2007年5月23日
『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
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本日の一冊は、環境問題のタブーに切り込んだ、今注目の問題作。
著者の武田邦彦さんは、名古屋大学大学院教授を経て、現在、中部大学総合工学研究所教授。
内閣府原子力安全委員会の専門委員や、文部科学省科学技術審議会の専門委員も務めた論客が書いたということで、大きな話題となっています。
問題として挙げられているのは、ペットボトルのリサイクルと、ダイオキシン、地球温暖化とそれにまつわる一連の報道。
著者によると、ペットボトルのリサイクルは、ごみの量を激増させ、しかも再利用はほとんどされていない。さらにひどいことに、利権団体を潤わせるのに使われている、というのです。
ほかにも、ダイオキシンをめぐる誤解や、「北極の氷が溶けて海水面が上がる」という見解の問題点など、環境問題をめぐるさまざまな論点に逆の視点を提供しており、じつに刺激的な内容です。
一部、疑わしいだけで問題視してしまっている点があることや、書き方に緻密さが欠けている点があるのが残念ですが、一読に値する内容です。
利害関係を把握するのは、物事の真偽を見極める上で、基本中の基本。自らの質問力を磨くためにも、ぜひ読んでみたい一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ペットボトルのリサイクルは、(1)資源を節約し、(2)ごみを減らし、
(3)資源をもう一度使う、と喧伝されてきたが、事実は、(1)資源を
7倍使い、(2)ごみが7倍増え、(3)資源はほとんど再利用されてい
ない、というのが実態
リサイクルは環境のための行動ではなく、むしろ利権団体にお金を
上げる行為
世界で日本だけが「焼却してもリサイクル」としているから日本の
リサイクル率が高く見えるだけなのである。分別回収したペットボ
トルやプラスチック・トレーは焼却してもリサイクルに分類される
焼却をリサイクルに分類したのはお役所と容器包装リサイクル協会
我々がせっせと、やれ「燃えるごみ」だの「燃えないごみ」だのと
言って一生懸命分別しているが、回収される量は10分の1、再利
用される量は実に100分の1程度に過ぎないのが実態
仮にペットボトルのリサイクルが成功して、しかも100%回収で
きたとしても石油の消費量が1000分の1減るだけ(中略)自動
車の量をわずか1000分の1でも減らせば、日本国民はペットボ
トルのリサイクルを忘れても良い
ダイオキシンには毒性があるが、その影響はそれほど一定して決ま
っているわけではないことがわかった
環境に興味のある人なら、「魚の焦げは発ガン性物質」「甘味料の
チクロも発ガン性あり」と思っている人がいるはずだ。両方とも新
聞が大々的に報道したからである。しかし、両方とも今では発ガン
性はないとされている
マスコミには守らなければならない大原則がある。もちろんその一
つは「事実を報道すること」だが、もう一つは「異なる見解がある
時には片方だけを報道してはいけない」ということだ
記事には「北極の氷が溶けて海水面が上がる」と書いてあるが、北
極の氷が溶けても海水面は絶対に上がらない。これは気温が高くな
るとか低くなるという問題ではなく、北極のように「水に浮いてい
る氷」が溶けても水面の高さは変わらないという「アルキメデスの
原理(浮力の原理)」があるからである
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『環境問題はなぜウソがまかり通るのか』
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┃▼目次▼
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┃ 第1章 資源7倍、ごみ7倍になるリサイクル
┃ 第2章 ダイオキシンはいかにして猛毒に仕立て上げられたか
┃ 第3章 地球温暖化で頻発する故意の誤報
┃ 第4章 チリ紙交換屋は街からなぜいなくなったのか
┃ 第5章 環境問題を弄ぶ人たち
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