『大前研一戦略論』


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【戦略家の視点】
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本日の一冊は、かつてマッキンゼーの日本支社長を務めた大前研一さんが、1982年から95年にかけて「バーバード・ビジネスレビュー」「ウォールストリート・ジャーナル」に寄稿した論文を初翻訳したもの。

80年代、90年代の論文だけに、今となっては主張・事例ともに古くなったものも散見されますが、そのベースとなる考え方は、今でも参考になります。

氏いわく、「可能な限り競争を回避する戦略こそ望ましい。二五〇
〇年前の『孫子』に書かれているように、戦争における最善策は
『戦わずして勝つ』ことだ」。

では、「戦わずして勝つ」ためにはどうすればいいのか。そのため
の方策として著者は、「顧客価値を創出するために、戦略を考え抜
くこと」を説いています。

もちろん、顧客の視点で考えるだけでは戦略として不十分。経営者
たるもの、自社の経営資源をどう活用するか、競合とどう戦うかま
で考えていなければ失格です。

本書では、その辺も踏まえ、この3つの要素(戦略の3C)をどう
考えればいいのか、具体的なヒントを提示しています。

なかでも、今日その重要性が高まっているアライアンスについては、
「ICLの掟」として詳しい記述があり、参考になります。

自社のさらなる発展のために戦略を再構築したいという経営者、こ
れから他社とコラボレーションしたいと考えている経営者は、ぜひ
読んでみてください。

きっと重要な教訓が得られるはずです。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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稀少な経営資源を分散させすぎないためには、集中的に投資する事
業ドメインを定め、手を広げすぎないことが必須要件となる

よく考えてみれば、洗剤そのものを買いたいと思っている人はいな
い。買いたいのは、衣服の汚れを取り除く効用である

生活の質と女性の独立意識が高まるにつれて、働く主婦の数は確実
に増加している。食品メーカーにとって、これは家庭で調理済み食
品や食材セットなどが好まれることを意味する

かなり高い水準の市場シェアや利益率の達成には、むしろ企業の持
つブランドや製品イメージを改善し、流通システムを拡充するとい
う戦略のほうが成功する可能性は高い

消費者に最終製品を売るのに何が必要かを理解していない部品メー
カーは、かつては自社の顧客であり、すでに万全の地位を築いてい
るセット・メーカーを敵に回してしまう。その結果、自力で最終製
品メーカーになろうという野望を達成するどころか、コア事業を危
険にさらすことになる

◆優れた事業戦略の3つの特徴
1.市場が明確に定義されている
2.企業の得意分野と市場のニーズが一致している
3.カギとなる成功要素において、競合に比べ優れた実績を発揮している

ほとんどの市場には価格弾力性が存在するため、顧客グループの規
模そのものが、価格設定次第で変動することになる

私の経験によれば、基礎となるマーケティングの副次的機能を一つ
あるいは複数組み合わせて共有資源とするほうが有効な場合が多い。
同じことが、サービス、ファイナンス、販売促進、広告宣伝、物流
についても言える。唯一の例外が、製品企画である

製品が競争にさらされ、事実上のコモディティになり、どの参入企
業にもコスト削減の機会が同等にある状況では、優れた販売ネット
ワークこそが生き残りのカギとなる

もしあなたがアメリカで製薬会社を経営していて、日本で売れそう
なよい薬を持っているのに日本に販売チャネルがない場合、やはり
よい薬を持っているのにあなたの国に販売チャネルがないという日
本の製薬会社を探せばよい。そうすれば、あなたの会社の固定費で
ある販売チャネルを通じて、二つのよい薬を売ることができて二倍
の利益を上げられる

支配権を持つことは、必ずしもよりよい経営に結びつくとは限らない

何を評価し、どのように測定するかは、私たちの考え方や行動に強
力な影響を与える

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『大前研一戦略論』
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┃▼目次▼
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┃ 第1章 競争は戦略の目的ではない◎1988年
┃ 第2章 戦略計画と先見性◎1982年
┃ 第3章 事業戦略の本質◎1983年
┃ 第4章 ボーダレス・ワールドの経営◎1989年
┃ 第5章 トライアド戦略◎1985年
┃ 第6章 グローバル・アライアンス戦略◎1989年
┃ 第7章 会社第一主義と「ドゥ・モア・ベター」◎1989年
┃ 第8章 事業文化ユニットの構築◎1989年
┃ 第9章 リージョン・ステート・システムの経済学◎1995年
┃ 第10章 日本からの手紙◎1995年
┃ 第11章 ウォールストリート・ジャーナル[ザ・ベストコラム]
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