『経営思考の「補助線」』御立尚資・著 vol.1806


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【経営思考の「補助線」】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314623

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本日の一冊は、ボストン・コンサルティング・グループ日本代表、御立尚資さんによるビジネス・エッセイ。

もともとは日経ビジネスオンラインに連載していたものを加筆・修正したもので、体系的な知識ではありませんが、その分、具体例が豊富で、ビジネスのヒントがいくつも詰まっています。

低所得者向けビジネスの参考になる、インド・ムンバイの「ダバワラ」、中国市場で80%のシェアを誇る世界最大のベビーバギーメーカー「グッドベビー」、サービスのすべてを予約制にし、ムダを徹底排除したジェットスター航空…。

日本ではまだあまりメジャーになっていない、さまざまな企業のケースは、経営者、マーケターならぜひ押さえておきたいところです。

そして何よりも重要なのは、著者が今後のビジネスに起きる諸問題を予見し、考察を加えているところ。

富裕層、中流層よりも下にあるマーケットの話、病気・疾患がビジネスに与える影響、内部化/外部化の問題、コンテンツビジネスの未来、システムの規模拡大に伴う問題点など、じつに知的なビジネスの視点が散りばめられており、今後の戦略立案に大きな影響を与えそうな話です。

著者いわく、「頭がこんがらがってしまうような幾何の問題でも、先生や、数学が得意な同級生の手にかかると、『補助線』一本で、鮮やかに答えが目に見えるようになる」。

そういう意味で本書は、まさに今後のビジネスを可視化してくれる「補助線」であり、すべての経営者におすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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固定電話網が発達していなかった国々では、携帯電話網を広げる方が容易であり、発展途上国でのケータイ電話の普及は目を見張るものがある。これを使って、これまで銀行のサービスを受けることが不可能だった層に、一定の金融サービスが提供できるようになった

インドのムンバイには、ダバワラ(Dabbawala)という百二十五年の歴史を持つ「非常に安価な手間賃で、家庭で作ったお弁当をオフィスに届ける」サービスがある。五千人の男たちが、一日に二十万件のお弁当を集荷し、主として自転車や徒歩でオフィスまで届けるネットワークなのだが、大きな配送遅れや誤配は、六百万回に一回しかない

ネットならではの「膨大なデータの効率的な収集・活用」の余地がないか

さらに重要なのは、購買データではなく、「買わなかった」データだ。ネット販売が伸びてきたことで、「検索したけれど買わなかった」「商品を何度も見たけれど買わなかった」「買い物カゴにいったん入れたけれど買わなかった」といった「興味は持ったが買わなかった」という顧客データが簡単に取れるようになった

消費者は、自分が興味があると宣言したクラブにかかわる情報であれば、単なるマスジャンクメールと違い、大抵はその中身をチェックしてくれる

ジェットスターは、ネット(またはコールセンター)によるダイレクト予約が原則である。予約する際に、当然ユーザー自身が自分の情報を入力するのだが、その際、単純な座席予約に加えて、有料で必要なサービスを選択することが求められる。食事は必要かどうか、飲み物はどうか、毛布は、イヤホンその他のエンターテインメントは……、といった具合だ。この結果、例えば機内食や飲み物のムダ
が徹底的に削減される

「小をもって大を推し量ってはいけない。大抵の考案は寸法が小さいときにはうまく成功しても、大きくすると失敗するものだから」(ガリレオが述べたとされる言葉)

規模が拡大すると、それまでは問題とされていなかったさまざまな『力』、特に構造物そのものの自重の作用で、システム全体が崩壊するおそれがある

「価値提供」と「オペレーション」の仕組みの構成要素を(通常は、複数)変更し、自社の競争優位性を大きく強化することを、ビジネスモデル・イノベーションと呼ぶ

米国では、ZIP CARという会社が店舗を持たないレンタカー会社としてカーシェアリング的なビジネスを急速に伸ばしている。彼らの「必要な際に、必要な時間だけ、安価に車を利用する」というビジネスモデルは、この改善余地に目をつけたものだろう

これからの経営のものさしは、「お金」以外の希少資源をどう効果的・効率的に活用しているかを、はっきりと指し示すものである必
要がある

リーダーの要件には、「コンテクスチュアル(contextual)な部分」と「普遍的な部分」がある

「ブルーノートのマジックは、こうして描かれた青写真にスタジオにおける予期せぬハプニングで彩りをほどこして生み出される。『仕組まれたもの』と『仕組まれざるもの』、それが高度なレヴェルにおいて融合されたなかにブルーノートの『永遠』がある」(『超ブルーノート入門』より)

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『経営思考の「補助線」』日本経済新聞出版社 御立尚資・著
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◆目次◆
1.潮の変わり目
1章 波と潮流
2章 外に目を転じれば……
3章 情報の経済性
4章 経済ナナメ読み
2.潮に乗り、風を背に受けて
1章 アダプティブ・アドバンテージ
2章 ビジネスモデル・イノベーションを考える
3章 日本企業の新たな強みを求めて
4章 変化できる「力」
5章 「変わる社会」あるいは「社会を変える」
3.潮に棹さす船頭さん
1章 コンテクスチュアル・リーダーシップ
2章 歴史に学ぶリーダーシップ
3章 新しい組織とリーダー像

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