『物語で読み解くファイナンス入門』


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本日の一冊は、早稲田大学大学院ファイナンス研究科の森平爽一郎教授が、ユニークなエピソードを駆使して、ファイナンスの基礎を説いた注目の一冊です。

金融のお話といっても、対象は株式から金(きん)、ワインにまで及び、身近な事例から、時間価値やリスクとリターン、分散投資など、ファイナンスの考え方を学べるようになっています。

もし「ぜったい儲かる話」があったら、いくらぐらい儲かるのか、なぜ成長企業は配当をしないのか、株式の分割は損なのか得なのかなど、じつにさまざまなトピックを、わかりやすく説いています。

とはいえ、ファイナンスをまったく学んだことのない人が本書を読んだら、理解するのはちょっと難しいかもしれません。

ある程度基礎を学んだ人や、投資の経験がある人が読めば、興味をかきたてられ、投資の本質を理解できる、そんな本だと思います。

ちなみに本書の著者は、土井の大学時代のファイナンスの担当教授。
できの悪い生徒でもわかるよう、とても懇切丁寧な授業をしていただいた記憶があります。

ただ、ひとつだけ文句をつけるとしたら、ファイナンスを学ぶ前に、本書で紹介したような話をもっとしていただきたかった。

そうすればもっとファイナンスが好きになったかもしれません。それぐらい、本書は興味をそそられる、いい本だと思います。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ポートフォリオ理論では、組み合わせるべきものは、株式や国債や
預金などの債券といった証券会社、銀行、郵便局で売っているもの
を考えます。しかし最近では、組み合わせの対象になるものはより
幅広くなっています。骨董品、切手、陶磁器、絵画、宝石、コイン、
ワイン、あるいはコミック誌やブリキの玩具などにも投資できるのです

重要な情報は公開されなければ価格に影響を与えない。しかし、い
ったん情報が公開されると、その効果は一瞬のうちに消滅してしまう

もし「ぜったい儲かる話」があったら、いったいどのくらい儲かる
でしょうか?(中略)ファイナンス理論では、その答えは簡単です。
つまりそれは、リスクのない資産、たとえば国債の利回りに等しい

配当を受け取った投資家が、その金を銀行に預けたり他の企業に投
資しても、その企業に投資したと同じだけの成果は得られないでし
ょう。だから、成長企業は配当を払わないのです。配当として投資
家に戻せるお金があるのなら、それを企業内の成長機会にまわして
(投資をして)さらなる利益を上げ、現在ではなく将来により多く
の配当を払えばいいのです

ファイナンス理論から考えると、株主優待、つまり現物配当は、企
業にとっても株主にとっても合理的な節税対策

結局のところ、楽してお金持ちにはなれません。日本におけるその
大きな理由は、インフレと相続税です

半年に一回の利払いを三カ月ごとの支払いにすると、一年あたりの
利子の支払額は、実際は多くなります。これが複利効果です

銀行の窓口に多くの人が押しかけたようなときは、金利の最高値や
最低値ではないにせよ、その後の比較的長い期間をみると、金利の
反転時期

合理的な金融資産の設計や投資は生命表ができて初めて可能になる

ポートフォリオ理論の原則にもとづけば、むしろ広義での競争企業・
競争産業に投資すべき

日本における金の需要は税金対策です。ひとつは脱税、もうひとつ
は合法的な節税対策です

統計によると、ワインは造られて五年でその五〇%、一〇年で二〇
%、二五年で五%しか残っていないといわれています。このため、
稀少性が増し、投資の価値が増えていくという、おもしろい性質を
持っているのです

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『物語で読み解くファイナンス入門』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532352495
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┃▼目次▼
┃ 
┃ 第1章 ポートフォリオ理論とは
┃ 第2章 時は金なり
┃ 第3章 リスクとリターンの話
┃ 第4章 証券化
┃ 
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