『相場の道』林輝太郎・著 Vol.2802


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【相場師・林輝太郎の遺作】
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本日の一冊は、相場師として名をはせながら、先日、2月28日に亡くなった林輝太郎氏が、歴史上の大相場師、松辰の経営哲学をまとめ上げたもの。

松辰の遺稿である「相場の道」に加筆したもので、今では入手困難となっている相場関連書のエッセンスがぎっしり詰まった内容となっています。

興味深かったのは、伝説の相場師松辰が、売買の判断基準として、「公益」を用いたという点。

つまり、

1.国家経済上、これより安ければ害になる場合、その安値を買うことは相場の下げを食い止めることになり公私ともに結構といえる
2.高いときに売るのは、その高値が社会経済上の害をなす状況で売るのだから、その上げを食い止めることになり良いことといえる

という考えが、売買のベースにあるというのです。

確かにわれわれは、臆病により、下げ相場で買えなかったり、強欲により、高値で売れなかったりするのですが、それでは、結果として良い商いはできないわけです。

また、「多量の思惑を張ると利益は少なくて損が多く、さらに流通が混乱する」など、出版社の経営者もやってしまいがちな失敗も書かれており、大いに反省させられます。

上げ相場、下げ相場の動向を見極める方法なども書かれており、心構えながら、じつに実践的な内容です。

昔の本がベースだけに、やや古くさい感じがするのが難点ですが、ちょっとでも投資をかじったことのある方なら、楽しめる内容だと思います。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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普通の商売や事業で利益を得るには、1.安い時に仕入れて高い時に売る、2.安い土地で仕入れて高い土地で売る、3.原材料を加工して商品の形を変えて売る、これ以外に手はないはず

どんな商売でも実際は相場を張っていることになる。いかなる事業の経営でも、相場の道の心だけは絶対に必要である。我々は恐慌の荒波にさらされてつぶれる銀行や大社を見てきたが、全く相場の道の心得がないからこそ倒れるのである

「天の心にかなおうとするならば、天は何を望んでいるのか、何を嫌っているのかを考えなければなりません。私が考えるに、天は仁を好み、不仁を嫌い、信を好み、不信を嫌います。ですから人は仁と信があれば、天の心にかなうことができるのです」
(室究巣先生の開運論)

売買が公利に反すると思うときは商いを休むか、または損を覚悟で公益を優先する心掛けが必要である

国家経済上、これより安ければ害になる場合、その安値を買うことは相場の下げを食い止めることになり公私ともに結構といえる

高いときに売るのは、その高値が社会経済上の害をなす状況で売るのだから、その上げを食い止めることになり良いことといえる

見込み違いは浅はかな考え方と強欲による

多量の思惑を張ると利益は少なくて損が多く、さらに流通が混乱する

「銀行が金融緩和を目の前にして投資先を見つけられずに焦り、貸出を喜び、一流手形、一流担保貸付に懸命になる。そして、後日その反動で貸出を渋るときがきて諸株が暴落をみせるのは明らかであるから、長い期間の銀行借入は慎まなければならない」

◆『八木虎の巻』の陰陽の理 ※一部紹介
第一 陰陽の理を考える
第二 相場は年に四、五回くらいしか手一杯張るところが無い
第四 迷うときは出ないこと
第五 手一杯の商いは、まず玉数を少なく始める
第七 豊年のときは凶作を考え、凶作のときは豊年を考える

下げの場合は、採算点という限度がある。採算点を割ってくれば、生産者は生産を止めてしまう

大収益を計画するときは小利益を争うべからず

漢字の意味を調べると「義」とは、周辺の諸事情を考え、なすべきことをなし、なすべからざることをなさず、という意味である

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『相場の道』林輝太郎・著 同友館
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◆目次◆

序章 松辰遺稿「相場の道」現代語訳注を終わって
第一編 開運論
第二編 五常の説
第三編 特殊商い論
第四編 結論

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