんが夢にしちゃえって云ったのよ。大家さんが悪いのよ」人間って極限まで追い詰められたら他人のせいにしてでも云い訳しちゃうもんなんだ。鈴本で聞いた「落語は人間の業の肯定だ」という談志の言葉を思い出した
「坊や、よく覚えとけ、世の中のもの全て人間が作ったもんだ。人間が作った世の中、人間にこわせないものはないんだ」(談志)
立川流は一家ではなく研究所である。研究所であるから飛びきり強い生命体も生まれるが、その陰で驚くほどの犠牲も出る。実力、能力を優先した本当の意味での平等と自由はあるが、残酷なまでの結果も必ず出る。それが談志の選んだ教育方法である
「たとえ前座だってお前はプロだ。観客に勉強させてもらうわけではない。あくまで与える側なんだ。そのくらいのプライドは持て。お辞儀が終わったら、しっかり正面を見据えろ。焦っていきなり話しだすことはない。堂々と見ろ。それができない奴を正面が切れないと云うんだ。正面が切れない芸人にはなるな
「型ができていない者が芝居をすると型なしになる。メチャクチャだ。型がしっかりした奴がオリジナリティを押し出せば型破りになれる。どうだ、わかるか? 難しすぎるか。結論を云えば型をつくるには稽古しかないんだ」(談志)
「負けるケンカはするな」が我が家の家訓で、それは相手から逃げるという意味ではない。勝てる、最低でも五分の戦いができるよう
になるまでは相手を観察し、研究する。そのためには格好つけてる暇はない。至近距離まで飛び込んでみよう
翌日、談春は談志と書斎で二人きりになった。突然談志が、「お前に嫉妬とは何かを教えてやる」と云った。「己が努力、行動を起こさずに対象となる人間の弱味を口であげつらって、自分のレベルまで下げる行為、これを嫉妬と云うんです」
立川談志が談春の目の前で、誉めてやる、認めてやる、とまで云ってくれた。本望だ。辞めなくてよかった、心の底から喜びが湧き上がってきた
「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情は談志の中にはないんです。そんなことはどうでもいい。何故なら……」談志は、ちょっと胸を張って云った。「談志の心の中には、いつも小さんがいるからだ」
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『赤めだか』扶桑社 立川談春・著
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◆目次◆
第一話 「これはやめとくか」と談志は云った。
第二話 新聞配達少年と修業のカタチ
第三話 談志の初稽古、師弟の想い
第四話 青天の霹靂、築地魚河岸修業
第五話 己の嫉妬と一門の元旦
第六話 弟子の食欲とハワイの夜
第七話 高田文夫と雪夜の牛丼
第八話 生涯一度の寿限無と五万円の大勝負
特別篇その一 揺らぐ談志と弟子の罪─立川流後輩達に告ぐ
特別篇その二 誰も知らない小さんと談志─小さん、米朝、ふたりの人間国宝