『絶望名人カフカの人生論』フランツ・カフカ・著、頭木弘樹・編訳 Vol.2721


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【前に進むために】
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以前、部下が仕事で失敗をして落ち込んでいた時、渋谷の名曲喫茶「ライオン」に連れて行ったことがありました。

落ち込んだ時は、無理にハイテンションに持っていくのではなく、暗い曲を聴いてとことん落ち込んだ方がいい。

経験上、その方がかえって元気が出てくるものだからです。

本日ご紹介する一冊は、まさにその「とことん落ち込む」ための本。

結婚したいと強く願いながら、生涯、独身。身体が虚弱で、胃が弱く、不眠症。家族仲まで悪かった小説家カフカの絶望的な名言を集めた一冊です。

章タイトルからして、「将来に絶望した!」「世の中に絶望した!」「学校に絶望した!」「仕事に絶望した!」「結婚に絶望した!」など、ネガティブなものが並んでいますが、内容はさらにネガティブ。

将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。
いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
──フェリーツェへの手紙──

バルザックの散歩用ステッキの握りには、「私はあらゆる困難を打ち砕く」と刻まれていたという。ぼくの杖には、「あらゆる困難がぼくを打ち砕く」とある。共通しているのは、「あらゆる」というところだけだ。
──断片──

後ろ向きかつ本質を突いた名言が、読者に悟りを促し、かえって元気になるという副作用をもたらしてくれます。

孤独の時間に、徹底的に落ち込むこと。

これは精神を整えるために有効な儀式ですが、本書はまさにそれにピッタリの一冊。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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将来にむかって歩くことは、ぼくにはできません。将来にむかってつまずくこと、これはできます。いちばんうまくできるのは、倒れたままでいることです。
──フェリーツェへの手紙──

バルザックの散歩用ステッキの握りには、「私はあらゆる困難を打ち砕く」と刻まれていたという。
ぼくの杖には、「あらゆる困難がぼくを打ち砕く」とある。共通しているのは、「あらゆる」というところだけだ。
──断片──

目標があるのに、そこにいたる道はない。道を進んでいると思っているが、実際には尻込みをしているのだ。
──罪、苦悩、希望、真実の道についての考察──

人間の根本的な弱さは、勝利を手にできないことではなく、せっかく手にした勝利を、活用しきれないことである。
──断片──

生きることは、たえずわき道にそれていくことだ。本当はどこに向かうはずだったのか、振り返ってみることさえ許されない。
──断片──

いっさいの責任を負わされると、おまえはすかさずその機会を利用して、責任の重さのせいでつぶれたということにしてやろうと思うかもしれない。しかし、いざそうしてみると、気づくだろう。おまえには何ひとつ負わされておらず、おまえ自身がその責任そのものにほかならぬことに。
──八つ折り判ノート──

誰でも、ありのままの相手を愛することはできる。
しかし、ありのままの相手といっしょに生活することはできない。
──日記──

真実の道を進むためには、一本の綱の上を越えていかなければならない。その綱は、べつに高いところに張られているわけではない。それどころか、地面からほんの少しの高さに張られている。それは歩いていかせるためよりも、むしろ、つまずかせるためのものであるようだ。
──罪、苦悩、希望、真実の道についての考察──

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『絶望名人カフカの人生論』フランツ・カフカ・著、頭木弘樹・編訳・著 飛鳥新社
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◆目次◆

第一章 将来に絶望した!
第二章 世の中に絶望した!
第三章 自分の身体に絶望した!
第四章 自分の心の弱さに絶望した!
第五章 親に絶望した!
第六章 学校に絶望した!
第七章 仕事に絶望した!
第八章 夢に絶望した!
第九章 結婚に絶望した!
第十章 子供を作ることに絶望した!
第十一章 人づきあいに絶望した!
第十二章 真実に絶望した!
第十三章 食べることに絶望した!
第十四章 不眠に絶望した!
第十五章 病気に絶望……していない!

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