『狼と香辛料』支倉凍砂・著 vol.2029


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【土井が初めて読んだライトノベル】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4840233020

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本日の一冊は、以前から社員や山田真哉さんなど、各方面から薦められながら読めなかった、話題のライトノベル『狼と香辛料』。

「第十二回電撃小説大賞銀賞」と言われても、ビジネス一筋の土井には響くはずもなく、これまで放置してきたのですが、「これって商売の話なんですよ」という周囲の言葉に押され、ついに読んでみることにしました。

で、感想なのですが、あまりの出来に、驚いた、というのが正直なところです。

狼の耳としっぽを持った美しい娘がどうこういうのには、まったくといっていいほど興味がありませんが、行商人ロレンスと他の商人たちとの丁々発止のやり取り、随所に散りばめられた商人の知恵は、小説とは思えないほどの教訓に満ちあふれています。

本書に書かれているのは、いわゆるビジネスノウハウものでは決して手に入らない、商人の知恵と処世術。

起業して成功する人が必ず持っている、いわゆる「ビジネスセンス」が学べる、じつに希少な読み物です。

萌え系のイラストに、思わずひいてしまう人もいるかと思いますが、食わず嫌いは本当にいけないな、と思わされた一冊です。

先入観を捨てて、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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貨幣は価値の変動が大きいので行商人は儲けを物に変えて持ち歩く。銀の短剣はそんなもののうちの一つで、銀はあらゆる化け物に打ち勝つ神の金属だ

作物はその土地にあるからこそよく実る、というものが多い

商人なら、自分の顔がどんな印象を相手にもたらすか絶対に把握しているはず

駆け出しの行商人は、自分が得るばかりで相手に渡すものが何もない

嘘をつく時、大事なのはその嘘の内容ではなく、なぜ嘘をつくかというその状況じゃ

真であればそのまま儲けに乗ればよく、嘘であれば誰かが何かを企んでいるということだから、そういう時は、注意深く裏を突けば大抵が儲け話になる

契約を交わした商人達で金を出し合って、船舶を借りるんだ。出した金額で積める荷物の量が決まるんだが、船は陸路と違って難破すれば荷物どころか命も危ない。ちょっと強く風が吹けばもうそれだけで危険だしな。しかし、儲かる

よいか、と聞かれる時、商人なら簡単に返事はしない。きちんと相手の言うこと、その裏、影響までをも把握してから返事をすることが常識だ。口約束も立派な契約だ。どんな目にあっても、契約は契約なのだ

貨幣相場の変動について最も鋭敏な耳を持っているのは、両替商と国境を越える商売を行う者達だからだ

見え透いたやり取りだが、そんな欺瞞の中にも真実があるから商談は面白い

だまされた時に怒っているようじゃ話になりんせん。そんな方法もあるのかと感心してこそ一人前じゃ

国と国の戦争は何も兵士同士の戦いに限らない。他国の貨幣に自国の市場を席巻された時、その国は戦争に負けたのと変わらない

貨幣というのがそんな信用の上に成り立っているものだから、ある貨幣に人気が集まれば額面以上の価値を持つことが多々ある

自分は絶対に損をしない構図を描き、相手にだけ損か得かの勝負をさせるのも立派な詐欺じゃろ

ある特定の銀貨を目立たぬように集めるためには複数の商人達の欲を突いて彼らに集めさせるのが一番よい。一儲けを企んで銀貨を買う商人達は、他の連中に儲けを渡すまいとして総じて慎重に、また無口になるからだ

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『狼と香辛料』メディアワークス 支倉凍砂・著
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◆目次◆
序幕
第一幕
第二幕
第三幕
第四幕
第五幕
第六幕
終幕

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