『戦略人事のビジョン』八木洋介、金井壽宏・著 Vol.2876


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【「人事」を見直す】
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本日の一冊は、かつて日本GEでHRリーダーを務め、現在、住生活(LIXIL)グループ執行役副社長を務める八木洋介氏と、神戸大学大学院経営学研究科教授の金井壽宏氏が、「戦略人事」について語った一冊。

以前から、ブラックボックス化する日本の人事について、どうも胡散臭いと思っていましたが、本書を読んで、その理由がよくわかりました。

すべての組織がそうではないと思いますが、多くの日本の人事は、前例主義で制度を継続しており、これから勝つための戦略をもって人事を行っていない。

これでは、日本企業が勝てる組織になれないのも、合点が行きます。

本書の著者、八木洋介さんは、かつてNKKでも人事をやっていた方で、それこそGE式の人事と、日本の伝統的人事を客観的に比較できる立場にあります。

その視点から見ると、通勤手当も、家族手当も、寒冷地手当も見直す必要がある。

いまだ続く職能資格制度にいたっては、「人事の怠慢」です。

では、一体どうすれば勝つための「戦略人事」を行うことができるのか。

著者は、GEの人事制度、リーダー育成のしくみを紹介することで、それに一応のヒントを示しています。

八木氏の経験と、金井氏の理論がバランスよく配されており、これからの人事を考える上で、ヒントになる一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ヒューレット・パッカード(HP)の創業者の一人、デイブ・パッカードは「わが社に人事部はいらない。人事はすべての人の責任であるべきだ」という名言を残した

もう一人の創業者、ビル・ヒューレットは「人事部門の仕事は経営の質を高めることだ」と注文をつけた

結論を先に言ってしまえば、人事部門がオープンでないのは、社員情報をたくさん握っているからでも、何かをたくらんでいるからでもありません。一言で言えば、人事施策に戦略性が欠けているからなのです

マネジメントには「戦略性のマネジメント」と「継続性のマネジメント」がある

多くの日本企業ではいまだに職能資格制度を続けています。私はこの制度の導入は「人事の怠慢」だったと見ています

人間は、「ちょっとだけ不公平」な環境に身を置いた方がやる気が出るものです。「ちょっとだけ不公平」を社内にいかにうまくつくり出していくかが、人事の腕の見せ所

私には、通勤手当は社員が会社から遠く離れた場所に住むことへのインセンティブになっているように感じられます。会社が社員の遠距離通勤を奨励しているとしか思えないのです

GEはまず「勝ちの定義」がはっきりしている会社です(中略)その定義は何かというと、イメルトがCEOに就任して以降のGEでは、「グロース(成長)とリターン(利益)」です

GEにおける人事評価のやり方は非常にシンプルです。ナインブロック(9-Block)と呼ばれるマトリクスを用いて、役員や社員のパフォーマンスの度合いと、GEグロースバリューの発揮度を評価しています

目標は、報酬と結びついている場合は、成功確率七~八割の困難度のとき、報酬と結びつかず、内発的動機に影響を与えようとする場合は、成功確率五割ぐらいの困難度のときに、本人のモティベーションを最も高める

「J-LEAP」では、毎年、開講にあたって受講者に「社長就任演説」を課しています

かつてウェルチは、リーダーに求められるものを「E」から始まる四つの単語で表した。自らが活力に満ちあふれていること(Energy)、目標に向かう周りの人々を元気づけること(Energize)、タフな問題に対しても決断ができること(Edge)、言ったことをとことんまで実行していくこと(Execute)

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『戦略人事のビジョン』八木洋介、金井壽宏・著 光文社
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◆目次◆

まえがき 金井壽宏
第一章 人事は何のためにあるのか
第二章 組織の力を最大限に高める
第三章 改革の旗を振る
第四章 リーダーを育てる
第五章 「強くて、よい会社」を人事がつくる
あとがき 八木洋介

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