2007年3月19日
『持丸長者 幕末・維新篇』
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本日の一冊は、歴史モノ、陰謀モノで定評のある広瀬隆さんが、日本を牛耳った豪商・財閥・資本家を追った一冊。
この『持丸長者』は、全部で三部作となる予定らしく、今回は「幕末・維新篇」と銘打たれています。
一見、漢字が多く、とっつきにくそうな印象ですが、読み始めてみるとおもしろくて止まりません。
幕末・維新の頃の大富豪たちがいかにして財を成したのか、なぜ明治31年に新潟県が納税額トップだったのか、元禄文化を支えた金はどこから出てきたのかなど、言われてみれば謎だらけの日本史が、
この一冊でスッキリ理解できます。
戦後のモノづくり、今のIT、経済の主役はいつの世も移り変わっていくものですが、そのパワーシフトがどうやってなされるのか、また反対に、いつの世も変わらない富を築くルールとは何なのか、じっくり読めば見えてくる気がします。
時代の変わり目に一気に儲ける方法を模索したい、という方にとっては、ぜひ読むべき一冊です。
バーンスタインの『ゴールド』と併せて読めば、さらに深い示唆が得られるのではないでしょうか。
※参考:『ゴールド』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532192692/
社会的な視点から見ても、なぜ現在の社会がこんなにおかしくなってしまったのか、そのヒントも隠されています。
経営者や投資家はもちろん、歴史に生きるヒントを見い出したいという方にもおすすめの一冊です。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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特異な存在は、「本間様には及びもせぬが、せめてなりたや殿様に」
と謳われた日本一の大地主「山形県酒田の本間様」である(中略)
本間家がすぐれていたことは、これほどの大地主でありながら、地
元の庄内地方で打ち毀しにあっていない史実が何よりの証明であろ
う(中略)江戸時代最大の天明の大飢饉では、本間光丘の備蓄米が
二万四〇〇〇俵も放出され、庄内では一人の餓死者も出さず、本間
家は農民から敬愛され、天保の飢饉でも領民を救い続けた
ベストテンに新潟県、秋田県、富山県、山形県の北陸・東北地方が
入っていることは、現在の経済状況から見れば目を惹く現象である
(中略)明治一八年(一八八五年)まで日本第一位の人口、一六四
万人を誇り、翌明治一九年末に東京府に抜かれたのが、この新潟県である
江戸は金貨、大坂は銀貨と違いがあることは、両替商にとって、自
分たちがその交換取引きに介在し、必要とされるという意味で願っ
てもない慣習でもあった
枡座とは、あらゆる商品を枡で測るこの時代に、枡の専売権を握る
元締めであるから、物品の取引きまで支配した
鴻池善右衛門と違って、三井家は危険性の高い大名貸しには力を入
れず、町人相手の商人貸に重点を置き、江戸本両替の代表者となった
参勤交代によって大名・武士が「旅宿」の状態に置かれているため、
何をするにも金を使わなければならない貨幣経済に依存するように
なっている。武士が困窮するのは、自分の知行所に住んでいないか
らである
長崎、横浜、箱館、神戸、新潟の五港を開こうとした時、貿易で最
も必要とされたのは、衣類をつくる織物のための紡績工場であった。
国防と海運に続く日本の産業の柱は、紡績業にあった
彼ら輸出商は、世界的な生糸相場の激動によって絶えず大損害をこ
うむる危険と隣合せにあったため、こうして自ら銀行株を大量に保
有する銀行を設立し、一方で、その銀行資金をこれら生糸貿易に循
環する巧みな仕組みをつくり出した
公有財産が私有財産に化けるまでには、きちんと段階を経て緻密に、
つまり複雑に、作業が積み上げられるものである
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『持丸長者 幕末・維新篇』
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■目次■
序章 黄金の国ジパング
第一章 信玄と家康の遺産
第二章 ペリー来航の衝撃
第三章 財閥続々と台頭す
第四章 アジアへ進出せよ
あとがき
系図人名INDEX
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