2012年1月27日
『デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男』ケネス・ローマン・著 Vol.2746
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【傑作。】
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すでにこの世を去った偉人のなかから、メンターを選べるとしたら、あなたなら誰を選びますか?
スティーブ・ジョブズ? 立川談志? ドラッカー? 松下幸之助?それともマイケル・ジャクソン?
選ぶ対象は、みなさんの仕事や思想によっても違うと思いますが、土井が選ぶとしたら、間違いなくデイヴィッド・オグルヴィを選びます。
ユニークなキャリアを経て、広告業界に革命を起こし、「現代広告の父」と呼ばれた男。
斬新な広告の切り口で一世を風靡し、その広告作品のアイデアは、今も広告業界で語り継がれるほど。
また、本を書いてもミリオンセラーという活躍ぶりで、彼が書いた『ある広告人の告白』は、広告に携わる人なら、知らない人はいないほど有名な広告のバイブルとなっています。
※参考:『ある広告人の告白』
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本日ご紹介するのは、そんな伝説の人、デイヴィッド・オグルヴィの生涯を、本人をよく知るオグルヴィ・アンド・メイザー元会長兼CEO、ケネス・ローマンがまとめた一冊。
オグルヴィの少年時代から、コック見習い、訪問販売員、調査研究所員、スパイ、農夫を経て、広告史に残るキャンペーンを成功させるにいたるまで、じつに興味深いエピソードがつづられています。
アカウント・マネジャー時代から26年間、オグルヴィの薫陶を受けた著者が、議会図書館のコンテナ87個分、自身が収集してきた2000点超の文章、書籍、映像、テープ、度重なるインタビュー(100時間超)をもとにまとめたという一冊。
広告史に残るビッグアイデア(アイパッチの男、「洗っているうちにお肌が潤います」と謳ったダヴのコピー、「気後れ」という言葉を使って話題となったベントレーの広告など)、さらにはオグルヴィの名言を味わいながら、マーケティング、ビジネスのノウハウが学べてしまう、珠玉の一冊に仕上がっています。
「007」のモデルと言われるスティーブンソン、マッキンゼーの中興の祖であるマービン・バウワーなど、一時代を築いた著名人たちとの交流も、読み応えがあります。
じつは今回、土井は事前にこの原稿を読ませていただいており、滅多にないことですが、推薦の辞を寄せさせていただきました。
今年、土井がもっとも注目する本格ビジネス評伝。
ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「自分さえ宣伝できないようじゃ、他のものを宣伝できるはずがないだろう?」
天才の特徴のひとつは、どれだけ強烈な好奇心があるかだ、とアインシュタインは言ったが、オグルヴィの最大の秘密は、詮索好きだったことだ
話のポイントを、記憶に残る生き生きとした比喩で強調した。あるクライアントに、二つのCMのうちのどっちを最初に見せるかを話し合っていたとき、オグルヴィはクリエイティブチームにこんな話をした。「子どものころ、プディングに乗っかってるさくらんぼをいつも最後までとっておいたんだ。でもある日、姉に取られてしまった。そのときから、さくらんぼは最初に食べることにしたのさ。いいほうのCMを先に見せよう」
「ビッグアイデアを欠いたキャンペーンは、闇の中を航行する船と同じだ。誰にも気づかれることなく、ただ通り過ぎるのみである」
「おそらくマジェスティックは、昔ながらの厳しいマナーを守った世界最後のホテルだったろうね。厨房での初日を思い出すよ。僕はじゃがいもの皮をむいてたんだ、こんなふうに(壁にぐったりと寄りかかって)立ってね。そしたら料理長が現れて、こう言ったんだ。『姿勢を正して立て。ここでおまえがやることはすべて重要だ……自分の行動のすべてに誇りを持て』。あれは忘れられない」
「素人は広告を面白おかしく見せたがるが、プロの広告人は断固としてそういうことはすべきでない。軽薄な基盤の上に永続的な成功が築かれることはめったにない。人はピエロからモノを買ったりはしない」
「広告のもっとも大事な仕事は、商品を注目の的にすること」
広告を見る人は、この威張りくさった貴族がどうして片目を失ったのだろうといぶかる(「ハサウェイ・シャツを着たアイパッチの男」のCM)
「ダヴの四分の一はクレンジングクリームです──洗っている間にお肌が潤います」
「ラジエーターを除けば、同じエンジニアが設計し、同じ工程でつくられる、まったく同じ車だ。ロールスロイスに乗るには気後れするという向きには、ベントレーがある」
「マービンは僕を厳しく叱りつけた。サービスを提供する企業が、クライアントに仕えるよりも利益を優先すれば必ず失敗する、と」
優れた広告には「奇妙なひっかかりがあるものだ」と、オグルヴィはよく言っていた
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『デイヴィッド・オグルヴィ 広告を変えた男』ケネス・ローマン・著 海と月社
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◆目次◆
はじめに
序 マディソン・アベニューのキング
第1章 エキセントリックなケルトの血──生い立ち
第2章 「試験という試験に落ちた」──不遇の学生時代
第3章 セールスマンへの道
第4章 メイザーって誰だ?
第5章 アメリカの金
第6章 農夫とスパイ
第7章 ビッグアイデア
第8章 哲学のキングたち
第9章 真の教会
第10章 王様は城にいる
第11章 大規模合併と誇大妄想
第12章 エンターテインメントという名の病
第13章 奇妙なひっかかり
あとがきにかえて 「増補版」広告の巨人オグルヴィ語録
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