『商機を見いだす「鬼」になれ』郭海東、張文彦・著 Vol.2892


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【驚異の温州商人モデルとは?】
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北京に行くため、羽田空港内の書店に寄ったら、タイムリーなことに中国商人に関する本が出ていました。

即買いしたのですが、これが何とも面白い。

「東洋のユダヤ人」と呼ばれる温州商人の商売哲学を書いたもので、本書によると、「今日、中国人の目には、温州人こそがもっともグローバルな視野と卓越したビジネスセンスをもち、それでいてもっとも身近な存在として映っている」そうです。

書いたのは、ベストセラー作家の郭海東氏とフリーライターの張文彦氏。

本書には、100円ライターやボタン、バッジ、タバコのセロファン包装の封切りなど、小さな商売から始め、大事業家になった温州商人の話がたくさん出てきます。

日本人なら、「何だ、そんな小さな商売」と小馬鹿にしそうな話ですが、じつはここからが、温州モデルの真骨頂。

小さなところから始め、驚異的な分業体制と協力で信じられない低コストを実現する。しかも、狙うのは「脇役」のマーケット…。

ライバルを怖れず、競争し合うことでマーケットを創り、地域全体で一企業では太刀打ちできないほどの生産性を実現する…。

こうして温州商人は数多くの実業家を生み出し、中国市場を席巻するに至ったのです。

最近、日本でもスモールビジネス向けの本やノマド向けの本が多く出されていますが、同じ小さなビジネスでも、温州商人のそれは、ビジョンと戦略が違います。

温州商人の、目からうろこのビジネス戦略を学びたい方は、ぜひチェックしてみてください。

これは、刺激的な一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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強烈なシーンだった。中国中央テレビの『動物世界(アニマル・ワールド)』という番組でのこと。体長50センチほどの小型犬が、たった3匹で大型のシマウマを襲い、最後にはその肉を喰らっていた(中略)この3匹が美味いディナーにありつけた理由はふたつある。明確な分業と、緊密な協力だ。それぞれがやるべきことを明確にし、自分の仕事をこなすこと。それによって分業のメリットが最大限に活かされたのである

ひとつのライターに5~8カ所使われる密封用シールは、安全性の観点から高い品質が求められる要となる部品だ。輸入品に頼っていたころは、そのコストは1カ所あたり0・2元だったが、その後、温州人によって国産化されるようになると0・05元になり、さらに分業と大量生産が可能になると、わずか0・005元にまで下がった

綿密な分業と協力、そして特定の業界に徹底的に集中することにより、同業者の「群れ」を巨大な生産工場へと発展させる。すると、大規模化によりコストは下げられ、製品の品質も向上していく

その人間に信用があって、その事業に投資する価値があると判断されれば、温州では必ず出資者が見つかる。これこそ、温州にある多くの民間企業で資産に占める金融機関からの借金の比率が低い理由のひとつなのだ

彼らはビジネスをする以上競争は避けて通れないが、あくまでも「質」で勝つべきだと考える

芝居に主役は一人しかいないが、脇役は大勢いる

10元稼げる商売でも6元稼げればそれで十分で、自分ばかり儲けてはならないと考える。そして、残りの4元をあえて他人に稼がせるのである

温州人は、金儲けには終わりがないと考えている。彼らは池を干からびさせてまで魚を獲るようなことはしない

最初に口をつけるスープこそ美味い

将軍になりたいと思わない兵士は良い兵士ではない

「人類の徳目の中でもっとも尊いものは勇気だ。人は勇気があって初めて助け合いや慈善などの徳目を行うことができるようになる」(チャーチルの言葉)

彼らは“同郷”をひとつのリソースと考えている(中略)それゆえ、温州人は同郷同士のつながりをとても大切にする。温州人はどこへ行こうとも、そこに同郷人や商会がありさえすれば協力を得ることができる

遅れた地域で商品を売れ

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『商機を見いだす「鬼」になれ』郭海東、張文彦・著 阪急コミュニケーションズ
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◆目次◆

第1章 「小狗経済」の連携
第2章 脇役企業モデル
第3章 小よく大を制す
第4章 商機を見いだす「鬼」
第5章 最初に蟹を食う勇者
第6章 めんどりを借りて卵を産ませる
第7章 水のように姿を変える
第8章 変ずれば即ち通ず
第9章 終わりなき富の獲得

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